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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2013年06月10日

「世界自然エネルギー未来白書 2013」~総エネルギーに占める自然エネルギーの現状と将来 (2013.06.10)

エネルギー危機
新しいあり方へ
 

過日、「世界自然エネルギー未来白書 2013」の報告書主筆兼研究ディレクターを務められたエリック・マーティノーさん(環境エネルギー政策研究所)にお話をうかがう機会がありました。

この「世界自然エネルギー未来白書 2013」、とても興味深く、わくわくする報告書で、自然エネルギーの過去・現在・未来を見ることができます。環境エネルギー政策研究所(ISEP)が翻訳して日本語版を作ってくれているので、どなたでも読むことができます。
http://www.isep.or.jp/gfr

この報告書は「170名の一流の専門家の意見や最近発行された50のシナリオの予測に基づいて、今後の可能性のモザイクを表わしている」ものですが、「自然エネルギーはこれまでどうだったの?」「現在のようすは?」も確認することもでき、これもとても役に立ちます!

たとえば、「世界の自然エネルギーの成長は、1990年代に始まり、2000年代には大いに加速した」ことは、私たちもメディアの報道などを通して、また最近では身の回りのようすからも、実感として感じていますよね。

でもその成長ぶりが「多くの自然エネルギーに関する過去の予測は不十分であった」「2004年より以前に作成された多くのシナリオが2020年までに達成すると予測していた自然エネルギーのレベルは、すでに2010年までに超えることができた」「過去のエネルギーシナリオを見てみると、10分の1程度の低い予想をしているか、予期されていたよりも10年早く達成されている」というほど(想定外?!)すごい!のです。

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~~

たとえば、2000年には国際エネルギー機関(IEA)が2010年までに世界中で風力発電が34ギガワット(GW)となると予測していたが、実際のレベルは200GWを達成した。

1996年には世界銀行が2020年までに中国で風力発電が9GW、太陽光発電が0.5GWとなるよう予測していたが、実際のレベルは9年早い2011年に達成し、風力発電が62GW、太陽光発電 が3GWとなった。

2011年には、化石燃料と原子力への投資の総額を超える2,600億ドル以上が新たな自然エネルギー容量に投資された。2004年には、わずか400億ドルであった。

2011年には、世界120ヶ国ほどに自然エネルギーを支援する政策があり、現在、その多くは発展途上国である。支援策のある国は2004年には約50ヶ国であり、当時はそのほとんどが先進国だった。

2011年の太陽光発電(PV)の年間市場は、2004年の30倍に拡大した。

~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~~

現在、世界全体では、総エネルギーの約17~18%を自然エネルギーから得ているとのこと。総エネルギーとは、電力だけでなく、熱利用・冷房、交通用エネルギーも含めたものです。

国ごとに見てみると「2011年には、約30ヶ国が、国内の総エネルギーの20%以上を自然エネルギーから得ており、中には50%に達する国もある」。

「オーストリア、ブラジル、チリ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ニュージーランド、ノルウェー、ペルー、フィリピン、ポルトガル、ルーマニア、スウェーデン、ウガンダ、ウルグアイなどの国がこの範疇に入る」とのこと。

え、この国が?とちょっとびっくりする国もありませんか?

「欧州連合(EU)全体や米国はいずれも12%である。フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、その他数ヶ国は10%以上」。そして、「日本は6%」です......。

私たちが実感している最近の自然エネルギーの躍進ぶりはデータでも示されており、「2011年には、世界中で新しく追加された発電容量の約半分が自然エネルギーであった」。2011年に新規に発電を始めたものの半分が自然エネルギー、つまり、 化石燃料と原子力の合計とほぼ同じ、ということです。

では、自然エネルギーの今後はどうなるのでしょう? 170名の専門家の意見や最近発行された50のシナリオの予測をもとに、以下のように述べられています。

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2010 ~ 2012年に発行された最も新しいシナリオは主に3つのグループに分けられる。すなわち、「保守的」「中位」「高位自然エネルギー」である。

15 ~ 20%という保守的なシナリオは、石油会社、いくつかの業界団体、IEA、米国エネルギー情報局(EIA)などが発行している。

たとえば、BPのエネルギー展望2030年(2012年)とExxonMobilの「エネルギー展望:2040への展望」(2012年)はともに、2030 ~ 2040年までの自然エネルギーシェアを15%以下としている。EIA (2011年)は2035年までの自然エネルギーシェアが14%、IEAの世界エネルギー展望(WEO、2012年)はその「新政策」シナリオで、2035年までに18%としている。

石油会社やガス会社の保守的な視点はこのような保守的なシナリオを反映している。こういった会社は「今後数十年間、化石燃料が世界のエネルギー供給の大部分を占め続けるだろう」(Chevron)や「世界のエネルギー混合において石油が優位であることは、当面の間、揺るぎないままであろう」(Total)といった発言をし続けている。

中位のシナリオは、25 ~ 40%の長期自然エネルギーシェアを提示している。IEAの例を2つ挙げると、2035年までに27%の自然エネルギーシェアを提示しているIEA WEO (2012年) 「450」炭素安定化シナリオと、2050年までに41%のシェアを提示しているIEAETP( 2012年)「 2DS」シナリオである。

自然エネルギーに関するIPCC特別報告書(2011年)は、160以上の気候変動緩和シナリオの結果(ほとんどは2009 ~ 2010年のもの)を総合し、その半分以上が2050年までに27%以上のシェアを予測していることが判明した

高位自然エネルギーシナリオは2050年までに50 ~ 95%という自然エネルギーのシェアを予測している。

IPCC( 2011年)が調査した160団体のシナリオの中には、50 ~ 80%というのが多かった。最も認知度が高く、自然エネルギー政策提案者が作成した緻密な予測である、Greenpeaceによる隔年のEnergy [r]evolutionシナリオは82%を提示している。最も高いものはWWF (2011年)で、95%のシェアを提示している

インタビューによれば、長期的には世界中で少なくとも30 ~ 50%という自然エネルギーのシェアを達成すると、ほとんどの産業専門家が信じている。

また、将来的には100%あるいはほぼ100%となることを主張する専門家もいる。欧州だけであればさらにかなり高いシェアになると、欧州の専門家らは述べており、50 ~ 70%のシェアが達成可能であると多くの専門家が述べている

2012年に、国連は自然エネルギーの世界目標を掲げた ― 2030年までに自然エネルギーによる世界のエネルギーシェアを2倍にするというものだ。

この目標は、国連の「すべての人のための持続可能なエネルギー」イニシアティブと関連しており、このイニシアティブも世界のエネルギー効率を改善して2倍にすることや、近代的なエネルギーサービスを誰もが利用できるようにすることを目指している。目標を達成すると、自然エネルギーで約30 ~ 35%のシェアが達成されることになる。

~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~~

保守的な見方でも15~20%とのこと、これだけでも日本のエネルギー情勢は大きく変わっていくでしょうし、海外でのエネルギー関連ビジネスにとっても、とても大きな市場が台頭してくるということになりますね。そして、専門家などへのインタビューから、30~35%は行きそうな感じなのですね。

では、各国の目標はどうなっているのでしょうか? 少なくとも118ヶ国に自然エネルギーの目標があり、日本よりもずっと野心的な目標を掲げて進みつつある途上国がいっぱいあること、びっくり&危機感を覚えます。

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~~

各国政府はエネルギー供給を将来へとつなげる計画を立て、2020年、2030年、さらに2050年までの自然エネルギーの今後のシェアの実際の政策目標(目安)を制定している。

少なくとも118 ヶ国に2011年までの自然エネルギーの政策目標があり、2005年の49 ヶ国から飛躍的に増加している。

EU全体は2020年までに20%を目標としており、すべてのEU加盟国には、全体で20%の目標を達成するように設定された2020年の個別目標がある。ドイツは長年にわたって欧州の自然エネルギー主導者であり、1990年代の最初の政策先駆者のひとつでもあり、その包括的な一連の目標は、2020年の18%から2050年の60%のように、10年ごとの段階的進行を備えたものである。

デンマークも最初の先駆者であり、2020年の35%から、長期的には(2050年)100%自然エネルギーを目標とする、EU加盟国では唯一の国である。

欧州以外では、少なくとも20 ヶ国の様々な国々が2020~ 2030年の間に、10% ~ 50%のエネルギーシェアを目標としており、これにはアルジェリア、中国、インドネシア、ジャマイカ、ヨルダン、マダガスカル、マリ、モーリシャス、サモア、セネガル、韓国、タイ、トルコ、ウクライナ、ベトナムなどの国々がある。

具体例を2、3挙げると、アルジェリアは2030年までに太陽光発電(太陽光発電(PV)とCSPいずれも)から37%、風力発電から3%を目標にしている。インドネシアは各自然エネルギー技術が2025年までに合計して18%という目標を掲げている。ウクライナは2030年までに19%を目標にしている(2010年の1%と比較)。

中国は2020年までに自然エネルギーと原子力を合わせて15%を目標にしている。(ちなみに、2010年には自然エネルギーは約9%、原子力は約1% であり、したがって、この目標では2010年のレベルより自然エネルギーが約50%増加することになる)

~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ここまで、総エネルギー(電力、熱利用・冷房、交通のすべて)としての自然エネルギーを見てきました。総エネルギーの中でも、電力は自然エネルギーの導入がしやすいものです。では電力を見たとき、自然エネルギーの現状はどうなのか、今後はどのようになっていきそうなのか、つづきの号をお楽しみに!

 

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