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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2014年04月09日

取締役会で「温暖化への備え」は話し合われているか? (2014.04.09)

温暖化
 

イーズ未来共創フォーラムの異業種勉強会は、現在約60社・団体が参加して、さまざまなテーマで勉強しながら、対話と共創の場と作法を重ねています。
http://www.es-inc.jp/network/index.html

この異業種勉強会の記念すべき第1回は、2009年1月19日、テーマは「企業の温暖化リスク」でした。
http://www.es-inc.jp/network/forum/2009/nwk_id002797.html

この時は、国立環境研究所の江守正多氏をお招きして、最新の科学情報に基づいた温暖化のリスクについてレクチャーをいただき、つづいて各参加企業・団体のみなさまが、自社のリスクについて考えるワーク・セッションを行いました。

2009年のはじめのころは、まだ「温暖化」といえば「緩和(温室効果ガスをどう減らすか)」がずっと前面に出ていて、「適応」(温暖化の影響にどう備えるか)については、あまり世間の意識も関心もありませんでした。

その意識を変えたいと思い、企業にとってのリスクとそれにどう対処するかを考える勉強会を行ったのでした。

それから5年たち、この間、温暖化の影響を感じさせるさまざまな自然災害が頻発するようになり、身の回りの自然の変化も実感するようになり、「温暖化は止めなくてはならないが、当面進行してしまう温暖化の影響に備える必要もある」という「適応」の考え方も広がってきました。もっとも、その必要性の認識が広がってきたということで、実際の適応策は多くの組織や地域、個人にとって、これからの課題です。

特に、規模の大小を問わず、企業は「適応策」を考え始めているでしょうか?

緩和策なら「大企業のやるべきこと」と思っていたかもしれない中小企業も、温暖化の影響から免れることはできませんし、何かあったときのダメージも大きなものになってしまいます。

米国で、ハリケーン・サンディの被害を受けた中小企業のうち、30%は再スタートできずに倒産してしまったという調査結果があります。2~3万社があのハリケーンでつぶれてしまったのです。

強大な台風やハリケーンは温暖化の影響と考えられ、今後増えると心配されているものの1つに過ぎません。ほかにもさまざまな"起こりうる影響"に、規模の大小を問わず、企業は先手を打ち始めているでしょうか?

日本は、国レベルでの適応策の動きが他国に比べても遅いのですが、世界の温暖化適応・先進国の英国では、「全国適応計画」をつくって、各分野での適応佐久を薦めています。この計画の第7章は「企業」です。
https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/209866/pb13942-nap-20130701.pdf

「ビジョン:英国企業は、異常気象へのレジリエンス(しなやかに立ち直る力)を有しており、気候変動の今後のリスクとチャンスに対する準備ができている」

として、企業が温暖化に対してどのように適応策を考え、行動していけばよいかのガイダンスの1つを提供しています。

また、昨年オーストラリアで、「取締役会での気候変動適応」というレポートが出されています。
http://www.nccarf.edu.au/sites/default/files/attached_files_publications/Johnston-2013-Climate-Adaptation-Boardroom-Web.pdf

オーストラリアでもさまざまな温暖化の影響が出つつあるのに、企業の意識も対応も遅れている、このままでは産業や国際競争力に影響が出てしまう、、、という問題意識で、企業・経営者の意識や取り組みを調査したもので、具体的にどのように進めていけばよいかも示しています。

たとえば、温暖化の企業へのリスクとして、
・法規制リスク
・訴訟リスク
・保険リスク
・評判リスク

などを説明し、特に脆弱な業界として、

・交通運輸
・金融
・保険
・不動産
・電力
・ICT
・水

を取り上げて、さらに詳しく説明しています。

最後に、「取締役のための温暖化適応チェックリスト」として
・取締役および取締役会の責務
企業戦略と事業・競合他社、業界・セクターの課題
・市場、法規制、評判に関わる課題
などについて、具体的な問いがリストとなっています。

先月末、IPCC総会で第2作業部会の報告書が出たことを受け、4月21日に「温暖化の影響・緩和」をテーマに異業種勉強会を開催することにしました。

第29回異業種勉強会(4/21(月)開催) 『気候変動の影響と適応と、自社にとっての温暖化の影響リスクを理解する』

第2作業部会の報告書執筆にも関わられた国立環境研究所の肱岡靖明さんをゲストにお迎えし、温暖化の影響や適応について、IPCCの最新報告書の内容について、お話をうかがいます。

そののち、私が日本と世界の適応に向けての動きと、上述の英国やオーストラリアなどの枠組みをきっかけとして、すでに起こりつつある、または起こりうる温暖化の影響に対して、企業はどう準備し、リスク対応していくべきなのかを、それぞれ自社・団体に引きつけて考えていきます。

異業種勉強会はパートナー企業向けに開催していますが、今回はオブザーバー枠を設けましたので、パートナー以外の企業の方でもご関心のある方、ぜひご参加下さい(オブザーバーは1社1回のみ)。

詳細とお申し込みはこちらにあります。
http://www.es-inc.jp/network/forum/2014/nwk_id004947.html

ちなみに、パートナーになっていただくと、年5回の異業種勉強会のほか、共創フォーラムサイトを通じての情報発信、生活者との対話の場や社会見学など、学びと発信と共創を一緒に進めていただくことができます。年1回は関西での勉強会も開催しており、関東以外のパートナーもたくさんいます。よろしければ是非ご一緒に!
http://www.es-inc.jp/network/guide.html

 

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