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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2010年10月07日

「“成長”を考え直す世界の動きについての勉強会」へぜひ! (2010.10.07)

 

アイスランドでのバラトン合宿から帰国直後に出した[No. 1846] で

> 特に前半の「Alternatives to Growth」(成長に代わるもの)については、ずい
> ぶん前からの自分自身の問題意識でもあり、興味深く議論してきました。いろい
> ろと考えるヒントや切り口をもらって帰ってきた思いです。
>
> 日本でもしっかりと「成長をどう考えるか」の議論を展開していきたい!と思っ
> ています。このテーマで、連続勉強会を10月下旬にスタートするつもりで準備を
> 進めています。この分野の世界の最新の知見を読んで、考えて、議論する勉強会
> (読書会)です。準備ができましたらご案内しますので、どうぞお楽しみに!

いよいよ始めます〜!

「“成長”を考え直す世界の動きについての勉強会」

これまで、世界の大部分では、経済成長はなくてはならないものだと(無意識・意識的に)考えられてきましたが、人口や経済の成長がもたらした環境破壊や温暖化のような地球改変の影響が明らかになるにつれ、“成長”をもう一度しっかり考えようという動きが盛んになってきました。

成長とは何なのか成長の果たしてきた役割とは?成長が生み出してきたものは何か、成長が引き起こしてきた弊害は何か?無限の成長はありうるのか? どこまで成長できるのか?

ここ数年、「脱成長」(de-growth)の研究やアピールが欧州を中心に広がっています。どのような考え方なのでしょうか? 脱成長は可能なのでしょうか?

バラトン会議でこのテーマで議論をしたとき、世界の中でもこの分野の第一人者と目されているティム・ジャクソン氏のプレゼンの中の1枚がとても腑に落ちました。3つの文が載っていました。

"Growth is unsustainable." (成長は持続可能ではない)

地球は有限なのですから、成長が無限に続くことはありえない、というのは私を含め、環境派にとっては“当然のこと”ですが、まだそう認識していない人もたくさんいますね。

"De-growth is unstable." (脱成長は不安定を引き起こす)

環境派に対して、経済・産業派の人々は「経済の成長を止めたら、失業者が増える。生活水準が落ちる。社会が混乱し、衰退する」と主張します。環境派はつい「それは何とかなるだろう、それより地球を守らなくては」と考えがちですが、でもやっぱり、いまの社会や経済の構造が“成長”を基盤としているかぎり、成長をやめることがどのような影響をもたらすのかはしっかり考える必要があります。

有限の地球の上で、無限の経済成長を求める構造の社会のなかで、この2つの折り合いをつけるために、これまで力を入れてきたのが(現在もですが)技術革新や技術開発によるデカップリングです。エネルギー効率や資源効率を上げることで、「GDPは増えても、資源やエネルギーの消費量、CO2排出量は同じようには増えない」という、経済成長と資源や環境への悪影響を切り離す(デカップル)試みですね。

ティムの3行目は

"Decoupling won't work."

でした。確かに効率改善は時間稼ぎにはなる、しかしゼロになるわけではないから、成長が続く限り、必ずそれだけでは十分でなくなる、、、と。

"Growth is unsustainable."
"De-growth is unstable."
"Decoupling won't work."

「ではどうしたらよいのか?」を2日間にわたって議論したのですが、ティムも、他の専門家もバラトンメンバーも、「この折り合いの付け方、解決策が現在あるわけではない」「しかし、だからといって、破滅へのレースである“有限の地球上での無限の成長追求”を続けることが賢明とは考えられない」「経済成長を宿命づけている現在のお金のシステムを含め、構造を変えるしかない」。

明快な答えが今ないからといって目をつぶるのではなく、答えを求めてしっかり考えていこう--私もそう思います。(答えがない状態は人を不安にさせますから、つい、目をつぶりたくなるんですけどね、それでは真の解決策にはなりませんから!)

というわけで、欧米でのこの分野の最新の知見の中から影響力の大きなもの、ぜひ知っておいたほうがよいものを取り上げて、読書会を行います。月1回×6ヶ月です。じっくり学び、考えていきましょう。

とりあげる書籍や論文は、第5回の図書以外は日本語の翻訳がないので、英語中心になりますが、私たちが内容のポイントをしっかり日本語でお伝えしますので、ご心配なく〜!

現在、以下の書籍・論文を考えています。(もっと重要で適切なものが出てきたら、変更・追加しますが、参加者には早めにお伝えします)

全体の枠組みの共有という意味で、事前参考文献:『地球のなおし方』

第1回:Indicators and Information Systems for Sustainable Development(Donella Meadows)

第2回:Growth isn't possible (New Economic Foundation)

第3&4回:Prosperity without Growth (Tim Jackson)

第5回:『経済成長なき社会発展は可能か?〜<脱成長>と<ポスト開発>の経済学』(セルジュ・ラトゥーシュ)

第6回:Avoiding Rebound through a Steady-State Economy (Jorgen Norgard)

(洋書や論文の入手方法は参加者にお知らせしますので、ご安心ください)

この半年、自分でもしっかり勉強しながら、考え方の枠組みを作っていきたいと思っています。「こういうことが大事だと思っていた」という方、「何だかわからないけど、とりあえず世界の動向をのぞいてみよう」という方、ぜひどうぞ〜!

全6回ですが、参加できない回は代理の方にお出いただくこともできますし、代理の方がいらっしゃらない場合は、当日の資料と解説プレゼン部分の音声ファイルをお届けしますので、安心してご参加下さい。

最も大事なことを、たくさんの方々と勉強できることを楽しみにしています。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここからご案内〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

■「“成長”を考え直す世界の動きについての勉強会」

○日時:全6回
2010年10月28日(木)、11月30日(火)、12月21日(火)
2011年1月21日(金)、2月24日(木)、3月17日(木)

いずれも、18:45〜21:15(18:30受付開始)

○場所:2010年10月28日(木)、11月30日(火)、12月21日(火):
豊島区立舞台芸術交流センター「あうるすぽっと」会議室B2
http://www.owlspot.jp/access/index.html
(JR池袋駅 東口より徒歩10分
 東京メトロ有楽町線・東池袋駅 6・7出口より直結)

2011年1月21日(金)、2月24日(木)、3月17日(木):
東京都内研修室(場所の予約ができ次第お伝えします)

○プログラム
18:30 受付開始
18:45 開始
    課題書の解説(プレゼンテーション)
    ディスカション21:15 終了

○講師:枝廣淳子、小田理一郎

○定員:最大60名程度

○参加費:全6回30,000円(税込)

 ※参加費に、課題図書・参考図書の代金は含まれておりません、必要に応じて各自で
ご用意ください。
 ※お出になれない回は、代理の方にご参加いただけます。代理の方がいらっしゃらない
場合は、当日の資料とプレゼン部分の音声ファイルをお届けします。

○お申込み:以下の申込書を bookclub2010@es-inc.jp までお送りください。

(件名に『「成長を考え直す世界の動きについての勉強会」申込み』とお書きください)折り返し、参加費のお支払いについてご案内いたします。

参加費のお支払いをもって正式受付とし、参加票を電子メールでお送りいたします。

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申 込 書

■2010年10月28日(木)〜2011年3月17日(木)/全6回
『成長を考え直す世界の動きについての勉強会』に参加します。

ご氏名 [                      ]
ふりがな[                      ]
ご所属 [                      ]
メールアドレス [                  ]
連絡先電話番号 [                  ]
備 考 [                      ]

※このセミナーのことをどこでお知りになったか教えていただけると幸いです。
( ) a. 枝廣淳子のメールニュース(enviro-news)
( ) b. イーズメール
( ) c. 職場・知人・友人からのご紹介
( ) d. イーズのウェブサイト
( ) e. その他 (          )

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○お問合せ・お申込み:有限会社イーズ
 (担当:津田、瀧上、飯田)
E-mail:info@es-inc.jp/電話: 03-5426-1128

温暖化も生物多様性の減少も「症状」の1つです。それらやその他多くの問題を引き起こしている「本丸」にいよいよ切り込んでいきます!

本丸への切り込み時期は、自分で想定していたより数年前倒しですが、それだけ切迫してきたのか、世界の動きが速くなってきたのか、、、いずれにせよ、しっかり考えていきたいと思っています。


※有限会社イーズは、2017年12月25日に移転いたしました。
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