エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2020年10月21日

ワーケーションをどうぞ(2020年10月19日掲載)

 

最近、「ワーケーション」に大きな注目が集まっています。「ワーケーション」とは、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語で、いつもの職場を離れ、休暇を楽しみつつ、リモートワークで仕事も継続する新しいワークスタイルです。ワーケーションに注目する企業側の背景としては、震災や大規模停電を契機とした企業の事業継続計画(BCP)のための拠点分散の取り組みや、近年の働き方改革を背景としたフレキシブルな働き方の広がり、新型コロナウイルスの感染拡大によるテレワークの推進・定着などが挙げられます。

他方、自治体や地域からも大きな関心が寄せられており、その背景には人口減少の現実と、関係人口拡大から移住・定住者増に結び付けたいという期待があります。2020年度の地方創生に向けた政府の基本方針でも「ワーケーション推進」がうたわれています。

私は、ワーケーションは働き方や時間の使い方を再考し、新たな仕事の在り方を試してみる良い機会になると思っています。だからこそブームで終わらせるのではなく、しっかりと根づいてほしいと思い、この8月に「ワーケーション研究所」を立ち上げました。

ワーケーションと言っても「単に業務や会議の場所を、都市部から地方に移すだけ」ではもったいない。ワーケーション研究所を立ち上げたのは、「ワークの質を高めるバケーションのあり方」を考え「質の高い体験・プログラム」と「効果測定」を両輪に、真の生産性・クリエイティビティ(創造性)・幸福度につながるワーケーションを追求し、実現していきたいとの思いからです。

「ビジネス」という英語は、busy-ness(忙しいこと)から来ています。やらねばならないことが山積していて、忙しく、予定が目いっぱい詰まった状態では、イノベーションを生み出すことはできません。一方、バケーションは、「空っぽにする」という動詞の名詞形です。いったん空っぽにするからこそ、新しい刺激や体験を吸収できるのです。

ワーケーションには、「心地よく自分を空っぽにできる場所や時間があるか」が非常に重要です。都市から地方に行けば自動的に空っぽになるわけではありません。「質の高い体験やプログラム」が不可欠なのです。

コロナを契機に本格移住した静岡県熱海市で、ワーケーションスペースの運営も始めました。ぜひ一度、体験しにいらして下さい。

 

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