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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2018年07月05日

カーボン・プライシングについて (2018.07.05)

新しいあり方へ
 

先日、九州の西部ガスで、「環境・エネルギーの世紀に生き残るために」と題した社員向けの講演をさせていただきました。

どのような情報や内容が響いたのか、終了後にいただいたアンケートから、許可をいただいたものをいくつか共有します。

・パリ協定からの今後のエネルギー政策が興味深く聞くことができました。
・自社が取り組んでいくべきことが詳しくわかりました。
・座礁資産についてさらに詳しく聞きたいと思いました。
・外部から一歩引いた視点での切り口で、今後を考えさせられました。
・我が社のビジネスチャンスについて異なる視点で考えることができました。
・ひとつひとつの言葉の定義から説明頂き、普通であれば難しいと思う話が、そう感じなかったです。
・普段聞くことのない情報や政策提言過程における生の状況をお聞きすることができ、勉強になりました。
・わかりやすい説明と時に厳しいお言葉が大変参考になりました。
・政府の審議会メンバーとしての今後の動向に関する独自の視点は非常にインパクトがありました。
・CO2排出量削減は耳にしていたが、世の中の流れの中で大きなリスクであり、ビジネスチャンスとなっていることを知ることができてよかった。
・環境CSRが今後の経営に必要であることがよくわかった。
・非常に勉強になり、もっと勉強が必要だと感じた。
・経営視点での講演が印象的だった、CSRの重要性を再認識した。
・カーボンプライシングについてよくわかった。

最後にある「カーボンプライシング」は、これからの日本での大きなキーワード(戦いの場?)となってきますので、詳しく説明しました。「西部ガスはいくら支払うことになるのか?」という例示も響いたようです。

6月25日付でガスエネルギー新聞に掲載された「オピニオン」というコラムでも、カーボンプライシングを紹介しました。

~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~

カーボン・プライシング

「カープラ」って聞いたことありますか。エネ庁の担当者と話していた時、一瞬目がテンになったのですが、「カーボン・プライシング」のことです。

パリ協定の下、日本は2030年に2013年比26%の温室効果ガス削減を目標とし、50年には80%削減を目指すことになります。これだけ大幅な削減は、かけ声や意識啓発だけでは難しいでしょう。ではどうすればよいのか。

多くの人々や企業の多くは価格が安いほうを選ぶ」傾向があります。もし「価格が安いほうを選んだら、CO2が少ない製品・サービスだった」となれば自然に低炭素・脱炭素の行動をとるようになるでしょう。

現実には、石炭火力発電に対する再エネ、従来型製品に対する高効率製品のように、「CO2が少ないほうが値段が高い」状況です。古い石炭火力発電所は減価償却が終わっているのに対して、新規設備の再エネはどうしても高くなります。

CO2排出量に応じて価格に上乗せする仕組みにすれば、CO2排出が多い製品・サービス型の値段が高くなり、少ないものが相対的に安くなります。これが炭素(カーボン)に価格(プライス)をつける、つまり、カーボン・プライシングです。具体的には炭素税と排出量取引制度という方法があります。

フィンランドが1990年に炭素税を導入したのが世界最初でした。その後、CO2削減に効果的な仕組みだと多くの国に広がり、世界銀行の2016年の報告書では、40カ国・20を超える都市・州でカープラ制度を導入済み・計画中とのこと。そして昨年、中国が全土で排出量取引制度を導入すると発表。世界最大の排出国がカープラに舵を切ったのです。

日本では、東京都が大規模事業所を対象に、排出量取引制度を実施しています。

オフィスビルや商業施設などに、基準排出量に対してある割合の削減を義務付け、達成できなかった事業所は、余分に削減できた事業所から未達分の排出枠を購入しなければならない仕組みです。

日本全体でも早晩、何らかのカーボン・プライシングが導入されることになるでしょう。その時に慌てないように今からしっかりとCO2排出の管理・削減を進めましょう。

世界的にはCO21tあたり3000円から1万5000円の価格がついています。試しに自社の排出量に掛け合わせて、損益分岐点へのインパクトを考えてみて下さい。

~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~

記事はこちらからもお読みいただけます。

「カーボン・プライシング」

遅ればせながらですが、日本での導入の議論も始まっており、今後いろいろな方面からの議論が進んでいくと思います。だれがどういう理由で反対しているのか、じっくりウォッチしていきましょう!

 

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