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最後のエネルギー情勢懇と私自身の学び~「市民を経済政策に巻き込もう!」 RSAの「市民経済評議会」

2018年04月14日
最後のエネルギー情勢懇と私自身の学び~「市民を経済政策に巻き込もう!」 RSAの「市民経済評議会」

Image by TimothyDexter Some Rights Reserved.

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Huntington_town_meeting.jpg

エネルギー情勢懇談会の最終回が開催され、これまでの8回の会合の総括としての提言のとりまとめを行いました。

このあとは、今回の2050年に向けてのエネルギー政策の大きな方向性を、もう1つのエネルギーの委員会である「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会」でのエネルギー基本計画の議論に反映していく、という形になります。

これまでの資料や議事録等はこちらにあります。

http://www.enecho.meti.go.jp/committee/studygroup/#ene_situation

去年の8月の第1回から、9回の会合に、自分なりに一生懸命準備して参加してきました。本当に勉強になり楽しかったので、終了が寂しいです。

情勢懇は終わっても、「エダヒロのエネルギー情勢懇レポ!」のサイトは活動を続ける予定です。データや動向などをアップしていきたいと思っていますので、ひきつづきご活用いただければうれしいです。
https://www.es-inc.jp/energysituation/

私が今回の情勢懇に参加しながらいちばん考えたのは、「どうやったらエネルギーについて、政府の担当者や業界団体、専門家だけではなく、一般の市民と話し合いながら、政策を作っていくことができるのだろうか?」ということでした。

今の日本ではそうなっていないのはご存じのとおりです。今回の体験を通して、「何がそれを阻んでいるのか」について、いくつかわかってきたことがあります。

今後、その「阻害要因」を減らす、または回避するためのやり方をいろいろと模索していきたいと考えていますが、最大の阻害要因の1つは、私たちが一人残らす持っている「メンタルモデル」です。メンタルモデルとは、「それが真実であると心から信じている思い込み」です。

私たちはこれまでの経験などから、さまざまなものに対して、「そういうものだ」というイメージを持っています。それはイメージなのですが、本人は「それが真実だ」と固く信じています。信じているという意識もないほど、本人にとっては「真実」なのです。

そういうメンタルモデルから、何かを見聞したときに、「どうせエネ庁は」「どうせNGOは」「どうせ経団連は」といった結論・発言になります。自分のメンタルモデルに合致しない情報は無意識のうちに排除されます。お互いがそうやって、メンタルモデルからの結論と発言を繰り返している限り、本当の意味での対話も議論もできませんよね。

自分のメンタルモデルに気づくこと。「これまではそう信じてきたけど本当にそうなのかな?」と自分で自分のメンタルモデルを点検してみること。必要があれば、メンタルモデルをゆるめたり変えたりしていくこと。

これが個人の成長にも組織の成長にも必須です、ということを、システム思考や学習する組織の研修で、繰り返し言ってきました。気づき方やゆるめ方についてレクチャーしてきました。

この8ヶ月の間、情勢懇に参加し、自分の意見を準備する過程の中で、自分自身のさまざまな思い込みに気づかされました。事実を調べる大事さが身に沁みました。ありがたい学習の機会をもらえたなあと思っています。

今回の学びや気づきを、ぜひ今後に活かしていきたいと思います。

さて、「どうやったらエネルギーについて、政府の担当者や業界団体、専門家だけではなく、一般の市民と話し合いながら、政策を作っていくことができるのだろうか?」という問題意識から、先月英国出張時に、RSAという団体の取り組みを取材してきました。

RSAの取り組みはエネルギー政策ではなく、経済政策ですが、経済政策もエネルギーと同じように、一般の市民からは遠くて、政府や専門家に任せているきらいがあります。その経済政策に、どのように市民を巻き込み、市民も経済政策に影響を与えられるようにしようとしたのか、「市民経済協議会」について、幸せ経済社会研究所のサイトに取材記事がアップされました。

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~

「市民を経済政策に巻き込もう!」 RSAの「市民経済評議会」

英国王立芸術・製造・商業振興協会(RSA)の市民経済評議会は、市民を経済政策に巻き込むためのプロジェクトです。このプロジェクトでは、市民は、専門家との質の高い討論を行いながら経済について学び、最終的に経済に関する自分達の意見を「憲章」にまとめ表明しました。2年間にわたるこのプロジェクトは先日終了し、2018年3月に最終報告書「経済の公共文化を構築する(Building aPublic Culture of Economics)」が発表されています。

プロジェクトの中心は、市民が専門家の話を聞いた上で議論する「市民経済評議会」です。その他にも、地方を巡回してもっとも「取り残された」コミュニティやネットワークに働きかけるイベントや、クラウド・ソーシング、ステークホルダー・エンゲージメントなどが行われました。ここでは、市民経済評議会について、そのプログラムの内容をご紹介します。

●市民経済評議会

市民経済評議会は、マンチェスターとロンドンの2都市で開催されました。参加者としては、マンチェスター近郊とロンドン近郊に暮らす、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が選ばれました。そして同じメンバーが、5ヶ月間、5日間にわたり議論を重ねました。

プログラムの最初の2日間は、「社会・経済・市場」、「機関(銀行など)」といいったテーマに基づき、市民が専門家の話を聞いた上で、討論を行いました。この2日間は「経済について学ぶ」ことに重点が置かれたプログラムです。

3日目の午前中は、食料・農業、健康、交通の3つの分野の専門家を招き、財政支援や法令がどのような影響を与えるのかについての説明を聞きました。午後は、「雇用や経済成長」と「気候変動への対処への必要性」との間の対立に、技術革新がどのような変化をもたらすのかに焦点をしぼり、議論を行いました。3日目のプログラムは、自らの考えを「議論」することが重視されています。

4日目と5日目は、自分たちの考えをまとめることが求められました。4日目には参加者は、「市民経済憲章」の草案を考えました。最終日の5日目は、マンチェスターとロンドンの合同開催で、それぞれが作成した「市民経済憲章」の草稿を持ちより、ひとつの「市民経済憲章」にまとめました。

完成した憲章では、「公平性」「社会的に公正な社会」「社会貢献のための技術革新」「持続可能性(経済、環境、社会)」「権力と意思決定の取り戻し」などが謳われています。

評議会の参加者に行われたアンケート調査では、「同じ地域に暮らす人や専門家と経済について議論することは、投票者としての自信に、非常に大きな影響を与えた」と回答した人が、ロンドンでは38%、マンチェスターでは27%、同じ質問に対して「ある程度影響を与えた」と回答した人が、ロンドンでは40%、マンチェスターでは60%でした。合せると、ロンドンでも、マンチェスターでも、80%近くの人が、議論をすることによって投票者としての自信をつけたと回答しています。

このプロジェクトに中心的に関わったRSAのKayshani Gibbonさんにお話を伺ったところ、影響を受けたのは市民だけではなく、プロジェクトに参加した専門家も、市民からの影響を受けたとのことでした。

例えば、プロジェクトに専門家として参加していたある銀行のトップは、最後のセレモニーで市民からの提案を受け容れたそうです! 市民と専門家が対話するこのプロジェクトは、市民だけではなく、専門家にも影響を与える大きな可能性をもったプロジェクトです。

このプロジェクトについて詳しくはこちら(英語)
https://www.thersa.org/action-and-research/rsa-projects/economy-enterprise-manufacturing-folder/citizens-economic-council

~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~

内外の取り組みや知見を学びながら、私のライフテーマの1つでもある「どうやったら、政府の担当者や業界団体、専門家だけではなく、一般の市民と話し合いながら、政策を作っていくことができるのだろうか?」を模索し続けたいと思っています。

2050年に向けてのエネルギーに関する提言、今日の情勢懇でとりまとめが終わったら、また内容をお伝えしますね! どうぞお楽しみに。

 

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