エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2022年10月19日

SDGsを手引きに (2022年10月17日掲載)

 

岸田政権の掲げる「新しい資本主義」。その三本柱の1つがGX(グリーン・トランスフォーメーション)です。気候変動の危機が顕在化するなか、政府をあげて「カーボンニュートラルの達成に向けて、経済社会システム全体を変革していこう」という取り組みです。

2020年1月、世界中の政治・産業界のリーダーが集まるダボス会議(世界経済フォーラム)が「ステークホルダー資本主義」を提唱しました。これまでの「株主資本主義」、つまり株主利益の最大化や短期的な利益を追求する企業経営が、環境問題や社会問題を引き起こしてきた、という反省に立っての大きな方向転換です。

環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を重視する「ESG投資」に関する報道も増えています。世界のESG投資を隔年で集計しているレポート(GSIR)の2020年版は、欧州、米国、カナダ、豪州・ニュージーランド、日本の5地域の機関投資家を対象に調査し、「2020年の世界のESG投資総額は全体で35兆3千億ドルに達した」と報告。2018年の総額からは15%、2016年の総額からは55%と大きく伸びています。

2020年のESG投資総額は、調査対象の機関投資家の全運用資産の36%。既に全体の3分の1以上がESG投資なのです。2020年の日本のESG投資額は約320兆円で前回調査の18年から32%の増加です。運用資産総額に占めるESG投資の割合は、日本は24%、カナダは62%、欧州が42%、豪州は38%、米国は33%となっています。

私たちは現在、大きなパラダイムシフトの真っ只中にあります。「いかなる企業活動も、社会と環境という基盤がしっかりしていないと、持続的に展開することはできない」という意識が広がっているのです。

SDGs(持続可能な開発目標)は「しっかりした環境と社会の上で、しっかりした経済活動を持続可能に営んでいくためには何に取り組むべきか」を分かりやすく示すものです。経済活動に携わるすべての企業・組織・地域・社会が「自分たちにとっての課題は何か、何をすべきなのか」を考える手助けとなります。

あらゆる組織は、社会の要請に応じてこそ存続を許される存在です。新たな社会の要請とは何か、持続可能な企業活動を続けていくにはどうしたらよいのか、自分たちが生き残るために対応すべきは何なのか――それを分かりやすく紐解いてくれる枠組みとしてSDGsを使ってください。

 

このページの先頭へ

このページの先頭へ