エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2013年04月30日

人口減時代の自治体・企業運営 (2013年4月29日掲載)

 

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が最近発表した「2040年までの地域別の推計人口」は、今後の社会・地域づくりや企業経営を考え直す必要性を私たちに突きつけています。

 ◆日本の総人口は長期にわたって減少が続き、2020~25 年以降はすべての都道府県で減少、2040 年には2010 年を下回る。
 ◆市区町村別の将来推計人口を見ると、95%強の自治体で2040 年の総人口が2010 年よりも少なくなる。うち約75%が2割以上減少、4割以上減少するところも約23%。

 国レベルでも自治体レベルでも、これまで人口増加を前提とした社会インフラや町づくりを進めてきました。

 日本の人口は2004年をピークに減少し始めているのですが、今なお多くの自治体が「それでもウチは人口増加をはかります!」と頑張ろうとして、なかなかうまくいっていません(全体が減ってくるわけですから、大部分はうまくいかないと思います......)。

 「人口が多いこと=自治体として力があること」というこれまでの前提自体を変えていかないと、いつまでも「人口増加を前提とした町づくり」⇒「だから人口増加が必要だ」ということになって、柔軟な政策が採れなくなってしまいます。(これだけではなく、経済成長に対する考え方にしても、「必要」と「可能」はイコールではない、ということを不承不承ながら受け入れていくことが、次につながる大きなステップ・チャンスになっていくと考えています)

 ところで、すでに柔軟な考え方を採り入れ、「人口減少を前提として、それだからこそ創り出せる幸せで持続可能な地域」づくりに着手しているところもあります。

 日本ではまだあまり知られていませんが「スマート・ディクライン(smart decline)」という考え方が生まれているのです。日本だけでなく、世界の多くの都市で人口が減少しているのですが、この状況を受けて「賢く衰退する(smart decline)」ための都市政策です。

 これまで多くの都市計画は「大きいことはよいことだ」という発想で行われてきました。そうではなく、都市の縮小を否定的に捉えず、これまでの無駄遣い体質を改め、環境を重視しながら、豊かさを追求する機会と捉えます。

 例えば、米国ミシガン州デトロイト市では1950年代から人口が半減しており、市域の3分の1の土地が無価値になっているそうです。同市ではそうした土地を用いて都市型農業を行う運動が進められおり、町の荒廃を防ぎつつ、人々の健康や笑顔、活発なつながりが生まれているとのこと。世界の先陣を切って人口減少社会に突入する日本にも「人口減少を前提として、だからこそ創り出せる幸せで持続可能な町づくり」を進めようとする自治体や地域が出てくるでしょう。

 そして企業も、人口増加が続くことを前提とした「何が何でも今までのやり方のままでの右肩上がりの売上・利益」ではなく、人口減少社会における持続可能な企業経営を本気で考える企業が次の時代の勝者となるのだと思います。

 

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