エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

第5回

トランジション・タウン(transition town)

 

【トランジション・タウン(transition town)】

読者のみなさんには、あまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが、〝トランジション〟とは、移行する、変化するという意味で、2005年、イギリスの小さな町・トットネスで始まった、自分たちの望む町を自分たちで作っていこうという町づくりのことです。

私たちの生活の中の、あらゆる面にかかわってくるピークオイルや温暖化。
このような外部からの影響に左右されず、市民の力で、地域の資源を最大限に活用し持続可能な社会へ移行していくための草の根運動です。

この動きは、3人集まったら始められるという容易さもあって、3年経たずしてイギリス全土に広がり、オーストラリアやアメリカ、日本では葉山や藤野などの20を超える地域にまで広がりをみせていています。

トットネスのプロジェクトには、ガーデン・シェア、種と植物の交換会、市民農園、太陽熱コンテストなど、石油に頼らずしなやかに強く暮らしていくための市民のアイデアが詰まっています。
また、自然エネルギー講座、野外での食料探し、在来種保存などの技術講座も積極的に行い、エネルギーや食べ物を自給していくことを目指しています。

トランジション・タウンを始めるために、ユニークな「12のステップ」があります。

1番目にある「解散時期をあらかじめ決めておく」。これはグループが立ち上がっても固定化せず、ゆるやかに開かれたコミュニティを目指しているからです。

11番目には、「流れに任せよう」とあります。行政が行う地域活性化との大きな違いは、いつまでにこれを達成するという目的をはじめから決めてやるのではなく、人のペースに合わせた価値観の変革とともに進めるところですね。
人々の想いや世の中が変化していく中で、完成図を作ると、その瞬間に古いものになってしまいます。

「トランジション」というネーミング通り、町の人たちが体験しながら形にし、町もそれに合わせてゆるやかに変わっていく。町とはそもそもそういうものなんだと思います。
地域にはいろんな人がいて、意識も世代も違うので、みんなが納得するまで話すには時間がかかる。でも暮らしを維持していくためには、時間をかけていくことが必要なんですよね。

 

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