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人生のピークを90代にもっていく!――折り返し地点から、「死ぬまでハッピーな人生」をつくる
 

(はじめにより)

幸せなことに、自分のこれまでを振り返ってみると、20代より30代、30代より40代、40代より50代と、どんどん自由になり、幸福度がアップしている実感があります。

かつては「人は一ヶ所に住むもの」「一度結婚したら添い遂げるべき」と当然のように思っていましたが、人生の午後にさしかかり、そういったもろもろの思い込みや前提をするりするりと脱ぎ捨てた結果、「今ほど自由で幸せな時はないなあ!」という毎日です。

そして、50代の今は、「人生のピークを90代にもっていこう!」と本気で考えています。90代に向かって、緩やかなカーブを上昇中なのです。

なぜ、そんなふうに思えるのか?

それは世界中の幸福度研究から、人生の後半を幸せに生きていくための秘訣をいっぱいもらっているからです。そして、いろいろな工夫を試していくこと自体がとても楽しいからです。

私は、20年ほど前から環境問題に取り組んできました。その中で、「幸せとは何か、経済や社会のしくみはどうあるべきかを考えることなく、環境問題を本当に解決することはできない」との思いに至り、2011年1月に、幸せ経済社会研究所を設立、勉強や研究・実践活動を続けています。

GNP(国民総生産)ではなく、GNH(国民総幸福量)という独自の指標を掲げ、その最大化を目標としている幸せの国・ブータンの政府の「国際専門家委員会」の一員として、世界中の幸福研究の第一人者のネットワークに加わり、学んだり議論したりする機会を得ています。

島根県海士町や熊本県の南小国町や水増集落、北海道下川町などで、人口減少と高齢化の進む日本において、「人々の幸福度をどう測るか」「自分たちらしい幸せとは何か」という研究や調査のお手伝いなどもさせてもらっています。

また、7年前から日本の東洋思想研究の第一人者である田口佳史先生のもとで、中国古典の勉強をさせていただいています。

このような経験から得てきた学びや知見には、「本当に幸せな『人生の午後』を生きるには、どうしたらよいのか?」のヒントがいっぱいあります。

たとえば、世界の幸福研究から、富や健康状態よりも、人との関係性が幸福度に大きな影響を与えることがわかっています。

ハーバード大学医学大学院の研究チームが、何千人もの人たちを対象に、健康と幸福に関する長期の追跡調査を実施した研究があります。最も幸福感が高いのは、最も裕福な人たちでもなければ、最も大きな業績を成し遂げた人たちでもありませんでした。幸福感の高さと最も強い関連性が一貫して認められた要素は、「親しい友達がどの程度いるか」だったのです。

東洋思想の教えは、「幸せとは外界にあるのではなく、自分の内に見いだすものである」ことを繰り返し説いています。「足るを知る者は富む」という言葉はよく知られています。

また、本土からフェリーで3時間、海が荒れると生活用品を運ぶ船すら欠航になる離島・海士町の幸せの源泉の1つは、「ないものはない」というスピリットです(フェリーのターミナルに着くと、所狭しと貼られているこのポスターが迎えてくれます!)。

「ないものはない」には、「ないものはない。なくていい」という潔さと、「ないものはないぐらい、幸せのために必要なものはすべてある」という充足感の2つの意味があります。これぞ、幸せな午後の生き方ではないか。

「人生の午後を幸せに生きるヒントがたくさんある。自分でもいろいろ工夫して、効果のあるもの・ないものがわかってきた。それをぜひ多くの方にお伝えしたい!」そんな思いで、この本を書くことにしました。

本書を通して、ぜひお届けしたいメッセージは、大きく3つです。

1つめは、「人生の午前中の義務(会社勤め、子育てなど)からリタイア(引退)するからといって、自分の人生からリタイアしないこと!」

2つめは、自分の外にあるものを追いかけて獲得することで満足するという、「幸せの外部依存度」を減らし、あるがままの自分に幸せを感じられる、「幸せの自給率」を高めていくこと。

3つめは、いくつになっても革新し続ける、しなやかで生命力あふれる人でいること。

ではどうしたら、そんな生き方ができるのでしょうか?その答えをこれから書いていきます。

本書が、死ぬ瞬間まで自分らしくイキイキと幸せな人生を送りたい、というあなたのお役に立つことができれば、これ以上うれしいことはありません。

枝廣淳子

 

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