エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2020年12月17日

脱炭素競争の時代へ(2020年12月14日掲載)

 

10月26日の臨時国会での所信表明演説で、管総理は「温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロ」とする目標を宣言しました。その2日後には、韓国の大統領が「50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指す」と表明。中国も9月22日に「60年までに実質ゼロ」という目標を打ち出し、従来型のガソリン車などの製造・販売を停止するとの方針は、世界の自動車業界に激震をもたらしています。

EUでは19年にすでに「50年に実質ゼロ」宣言を出しており、スウェーデンは45年までに実質ゼロ、オーストリアやアイスランドは40年までに実質ゼロ、フィンランドは35年までに実質ゼロの目標を掲げているとのこと。世界的には「日本もようやく」という見方になりますね。

11月19日には衆議院、20日には参議院で「気候非常事態宣言」の決議案が可決されました。「気候非常事態宣言」は既に多くの国や自治体が出しており、日本でも40を超える自治体が出しています。 また、日本の170を超える自治体が「50年にCO2排出実質ゼロ」を表明。その人口を合計すると、日本の総人口の半数を超えています。こうした動きを支援・加速するために、先日私も参加する「気候非常事態ネットワーク」(CEN)が設立されました。

さまざまな企業が脱炭素化のビジョンや目標を設定し、取り組みを加速しています。グローバルな「脱炭素競争の時代」の到来です。気候変動への危機感を共有し、あるべき姿(脱炭素)を宣言するだけで差別化が図れた時代は既に終わっています。国にとっても企業にとっても、次の試金石は「いかにそれを達成するか」の実効性のある計画とその実行のスピードです。

米国ではバイデン氏の大統領選当選が確実となりました。米国の気候変動への取り組みは加速することになるでしょう。バイデン氏は、選挙公約で「米国は遅くとも50年までに100%クリーンエネルギー、排出量の実質ゼロを達成する」と目標を掲げ、そのための詳細なプランを数十ページにわたって示しています。

「この根幹にあるのは、私たちの環境と経済は100%つながっているという真実だ」とのバイデン氏の言葉は、「環境か、経済か」という議論が時代遅れになっていることを明確に示しています。

あなたの組織は「脱炭素競争」への準備ができていますか?

 

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