エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2015年01月09日

問われる「先を見る力」(2015年1月1日掲載)

 

 明けましておめでとうございます。新しい一年の幕が開けました。

 電力業界から始まった市場自由化などのシステム・制度の変革の波がガス業界にも押し寄せ、業界や事業を再編せざるをえなくなる、大きな転換の1年となりそうですね。
こういった時代・時期ほど、「先を見る力」が問われます。

 これまでの固定概念や既得権益にしがみついて、新しい現実を見ることができずに沈んでいくのか?
 それとも、これまで大事だったものの中から「これからも大事なもの」と「手放した方がよいもの」を冷静に区別し、展開しつつある未来をありのままに見つめ、必要な再構築をしながら新しいビジネスチャンスやビジネスモデルを手にすることができるのか?御社はどちらのグループに属しているでしょうか?

 「先を見る力」が問われるのは企業だけではありません。人口減少社会に突入し、日本の自治体の約半分が"消滅可能性都市"とされる時代には、自治体や地域にも「先を見る力」が求められます。
 
 全体の出生数が増えない中である自治体が魅力を増して移入者数を増やすとしたら、他方で人口を失う自治体が出るということになります。自治体・地域同士の「人の取り合い合戦」にもなりかねません。

 そういったときに、短期的に上下する人口の数字に翻弄されるのか、それとも、しっかりと自分たちの求める方向に進んでいけるのか―。自治体や地域にも「先を見る力」と「ビジョンを描く力」がこれまで以上に重要になってくることでしょう。
 春先に、ある自治体で「職員全員を対象に、"先を見る力"をつける研修」をさせていただくのですが、このように問題意識の強い自治体は動き出しています。

 「先を見る力」をつけるには、シナリオ・プランニングの手法が有効なツールの1つとなります。
シナリオ・プランニングでは、未来に影響を与えるであろう動向やその原動力を考え、それらに基づいて何種類かの未来を考えていきます。

 そのときに大事なのは、「あるべき未来」や「あってほしい未来」を考えるのではなく、「ありうる未来」を考えることです。
 私たちはつい「こうあるべき」「こうあってほしい」というところで未来を考えてしまいますが、それでは展開しつつある未来を素直に見ることはできないからです。

 ところで、東洋思想を教えてくださっている田口佳史先生のメルマガでの干支の解説によると、去年の丙午という象形文字は、堅固な殻で守られて芽が、殻を破って出てきたことを表していました。
 今年の乙未は、昨年出た芽が勢いよく伸びたが、外の環境の抵抗に合ってぐにゃっと曲がってしまっている状態を示すそうです。「したがって、さらに力を注いで突破すること」とのこと。

 「先を見る力」を鍛えながら、突破の1年にしていきましょう!

 

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