ホーム > データを読む > 東京都23区のデータからみる孤独死の現状

データを読む

52

東京都23区のデータからみる孤独死の現状

社会
2022年10月05日 作成
東京都23区のデータからみる孤独死の現状

一人暮らしのお年寄りが人知れず亡くなっていた、そんなニュースをたびたび耳にします。高齢化が進む中、「孤独死」を他人事ではないと感じる人も多いのではないでしょうか。

それでは、孤独死をする方はどのくらいいるのでしょうか? 今回の「データを読む」では、東京都監察医務院が発表している「東京都23区における孤独死(自宅住居で亡くなった単身世帯者)統計」のデータを用いて、孤独死の現状を紹介します。

東京都23区における孤独死(自宅住居で亡くなった単身者数)の増加
図1は、東京都監察医務院で取り扱いのあった自宅住居で亡くなった単身者数(一人暮らしの方)の推移を示すグラフです。東京都監察医務院とは、東京都23区内で発生したすべての不自然死について、死因を明らかにする仕事を行っている組織です。よって、自宅住居で亡くなった単身者数は、概ね孤独死をした方を指すと考えることができます。

グラフを見ると、2003年には1,441人だった孤独死をした方の数が、2020年には4,207人と3倍近くまで増えています。また性別では、男性の方が孤独死をする方が多いことがわかります。

grh_20221005_02.jpg
(クリックで拡大表示)


孤独死の背景
なぜ孤独死が生じるのでしょうか? 背景の一つとして、社会から孤立している方の多さを挙げることができます。少し前のデータですが、2003年版のOECDの『Society at a Glance』 によると、日本はOECD20カ国の中で、「友人や同僚、その他の社会的グループと時間を過ごすことが「ほとんどない」「まったくない」と回答する人が最も多く、15.3%に及びました。国際的にも、日本は他者との交流が少ない社会であることがわかります。

grh_20221005_03.jpg
(クリックで拡大表示)

孤立・孤独の問題が生じる理由には、核家族や一人暮らしの増加、地域社会のあり方の変化、SNS上でのコミュニケーションの増加によって「煩わしさは少ない代わりに、いざというときに頼りにできない人間関係」が増えていることなど、様々な要因があるでしょう。日本政府も2021年から孤独・孤立対策担当大臣を任命するなど、この問題について、取り組みを進めています。誰もが、孤独を感じることなく暮らしていける、そんな社会になることを願います。

(新津 尚子)

<参考文献>
東京都監察医務院「東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計」
内閣官房「孤独・孤立対策」ウェブサイト

Photo by Oliver Hihn on Unsplash.

 

このページの先頭へ

このページの先頭へ