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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2021年04月19日

自分たちの手で資金を調達し、投資しよう!「海士町未来投資基金」 (2021.04.19)

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さて、ほぼ毎日のように「ESG投資」に関する報道がありますね。環境・社会・ガバナンスの面も考慮した投資のことで、従来型の利益などの財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンスなど非財務情報も重視して投資をしていこう、という動きが主流派となりつつあります。

先月下旬に環境省から「グリーンから始めるインパクト評価ガイド」も出されています。
http://www.env.go.jp/press/109376.html 


~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~


「グリーンから始めるインパクト評価ガイド」について

ESG金融ハイレベル・パネルの下に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースにおいて、今般、インパクトファイナンスを実践しようとする金融機関・投資家のインパクト(環境・社会・経済への影響)評価の取組に資することを目的として、インパクト評価について国際的なイニシアティブ等を参考として考え方や手法を整理した「グリーンから始めるインパクト評価ガイド」が取りまとめられましたのでお知らせいたします。

1.背景

持続可能な社会・経済の基盤づくりを目的として、財務的リターンの獲得だけではなく、環境・社会・経済に正のインパクトを創出することを意図したインパクトファイナンスは国際的な潮流となり、また、我が国においても既に実践が始まっています。

適切なリスク・リターンを確保しつつ、環境・社会・経済にポジティブなインパクトをもたらすことを意図したインパクトファイナンスについて、概念整理の共有、さらにインパクト評価を実施するうえでの評価手法の整備を行うため、令和2年3月に、ESG金融ハイレベル・パネルの下に、ポジティブインパクトファイナンスタスクフォースが設置されました。昨年7月には、同タスクフォースにおいて、「インパクトファイナンスの基本的考え方」(以下「基本的考え方」という。)が取りまとめられております。

今般、「基本的考え方」を踏まえ、インパクトファイナンスの普及に向けたロードマップの第一段階として、インパクトファイナンスを実践しようとする大手金融機関・投資家を中心に、既にインパクトファイナンスの取組を開始している一部の地域金融機関等も含め、インパクト評価の取組に資するため、本タスクフォースにおける検討を重ね、委員及び各市場関係者より提示された様々な御意見を元に、「グリーンから始めるインパクト評価ガイド」(以下「評価ガイド」という。)が取りまとめられましたので、お知らせいたします。

2.評価ガイドの内容

本「評価ガイド」は、国際的にも様々な試みが行われているインパクト評価について、 「基本的考え方」を踏まえ、国際的なイニシアティブ等を参考として考え方や手法を整理することで、インパクトファイナンスを促進し、SDGsの達成や2050年カーボンニュートラルの実現に向け、大規模な民間資金の巻き込みを図るものです。

本「評価ガイド」では、特にグリーン(環境)の側面に係るインパクトに焦点を当て、インパクトファイナンスの基本的流れの具体的な手順を解説するとともに、想定する投融資の性質ごとに相応しいツールを活用できるよう、各イニシアティブにより示されている既存のツールの特徴と、インパクトの評価プロセスにおいてどのように活用できるかを説明しています。

また、評価指標の例、代表的なツール類の使い方、インパクト評価の取組事例集などを付属資料において整理しています。


~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~


「グリーンから始めるインパクト評価ガイド」 はこちら。
http://www.env.go.jp/press/files/jp/115951.pdf


お金は社会や経済の血液です。ガン細胞にどんどん血液を流し込みながら、抗ガン剤を注射するのではなく、ガン細胞には血液を流さない。壊死させてしまう。そして、良性の細胞にどんどん血液を流して、その成長を促す。血液、つまりお金の流れを変えることで、望ましい社会や経済をつくり出すことができるのだと思います。

そういった認識や必要性を背景に、グリーンボンドやESG投資など、環境金融の動きが大きくなってきています。

そして、もうひとつ、お金の流れをじょうずにつくることで元気にしなくちゃいけないのが「地域」です。まちづくりも地方創生も、何かをやろうとしたら資金が必要になります。とくに、地元経済を創りなおそうとしたら、自治体も事業者も資金が必要になります。そういった「地元の、地元による、地元のための活動」を支える"地域金融"は、残念ながらESG投資ほど大きなうねりにはなっていません。

以前にもご紹介した寄稿、「信用金庫に期待すること」のように、地域の金融機関へのエールを送っていますが、「ここはステキな動きをしている!」という地域金融機関にはまだあまり出会えていません(ぜひ教えてください!)
https://www.es-inc.jp/library/writing/2021/libwri_id010854.html

これまで地域が資金調達をしようとしたら、国からの交付金・補助金をとってくるか、金融機関から融資をしてもらうか、が主要な方法でした。しかし、今では、資金調達の方法もいろいろとくふうするところが増えています。ふるさと納税もその1つですし、クラウドファンディングもそうでしょう。

どのように自分たちで資金を調達するのか? そして、自分たちで調達した資金を何のためにどのように"投資"していくのか? これが今後の地域や自治体の「コンピタンシー」(能力)として重要になってきます。これまでは中央とのつながりや政治家とのつながりが重要だったかも知れません。でも新しい時代には、新しい能力が必要になってきます。リスクをとりながらいろいろくふうし、自分たちなりのやり方を模索していく力です。

その観点からもぜひご紹介したいのが、島根県海士町の「未来投資基金」です。


~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~


【プレスリリース】ふるさと納税を原資とした「海士町未来投資基金」を設置
http://www.town.ama.shimane.jp/koho-ama/45d33883b32d2a0c7be0bc877f4fcb7efd461e94.pdf 


海士町ならびにAMAホールディングス株式会社(島根県隠岐郡海士町)は、「海士町未来投資基金」の運営を行うことを目的に、2020年12月に一般社団法人海士町未来投資委員会を設立します。同基金事業は海士町ふるさとづくり寄付条例に基づき設置され、海士町に納付されたふるさと納税の一部(年間全納付額の25&#12316;30%程度を予定)を原資とします。魅力的で持続可能な島の未来のために不可欠な事業を投資先とし、2021年度より本格始動を予定しています。

日本の次の時代を切り拓く課題先進地の新たな挑戦

魅力・活力ある仕事や役割を創出し、若者の新たな挑戦を支援することで、人材が島に還流し続ける。このビジョンの実現に、島民や海士町を応援してくださる方々と共に挑んでいきたい。国や自治体からの補助金に依存するのではなく、応援してくださる方々から自分たちの手で資金を調達し、島の未来をつくる熱量に投資したい。そう考え、島の未来に不可欠な事業を資金・経営面から支えるために「海士町未来投資基金」を設置することを決断しました。

《組織概要》
一般社団法人 海士町未来投資委員会
理事長:竹本吉輝 氏((株)トビムシ 代表取締役)
理 事: 枝廣淳子 氏((有)イーズ 代表取締役・海士町魅力化ファシリテーター)
    白井智子 氏(特定非営利活動法&#12040; 新公益連盟 代表理事)
    枩山聡一郎 氏((株)eumo取締役)
    藤田諭 氏(海士町役場財政課長)
設立時社員:海士町、AMAホールディングス(株)
設立:2020年12月予定

AMAホールディングス(株)とは、観光、教育、産業、行政などそれぞれの分野の中で、より早い意志決定、より強い連携を行うため、海士町長を代表取締役として設立。海士町の「攻め」の政策を担う事業会社として、外貨獲得および町内還元のため、現在はふるさと納税事業と未来投資事業を主な事業としている。


~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~


このプレスリリースには、私が数年前にプロセスをお手伝いさせていただいた創生総合戦略にある住民・行政の共創によってつくられた「ループ図」も載っています!

私もこの「一般社団法人 海士町未来投資委員会」の理事の一人として、委員会の運営や投資案件などにも関わらせてもらっています。上記のプレスリリースは12月時点のものですが、実際に委員会は立ち上がり、活発な議論を重ねながら、「自分たちの手で資金を調達し、島の未来をつくる熱量に投資する」という新しいお金の流れづくりを進めています。

今後も、ほかの地域でもいろいろなカタチで「自分たちの手で資金を調達し、自分たちの未来を創るために投資する」動きが出てくるでしょう。そういう動きをどんどん広げたり、応援していきましょう!

 

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