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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2026年01月17日

対立を超える日々の実践─他者と根源から関わり、複雑なシステムを変える七つの習慣

大切なこと
 

1月23日 幸せ研オンライン読書会では、こちらの書籍を取り上げます。

『対立を超える日々の実践─他者と根源から関わり、複雑なシステムを変える七つの習慣』(著:アダム・カヘン)
https://www.ishes.org/news/2025/inws_id003706.html

著者のアダム・カヘン氏は、深刻な対立や行き詰まりを、対話と協働によって変容させる実践家・思想家として、世界的に知られています。

特に、南アフリカでアパルトヘイト終焉期に、政府・反政府・ビジネス・市民社会が参加する対話の場をコーディネートし、将来シナリオを共に描くことで、暴力的衝突を避け、民主化への移行を支えたプロジェクトなどが有名です。

どうやって対立を超えて未来を共創していくのか? アダムは何冊も本を出しています(文末に何冊か紹介しますね)

そのアダムの最新作が、今回の課題書です。

『対立を超える日々の実践─他者と根源から関わり、複雑なシステムを変える七つの習慣』

7つの習慣とは、こちら。

HABIT 1:責任を引き受けて行動する
HABIT 2:三つの次元で関わる
HABIT 3:見えないことに目を向ける
HABIT 4:裂け目に働きかける
HABIT 5:進むべき道を模索する
HABIT 6:異なる他者と協働する
HABIT 7:忍耐強く続け、休息する

それぞれどういうことなのだろう? どうやればできるようになるのだろう?という方は、ぜひ同書を手に取ってください。そして読書会にご参加ください~!
https://www.ishes.org/news/2025/inws_id003706.html

この本にはアダムがインタビューしてその経験や知見を共有してもらった変化の担い手たちが何人も登場しますが、幸せなことに、私も取り上げてもらっています。その部分を引用させていただきます。(メールでの読みやすさのため改行を加えています)

~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~

HABIT 6:異なる他者と協働する

つながることで協働する

私は、異なる環境や文化の中で働くもう一人の仲間と、人間関係が果たす重要な役割について話し合った。日本の環境ジャーナリスト、環境コンサルタントの第一人者である枝廣淳子は、新潟県柏崎市で、市民が協働してよりよい未来を創造するための支援を行った経験について語ってくれた。

柏崎市には七基の原子炉を有する世界最大級の原子力発電所があり、約五〇年前に発電所が建設されて以来、市民は原発推進派と反対派に分かれていた。

枝廣は私にこう語った。

原発推進派と反対派の人たちは、お互いに話をしませんでした。 原発に賛成か反対かは、単なる意見ではなくて、アイデンテイティだったんです。だから、自分の立場を変えて話をするというのは、とても難しいことでした。

当時の柏崎市長は、原発推進派・反対派の間の対話をファシリテートしてほしいと、私に三年間のプロジェクトを依頼しました。

市役所が選任した委員会(三人は原発推進派、三人は反対派、二人は中間派)の第一回の会合の最初は、まるでお葬式のようでした。 一人として、誰も何も言わないのです。

ファシリテーターである私は、原子力についてどうすべきか、いろいろな問いを投げかけましたが、誰も何1つ答えません。

その理由はすぐにわかりました。柏崎は小さな町です。たとえば、自分は原発反対派でも、隣のうちのご主人は東京電力で働いているということだってあります。だから人々は「原発については話さない」ことによって、町の平和を保つというやり方を続けてきたのです。

そこで、私は話題を変えることにしました。原子力発電についてではなくて、柏崎の未来についての対話を始めたのです。

「50年後、どんな柏崎だったらいいと思いますか?」と問いかけました。すると誰もが自分の考えを話しはじめました。

そして、本人たちもびっくりしたことには、原発推進派も反対派も、「つくり出したい柏崎の未来は同じ」だったのです。「子どもや孫たちが誇りを持って帰ってこられる、そんな町であってほしい」。

原発推進派の人々は、そのために必要な経済活動をつくり出すために、原発が必要だと考えていました。そして、原発反対派の人たちは、その未来を作り出すために、自分たちは反対しているのだと。

原発推進派も反対派も、「目指している姿は同じだったんだ。 ただ、そこに到達するための手段が違っていたのだ」ということに気がつきました。この気づきから、全体の空気が一変しました。

みんな話をするようになり、私たちは3年間のプロジェクトをよい成果をもって終えることができました。

この委員会のメンバーはすべて柏崎生まれの人たちです。昔の話に花が咲きました。「小さい頃、この町はどんな町だったか?」「どんな音が聞こえていて、どんな匂いがしていたか?」

こういった共通の根っこの話ができれば、共通する物語や歴史、文化を見つけることができます。それが会話の土台になってくれるのです。

組織も地域社会も、多くの問題を抱えています。だけど、そういった問題はつまるところ、関係性の問題だと私は考えています。

私は大学院生だった頃、心理学を専攻していました。大学でカウンセリングを行っていたのです。そこで、「人は自分自身との大事なつながりを忘れてしまったり失ったりしてしまったときに、メンタルの問題が生じるのだ」ということに気がつきました。

環境分野で活動するようになって、問題は同じだと思いました。 人々が地球とのつながりを失ってしまったとき、環境問題が出てくるのです。

そして、町づくりに関わるようになったときもまったく同じだと思いました。人々が自分たちの歴史や文化、そして想いを失ったとき、地域の問題が出てくるのです。

だから、私がこれまでの人生で行ってきたことは、「人々の大事なつながりをもう一度見出し、もう一度取り戻す手伝いをすること」なのです。

~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~

自分でも書籍はたくさん出してきましたが、人の(しかもアダム・カヘンの!)書籍に取り上げてもらうなんて、面はゆい思いでいっぱいです。

アダムが来日した折に、和食屋さんで一緒にご飯を食べながらお喋りしていたとき、ふとしたきっかけから柏崎での取り組みの話をしたのでした。

興味深げに耳を傾けていたアダムから、「ZOOMでもうちょっと聴かせてくれない?」と連絡が入り、こうして書籍に登場することになったのでした。

読書会では、私の知っているアダムの人となりも含めて、アダムが伝えようとしている「対立を超えて未来を共創するための、日々意識し、試し、鍛えていくことのできる7つの習慣」を、私なりにお伝えし、みんなで考えていきたいと思っています。

ご興味のある方、ぜひご一緒に!
(参加者には、音声とスライドを共有しますので、日程が合わない方でもご参加いただけます)

1月23日 幸せ研オンライン読書会
『対立を超える日々の実践─他者と根源から関わり、複雑なシステムを変える七つの習慣』(著:アダム・カヘン)
https://www.ishes.org/news/2025/inws_id003706.html

最後に、これまでにアダムが書いてきた書籍(日本語版)の一部をご紹介します。

『社会変革のシナリオ・プランニング ― 対立を乗り越え、ともに難題を解決する』

『手ごわい問題は、対話で解決する』

『敵とのコラボレーション――賛同できない人、好きではない人、信頼できない人と協働する方法』

『それでも、対話をはじめよう――対立する人たちと共に問題に取り組み、 未来をつくりだす方法

『共に変容するファシリテーション――5つの在り方で場を見極め、10の行動で流れを促す』

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