エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2023年02月22日

気候変動を止めるために (2023年2月20日掲載)

 

喫緊の課題である気候変動を止めるには、どうしたらよいのでしょうか。3つのポイントをお伝えします。

1つ目は「これから出すCO2を実質ゼロまで減らす」ことです。「カーボンニュートラル」、「脱炭素」などの取り組みです。「実質ゼロ」とは、人間活動による排出量と人間活動による吸収量を同じにすること。こうすることで、大気中のCO2は増え続けなくなります。

私は、自治体や企業の「これから出すCO2を実質ゼロまで減らす」取り組みの支援をしています。しかし、これだけでは十分ではありません。CO2には大気寿命がないからです。いったん大気中に排出されると、何かに吸収されるまでは大気中に存在し続け、温室効果を持ち続けるのです。

そこで必要なのが2つ目のポイントである「すでに大気中にあるCO2を除去する」こと。大気中のCO2を回収する方法はいま、世界でもホットなテーマです。DAC(直接空気回収)技術の開発・実用化が進められています。植林などにより陸上の植物に吸収してもらう「グリーンカーボン」の活動も以前から行われています。

そして、世界で注目を集めているのが「ブルーカーボン(海洋生態系に蓄積される炭素)」です。マングローブや藻場(海草・海藻)などの再生を通じて、海の生態系が吸収するCO2を増やそうというものです。私も熱海の未来創造部で取り組みを進めています。

3つ目のポイントは、「いったん除去・回収したCO2が再び大気中に戻っていかないように固定化する」ことです。せっかくCO2を吸収した植物が燃やされたり腐ったりすると、CO2はまた大気中に戻ってしまうからです。そうならないよう、CO2を固定化する必要があるのです。

その切り札が「炭化」です。バイオマス原料を熱分解することで、炭素密度の高いほぼ結晶質の物質ができます。微生物にも分解できないため、炭素の大部分を土中に何世紀も封じ込めることができるのです。

間伐材や竹、剪定枝、食物残さなどを炭にする「バイオ炭」の取り組みを未来創造部でも進めています。炭化ユニットの販売・レンタル・移動製炭サービスなどを通じて、熱海だけでなく、他の地域の「植物性のお困りもの」などを炭にするお手伝いもしています。炭化は、地域資源の循環と大気中の炭素循環の両方を整える"一石二鳥"の取り組みです。

 

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