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第64回 国立環境研究所 五箇公一さんに聞く、「ウイルスから学ぶ生物多様性と持続可能な社会」(2020年12月15日(火)開催)

2020月11月11日 更新
開催終了レポート
 
開催日 2020年12月15日(火)
対象

イーズ未来共創フォーラム 企業・団体パートナーさま、お試し参加希望のみなさま

ゲスト

国立環境研究所 生態リスク評価・対策研究室室長
五箇 公一さま

ファシリテーター

枝廣 淳子

参加人数

13社(団体)15名

開催レポート

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今回のフォーラムでは、国立環境研究所 生態リスク評価・対策研究室室長 五箇公一さまをゲストスピーカーとしてお招きしました。

 「生物多様性」は極めて重要で、人間が生きていくために、なくてはならないものです。しかし、人間のグローバルな経済活動の影響により、生物種史上最大の絶滅危機に瀕しているとおっしゃっています。

「生物多様性」は、私たち人間が生きていくために欠かせないと言われているのに、なぜ止められずにいるのでしょうか。

 五箇先生からは生物多様性からみた環境と人間社会との関係性、そしてその変化や及ぼす影響について、専門的かつさまざまな視点から非常に多くのインプットいただきました。

 大きな課題に直面している今、私たちはこれからどう持続可能な社会に転換し、足元の行動につなげていくべきか、先生との質疑応答やワークを通じてさらに考えを広げ、深めることができたと思います。

次の一歩を進めていくためのアイデアやヒントにつながるようであればうれしいです。


1.問題意識の共有(グループディスカッション)

<自己紹介と問題意識の共有>
1.自組織での「生物多様性」の位置づけ・現状・課題認識は?
2.コロナと生物多様性はどう関連している?

<参加者のみなさんからのシェア(一部抜粋)>

1.自組織での「生物多様性」の位置づけ・現状・課題認識は?

    • 社内で生物多様性方針を策定したところ。今後は研究者の教育を行う
    • 自治体として、希少種の保護や外来種の駆除など対応している。幅広い視点での環境保全や種の保全はあまりできていない
    • 昨年生物多様性に対するポリシーを更新した。従業員のコミュニケーションを密にする。ガイドラインを定めて社内浸透を図っている

2.コロナと生物多様性はどう関連している?

    • 人間の経済活動とグローバル化で他の生物の領域まで進んでしまった
    • ウイルス+宿主としての生物多様性
    • 生命科学的なアプローチだけでなく、社会科学的な問題提起も必要

2.ご講演 ウイルスから学ぶ生物多様性と持続可能な社会

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国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター
生態リスク評価・対策研究室 室長 五箇 公一さま

生物多様性

生物多様性とは:遺伝子・種・生態系・景観といったミクロからマクロレベルの複雑な階層性のある多様性のこと

森、湿地、海、川をはじめとする複雑な階層の生態系が機能して、人間は様々なサービスが受けられている。人間が生きていくうえでの必須基盤が生物多様性である。

 景観、社会、文化の多様性には、生物多様性が大きく関わっている。国や地域によって特色が出るのは、生物多様性の違いによるもの。

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なぜ生物多様性が大事なのか?

動物愛護や保護の精神からの発想ではない。人間が生きていくために生態系サービスが必要であり、安全・安心・豊かな人間者社会を維持するため。また、この生物多様性の重要な基盤は、地域性・固有性・個性にある。それにより、地域独自の文化や社会への発展に繋がっている。

◎生物多様性の状況

  • 陸地の75%が人間活動で大幅改変
  • 約100万種の動植物が絶滅危機に
  • 現在の絶滅速度は、過去1000万年間の平均に比べ10~100倍以上(IPBES報告書,2019/05/06発表)
  • 史上最悪の温暖化と大量絶滅の危機を迎えるかもしれないほど、現在、過去最高に絶滅の危機を迎えている。

生物多様性の危機――温暖化は原因のごく一部にしか過ぎない

温暖化を原因とする絶滅の危機は、わずか12%で、ほとんどが「その他」の要因で絶滅に瀕している。

  • 熱帯林の破壊
  • 乱獲
  • 環境汚染(水質汚染)

  →個人の便利で快適な日常生活が、環境を痛めつけている。まず足元から見直すこと

  • 外来生物の問題
  • 寄生生物・感染症――グローバル化がもたらすリスク
  • 天敵としての寄生生物
  • 病原体の重要な生態系機能
  • 今、私たちが考えるべきこと-新型コロナウイルス

<新型コロナは、ただの風邪ではない>

    • 温度も湿度も関係なく感染拡大した
    • 軽症から重症まで発症型の変異が大きい
    • 現状では確実な治療法が確立されていない

<コロナと共生して、活動再開?>

    • 新しいウイルスには、未知なるリスクが無数にある。放置すれば、いつまでも蔓延が続く
    • いつまでも、重症患者発生におびえなければならない
    • 「Withコロナ」「コロナとの共生」≠コロナ無視の経済活動の再開
    • 感染を広げない、うつさない利他意識・行動が重要
    • 科学が勝利する日まで「Withマスク」、「Withソーシャルディスタンス」

<必要なのは、コロナ対策の延長線としての「新しい経済システム」>

    • 新しい常識を受け入れる。働き方・遊び方の改革64forum_4.jpg
  • コロナの次に控える脅威:今後の脅威としての「新型インフルエンザ」

生態系ピラミッド、人間と自然の正しい共生のあり方:ゾーニング(すみ分け)

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ゾーニングが肝要だが、今はその境界線が壊れている。野生生物と人間の生活圏が接近している。

【将来的に私たちが考えるべきこと】

    •  生物多様性保全は人間社会持続のための安全保障
    • 資源搾取型グローバリゼーションから脱却し、ローカリゼーションと持続的社会へのパラダイムシフトが必要→「地産地消」
    • グローバル・サプライチェーンのリスクと健全なグローバル経済

自立型、地方分散型社会の実現。自立国家としての国際リーダーシップ

    • エネルギー(クリーンエネルギー)は地産地消で小規模で作る。
    • 地元の商店街型への回帰
    • これまdのインウンドにヒントあり
    • 巨大災害対策など、危機管理に強い国家を作る。人獣共通感染症対策センターなど。
    • 首都機能の分散・移転
    • 「多様性と個性」は強い

 3.グループディスカッション・感想・質疑応答

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※こちらでは質問のみ記載

Qまずは何ができるか? 長期、短期で何をしたらよいか?

Qリソースが限られている日本で何をやるべきか

Q国や産業界のグローバリゼーションとの距離の置き方は?

Q野生動物が人の地域に入ってきているという話だが、今後も人口減少が進むなかで、森林保全などの手入れができないが、どう手を打っていけばよいのか

Q:エコロジカルディスタンスの考えは、世界で動きが出ているのか? 学者間だけの話なのか?

Q一番理想的な状態は? 「自然共生社会」とは?どういう経済、社会のあり方であれば、私たちは幸せだろうか?ビジョンや理想像を

全体を終えて-各グループでディスカッション※一部抜粋

  • 生物多様性を表面的に捉えていた。深さを再認識しながら、自分が何をすべきか考えたい
  • 話に圧倒された。お人柄に魅力を感じた。住んでいるのが田舎なので、これを大切にしていくというメッセージが心強かった。

<会社として>

  • 会社の取り組みとして、生物多様性のプライオリティが低いと感じているが、どうすればそこを進めていけるか、悩ましい。
  • 気候変動を重点に、という目標がまずある。生物多様性は以前から進めているが、前面に出る形にはなっていない。明確なアピールはできていない。ステップアップしていきたいと思う。


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              (当日のようす)

参加された方の声から

☆本日のフォーラムに参加するにあたり、期待していたことは何でしょうか(抜粋)☆

・生物多様性への取り組みのボキャブラリーを増やしたい

・生物多様性への深堀と社内への浸透

・コロナに限らず感染症とどう向き合うべきかを理解すること

・コロナ禍の中、ウイルス学、生物学的アプローチだけでなく、社会科学的にどういった世界を目指したらいいのか、幅広い見識を期待しました

・コロナウイルスと生物多様性の関係性。五箇先生のお話自体を楽しみにしていました

・生物多様性の現況と、コロナウィルスとの関連性についての把握


☆また、実際参加されて、いかがでしたでしょうか。よかった点、よくなかった点を含め、何でもご自由にコメントください。☆

・非常に参考になりました。(活用できるかどうか分かりませんが……)

・五箇先生のお話が印象的で新型コロナ感染症への備えについて考え直すことができました

・期待以上の内容であった

・ものすごい情報量に圧倒されましたが、とても分かりやすかったです。ペルム期末期の温暖化よりも速いスピードで温室効果ガスが放出されていることなど、比較例がわかりやすく、とても衝撃でした。
ウイルスなどの感染症が生態系の一部として果たしてきた役割や存在意義が理解できたことも良かったです。
コロナ対策としてダイヤモンドプリンセス号でのゾーニング例を思い出し、地球規模でのゾーニングが必要なのだなと腑に落ちました。
ウイルス達がどんなヤツらなのか、五箇先生の小さな生き物達への愛ある目線を通して理解できたことがとても良かったです

・期待以上のお話でした。特にローカリゼーションの重要性、地方分権、安全保障にまでの言及は感動しました

・新型コロナウイルスに関しては、日々さまざまな情報が出てきて右往左往させられるのですが、専門家による原因の分析を知ることで、落ち着いて対策を考えようという気持ちになれました

・最新事例を具体的かつわかりやすく解説いただけました。
新型コロナウィルス蔓延の根本原因とメカニズム、また対策を生物学の観点からよく理解できました。
昆虫学者の観点からなる生物多様性の危機の話(よく虫の多様性が失われることがこの問題の根本である)という話があったように思いますが、その話の真偽・見解などがきけなかったのは少し残念でした

今日学んだことを、どのように活用したいと考えていますか。また、さらに学びたいことなどもありましたらご記入ください☆

・生物多様性教育に活用します。

・個人としてしっかり環境問題を考え、自分の生活も見直したい。

・"地産地消や、地方の暮らしの大切さを、時間的空間的に壮大なスケール感からググーッとクローズアップして見せていただいて、とても励まされました。私がいただいた励ましを、まわりに伝えていきたい。

・北海道という地方を一層掘り下げて地域文化等に貢献できればと思っています。素晴らしいお話でした。昭和天皇皇后両陛下への説明の写真で五箇先生の白いワイシャツ、サングラス無しの姿を拝見できたのも感動?!でした!

・説明が非常にわかりやすかったので、人に伝えるときの参考にしたいと思いました。

・弊社内でもローカルな生物多様性保全の取り組みはしていたが、本社が取りまとめたカタチで実施しておらず、本社発信で何ができるのかと考えていたところでした。お話にあったようにローカルの課題はローカルで対処すべきなのだと理解できたので、社内で共有したい。

・地域経済の循環が生物多様性保全や我々のくらしの向上につながる可能性がわかり、地域の関係者に情報共有していきたいと思いました。生物多様性保全の話は当社でも重要な課題の一つです。今回の話を持ち帰って、今後の活動の方針などに活かしていきたいと思います。ありがとうございました。


次回のイベント・フォーラムの予定

次回は毎年恒例となりました、「2021年・年初に考える~これからの時代をどう生き抜くのか」をテーマに枝廣からお話をさせていただきます。日程は1月27日(水)を予定しております。ぜひ次回も奮ってのご参加をお待ちしております!

 

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