エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2026年02月25日

社会の価値の測り方  (2026年2月23日掲載)

 

不安定で不透明な時代だからこそ、多様な見方や多元的な考え方が大事になってきています。それぞれをしっかり見ていこう、それぞれがどうつながっているかも見ていこう、という認識・関心が高まっていると感じています。

私は以前、生態系サービスの価値を経済的価値として数値化した生態系の専門家に「自然を金銭換算するなんて、自然に対して失礼じゃない?」と言ったことがあります。彼らはぶぜんとした表情で「自然を守ろう、とずっと叫んできたが、だれも耳を傾けなかった。だから、経済学者や企業の経営者が理解できる言葉で伝えなくてはならないと、あえて、金銭換算した。それがすべてでもないし、自然そのものの価値はもっと大きく深いということは承知の上だ」と答えました。

問題とその深刻さを共有し、解決に向けての進捗を次の取り組みにフィードバックするためにも、たとえ完璧ではないにしろ、「見える化」と「測定」が重要なのだ、と今は私も心から信じています。

世界にせよ、地域にせよ、組織にせよ、持続可能であるためには、「持続可能性の3本柱」と呼ばれる「環境」「社会」「経済」、そしてもう一つ「幸福」(ウェルビーイング)が重要です。

近年、GDP(国内総生産)に代表される「経済的側面」だけではなく、「環境的側面」「社会的側面」、そして「幸福度」も測る手法の研究開発が進んでいます。測定し「見える化」することで問題解決の手がかりを見つけたり、状況を改善したりする事例もたくさん出てきています。「経済的側面」も、国全体の話だけでなく、「うちの町」の経済的側面も見える化できるようになってきました。「どういう町にしたいか」「そのためにどうしたらよいか」を、データをもとに議論できます。

こういった最新の研究を取り入れつつ、自分たちの現場での実践を紹介することで、「見える化の可能性と、それによる問題解決や改善の可能性を広く知っていただきたい」という思いで、岩波新書『社会の価値の測り方―「見える化」で地域を豊かにする』を出版しました。

「測ること、見える化することで進んでいける!」力をみなさんのそれぞれの活動に使っていただけたら、これ以上うれしいことはありません。

 

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