エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2012年12月17日

核廃棄物の最終処分は? (2012年11月28日掲載)

 

 日本学術会議が原子力委員会に出した「高レベル放射性廃棄物の処分についての提言」をお読みになりましたか?

 今後の原発をどうするかにかかわらず、すでに出てしまった核廃棄物の問題は残ります。日本では使用済み燃料は再処理が基本方針となっており、再処理後に残る高レベル放射性廃棄物を最終処分する必要があります。
 法律で高レベル放射性廃棄物は地層処分にすることが定められ、候補地探しが続けられてきましたが、10年以上たっても見つかっていません。

 なぜか?
 私は「原発そのものの方向性が決まらないまま」「再処理・地層処分ありき」で「科学的にはすでにわかっているものとし」「お金で釣るかのようなやり方」で「社会全体から切り離した候補地と相対で解決しようとしてきた」やり方自体が問題解決を不可能にしていると思っています。
 
 今回の日本学術会議の提言はこういった問題への解決につながる重要な提案が含まれています。
「エネルギー政策・原子力政策における社会的合意の欠如のまま、高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定への合意形成を求めるという転倒した手続き」が問題の根幹であると指摘した上で、「従来の政策枠組みをいったん白紙に戻す覚悟で見直しをすることが必要」としています。

 3.11を機に「絶対に安全だ」と原発推進を支えてきた科学技術への不信も広がっていますが、これはつまり、「現在の科学技術を超える可能性がある」ということをみな皆が認識したということでしょう。それなのに「安全です」と言われても信じられないのです。
 この不信を打破しない限り、安全確認のための研究や分析をいくら積み重ねても、それだけでは先へ進めないでしょう。
 その意味で、学術会議の「現在の科学的知見、知識、技術的能力では限界があるということを、明確に自覚する必要がある」との明言を政府も当事者も共有することが大きなブレークスルーにつながるでしょう。
 
 また「多様な利害関係者が討論と交渉のテーブルにつくための前提条件」として、高レベル放射性廃棄物の「暫定保管」と「総量管理」を打ち出したことも大きな前進です。
 暫定保管とは、いきなり最終処分に向かうのではなく、問題の適切な対処方策確立のために、回収可能性を備えた形で、数十年から数百年程度のモラトリアム期間を確保するものです。
 またこれまでの日本国政府の政策に対する批判と不信の根底にある「高レベル放射性廃棄物が無制限に増大していくことに対する歯止めが効かなくなるのではとする危惧」に対し、「総量管理」という考え方も大変重要です。
 
 ほかにも、受入地域の不満をお金で解決しようとするのではなく、広範な国民の間での問題認識の共有と多段階の合意形成の手続きによって政策を作っていく必要があるという指摘など、今回の日本学術会議の提言は今後の原発・核廃棄物をめぐる政策形成の重要な土台の1つになるものと考えます。

 

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