エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2021年10月20日

災害支援の基準 (2021年10月18日掲載)

 

7月3日に、私の本拠地である熱海市で大規模な土石流災害が発生しました。発災直後から地元の仲間と支援活動を行っているのですが、企業や団体に支援物資のお願いや支援のご相談を行った際、企業によって対応やそのスピードにかなり違いがあることが分かりました。

私が主宰するATAMI社会課題ラボでも、メンバーから「企業として支援はしたいのだが、何に対してどのように支援したら良いのかの基準が明確に決まっていないために動きにくいことが多いのではないか」といった意見が出ました。 みなさんの組織ではどうでしょうか。

温暖化の進行もあって各地で災害が増えることが予想される中で、企業が迅速に支援できる態勢を整えておくことが必要だと思います。そこで、まずは企業の災害支援の現状を知るためにアンケート調査を実施してみました。

企業31社からのアンケートとヒアリングの結果をお伝えします。

・大きな災害があった際に支援を行うかどうかの判断を行う部門について、約3割の企業が「決まっていない」と回答。
・災害支援を決定する判断の基準は、約7割の企業が「災害規模の大きさ」と回答。次いで「自社・グループ会社の拠点がある」、「顧客の拠点がある」など。
・約8割の企業が災害支援の基準を「設けていない」と回答。
・企業が災害支援を行う際に感じる最も大きな課題は「現地ニーズの把握ができていない」こと。

調査の回答から、多くの企業がこれまで災害支援に関するさまざまな要請に、真摯にかつ柔軟に対応しつつも、増え続ける自然災害に対して、どの被災地に、どこまで、どういった支援を行うか、都度非常に難しい判断を迫られていることがうかがえました。

残念ながら、災害はいつどこで起きてもおかしくない状況です。企業が今後どのように地域・社会の一員としての役割を果たしていくべきなのかを考えたとき、それぞれの企業が「災害支援の基準」をつくって持っておくことも、重要な社会課題解決への貢献の1つではないかと思います。

①自社の現在の基準やプロセスはどうなっているかを調べる
②内外の先進企業の基準や体制について調べる
③自社に適切な基準や体制を考え提案する

といった作業をATAMI社会課題ラボでも進めようと考えています。ぜひみなさんの組織でも考えてみて下さい。

 

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