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メール講座 Next Stage:翻訳力アップ自己トレ(1)

第10回 質問(1)

 

<質問1>パラグラフ1のour global impactsについて。解説では「われわれ人間が与えた影響」としていますが、私は「われわれの地球が受けた影響」と受身で訳していました。(5つの訳文も同じ様です)受身と能動では、全くニュアンスが違ってきますが、これは誤訳ですか?

<回答>
our global impactsの解釈は、この言葉だけを取り出してみても、文脈から考えても、どちらにしても「われわれが(地球に対して)与えた影響」となりそうですね。

まずour impacts の意味ですが、「われわれが与えた影響」ととるのが自然でしょう。「われわれの地球が受けた影響」という意味でしたら、impacts on (our) Earth とするほうが自然だと思います。たとえば、次のようなタイトルの本がありますので、参考にしてみてください。Our Ecological Footprint: Reducing Human Impact on the Earth Water Supply : Our Impact on the Planet

次に全体の文脈のなかで考えてみましょう。パラグラフ1で、our global impactsに言及したあとで、すぐに熱帯雨林が地球全体にとってどれだけ重要であるかを語っています。この流れの中だけでみてみると、「我々の地球が受けた影響」と訳しても自然に感じてしまうかもしれません。でも、全体の趣旨は、「熱帯雨林に住む原住民たちが先進国による環境破壊の直接の被害にあっており、先進国に住む私たちは、全員がその加害者であることに気づくべきだ」ということですから、「われわれが......」としたほうが、著者の意図が生かされますね。

そう考えれば、受身が前面に出た訳は、著者の意図とは異なり、誤訳となってしまうと思います。しかし、良いところに気がつかれましたね。その「気づき」を大切にすることが、翻訳の力を伸ばしていくコツです。細かく神経を行き届かせて、これからも正確で読みやすい翻訳をめざしていってくださいね。



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