エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2022年08月24日

一石二鳥の炭化事業 (2022年8月22日掲載)

 

暑いですね! 世界の平均気温は産業革命前と比べて既に約1度上昇していますが、2100年には最大5.7度上昇する可能性があります。早く手を打たないと!

「脱炭素」や「カーボンニュートラル」は、省エネや、再生可能エネルギーの活用などによって、今後の二酸化炭素(CO2)排出量を減らすことですが、それだけでは足りません。CO2には寿命がなく、何かに吸収されるまで大気中に留まり、温室効果を保ち続けるので、「大気中のCO2を除去する」必要があります。「DAC」と呼ばれる技術や、植林、地元熱海でも展開しているブルーカーボン(海洋生態系が吸収するCO2)などが注目を集めています。しかし、せっかく植物がCO2を吸収しても、腐ったり燃やされたりすると、その炭素はCO2となって再び大気中に戻ってしまいます。

そこで問われるのが、植物などが吸収したCO2が大気中に戻らずにいること、すなわち「固定化」です。たとえば木が元気に生えている限り植林後数十年間、炭素は固定化されています。伐採後も木材・材木として使われている間はその家屋や木製品の中に固定化されています。固定化の期間は数十年ぐらいでしょうか。

もっとずっと長く固定化する方法が「炭化」です。無酸素かそれに近い状態でバイオマスをゆっくり焼く「熱分解」によって、炭素密度の高いほぼ結晶質のバイオ炭ができます。バイオ炭は微生物の力でもほとんど分解できないため、バイオマス原料内の炭素の大部分を何世紀も封じ込めることができるのです! 

間伐材や剪定枝、竹など地域の「お困りもの」をバイオ炭にすることで、農地などの土壌改良材としても役立てながら、地球の炭素循環を正す一助となる、という「未来炭化プロジェクト」を、熱海で立ち上げた未来創造部で始めました。地元資源の循環とゼロカーボンシティ・タウンへの取り組みの一石二鳥の事業です。

昔の炭焼きのイメージとは全く異なり、消煙装置付きのコンパクトな製炭ユニットで、通常5~6時間で炭ができます。煙も臭いも出ないので、人家の近くでも製炭できます。4トントラックに一式積み込んで移動し、出張製炭もできます。先日さっそく奈良・天理市へ、出張デモ製炭にうかがいました。地域資源の循環と地球の炭素循環の両方に効く「未来炭化ユニット」に乞うご期待! ご興味のある地域はお問い合わせ下さい。

 

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