エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2019年10月23日

気候危機と気候行動(2019年10月21日掲載)

 

前回、世界の多くの自治体が気候非常事態宣言を出しているのに、日本ではゼロだと書きました。うれしいことに、9月25日に長崎県壱岐市が日本初の非常事態宣言を出し、10月4日には神奈川県鎌倉市議会も非常事態宣言を可決しました。より多くの自治体が危機意識を共有し、取り組みを全力で進めてくれることを期待しています。

日本でも世界でも、記録的な高温や台風等の強大化、豪雨、大洪水、大規模な山火事、深刻化する干ばつなど、気候変動の影響が顕在化し、被害者や死者数も増大しています。
これらの現実を前に「気候変動とか温暖化とか言っている場合ではない、これは気候危機だ」という認識が広がっています。

実際に国連の事務総長も少し前から「気候危機」という言葉を使っており、欧米のメディアでも気候危機や気候非常事態という用語が使われるようになっています。日本でも8月の日本経済新聞に「気候危機」という見出しが登場し、SDGs(持続可能な開発目標)関連の記事などで使われるようになっています。

この「危機」に対処すべく、若者たちを中心とした気候ストライキ、気候マーチ(デモ行進)なども世界中で行われています。9月に行われた世界一斉の気候マーチには全世界で400万人が参加、日本でも5000人が街に繰り出し、緊急対策を訴えました。このような「気候行動」がより広く、より効果的に展開していくこと、そして、一般の人々の意識や行動だけではなく、企業や政治家を動かしてビジネスのやり方や政策を変えていくことが重要です。

そのために、『不都合な真実』という映画と本を出して以来、温暖化の危機を世界に訴え続けている元米国副大統領アル・ゴア氏は、クライメート・リアリティ・リーダーを育成するトレーニングを世界で展開しています。これまで世界で2万人を超えるリーダーを育ててきたこのトレーニングプログラムが日本で初めて10月2~3日に、お台場のホテルで開催されました。

1500人もの応募者から選ばれた800人を超える参加者が全国から集い、アル・ゴア氏の情熱あふれる3時間近くに及ぶ気候危機・気候行動のプレゼンテーションや、パネルディスカッション、伝えるためのスキル講座などに熱心に聞き入っていました。

私は日本側の事務局としてお手伝いさせてもらいましたが、これを機に気候危機の認識や気候行動が大きく広がることを祈っています。

 

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