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(元の記事:https://www.es-inc.jp/graphs/2014/grh_id005374.html)
このコーナーの36では、「OECD加盟国のなかで、貧困率が8番目に高い日本 日本の不都合な真実 ~ 7人に1人が貧困層」という情報をお届けしました。「日本は他国と比べると豊かな国だ」と思っている方にはショックなデータだったのではないでしょうか。
36で使われている貧困率は、先進国の貧困を論じる際によく使われる「相対的貧困率」です。これは、国民の所得の中央値(所得の低い額から順番に並べたときにちょうど真ん中の額)の半分未満の所得しかない人々の割合を示します。
参考)キーワード解説:貧困率
http://ishes.org/keywords/2013/kwd_id001080.html
さて今回は、この相対的貧困率とGDPの推移をグラフに表しました。棒グラフはGDPの金額を表しています(右軸)。そして、折れ線は相対的貧困率を表しています(左軸)。1985年と2022年とを比べると、相対的貧困率は12%から15.4%へと上昇(悪化)していることが分かります。GDPは1985年から1991年にかけて拡大し、その後はゆるやかに停滞と拡大を繰り返しています。
両者の関係はどうでしょうか? まず全体的な傾向を把握するために、グラフの始まりと終わり、つまり1985年と2022年の数値だけを比較すると、GDPも相対的貧困率も上昇しています。これは、GDPは拡大しているけれども、貧困率は悪化していることを意味しています。
ただしその間には、「GDPは拡大し、相対的貧困率は悪化している」時期(表のパターンA)に加えて、「GDPは拡大し、相対的貧困率は改善している」時期(パターンB)、また短いですが「GDPは減り、相対的貧困率が悪化している」時期(パターンC)もあることがわかります。

このように、相対的貧困率とGDPとの関係は少し複雑です。ただ、「GDPが拡大すれば、必ず貧困は解消する」わけではないことは明らかです。