ホーム > 第10回 質問(5)

メール講座 Next Stage:翻訳力アップ自己トレ(3)

第10回 質問(5)

 

<質問5>
時制の訳し方/とらえ方についてお尋ねします。原文は過去形(現在形)でも、場合によっては、自然の流れの日本語を求めて現在形(過去形)で訳してもいいのでしょうか。今回迷う箇所がありましたが、エダヒロ訳にも原文の過去形を現在形(その逆も)で訳出している箇所が見受けられました。この辺のさじ加減のコツを教えて下さい。

<回答>
まず、英文でも日本文でも、過去のことを必ず過去形で表現するとは限りません。過去のことを現在形で語ると、臨場感が出る、その時だけのことではないというニュアンスが出る、文章が引き締まった感じになる、などの効果がありますね。

従って、過去形の英文を現在形で訳す場合もありますし、逆に、過去のことを現在形で語っている英文でも、過去形で訳したほうが流れが良い、あるいは、単なる好みで過去形で訳出する場合もあります。

つまり、このような場合の時制は、文章の内容が読み手に正確に伝わる限りは、どちらで表現するのも自由だと言えるでしょう。

ただし、今回の課題は評論文ですので、臨場感をどこまで出すかは好みの問題と言えそうですが、これが物語や小説であれば、過去形で書かれた文章でも現在形で訳さないと読者を引き込むことは難しいでしょう。そのあたりのさじ加減が翻訳の難しさであり、面白さでもあります。



メール講座 Next Stage:翻訳力アップ自己トレ(3)
 

このページの先頭へ

このページの先頭へ