<質問>
どこまで時間をかけて訳せばよいのでしょう。これでいこうと決めるタイミングや判断はどうされていますか?
<回答>
昔出版社で仕事をしていたとき、「校正って、白髪抜きと同じだ」と先輩に教わったことがあります。そのココロは、「やってもやっても終わらない」(^^;翻訳の練り直しも同じだなあ、とよく思います。
ただ一方で、時間をかければかけるほど訳文の質が際限なく上がっていくわけではありません。多くの場合、あるところまでは、費やした時間に応じて質は向上しますが、その先は、あまり上昇のカーブが見られなくなっていきます。しかも、様々な用事がある中で時間の制約もありますね。
以前もお伝えしましたが、私の場合、「初訳」と「練り直し」にかける時間の割合は、1:5か1:6ぐらいです。それを踏まえて、最初にスケジュールを決め、制限時間を設けて進めていきます。時間が許せば、手直ししたいところはいくらでも出てきますが、特に仕事で翻訳をするとなると、根気強さと共に思い切りも必要となります。
どこで良しとするかは、数をこなすうちにご自分の中でつかめてくるものがあると思います。興味の持てそうな題材を探して、いろいろと試してみるのも良いと思いますよ。