エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2011年07月06日

国民参加でエネルギー政策を (2011年7月6日掲載)

 

 6月12日(日)午後、総理官邸で、自然エネルギーに関する「総理・有識者オープン懇談会」が開催されました。
 元サッカー日本代表監督の岡田武史氏、ミュージシャンの坂本龍一氏、ソフトバンク社長の孫正義氏、ap bank代表理事の小林武史氏、そして私の5人が参加。菅直人首相のほか福山哲郎官房副長官、田坂広志官房参与も出席されました。

 この懇談会の大きな特徴は、すべて「オープン」だったことです。インターネットを通じて動画で中継され、ツイッターでコメントや質問を受け付けることにより、関心あるすべての人々とメディアがリアルタイムで参加できるという、画期的な試みでした(懇談会の様子は現在も政府のインターネットテレビで観られます)。
 視聴者数は15万人を超え、ツイッターやフェイスブック、ブログなどでも自然エネルギーや政治・民主主義のあり方などについて熱心な議論が展開されました。
 5人の有識者からの意見・提案のあと、首相とのやりとりのほか、ツイッターで入ってくる全国からの質問にも首相が丁寧に答えました。

 首相の「自然エネは大きい会社がどんと作るものではなく、小規模でもいろいろなところに作っていくもの。まさに国民参加型エネルギーです。この国民参加型エネルギーを国民に開放しましょう。投票権と同じように、エネルギーに参加する権利を!」という言葉にはなるほどと思いました。

 また私が「自然エネルギーの素晴らしいところは、環境省、経産省はもちろんあらゆる省庁の総合力で実現する点だと思います。脱化石燃料を進めているデンマークでは、首相を委員長とする委員会をつくって全省庁で取り組んでいるそうです。それぞれの省庁の得意なところを持ち寄って進めてほしい」と述べたところ、首相はこのように発言されました。

 「原子力で進めてきたシステムを逆に参考にできます。原子力を進めるために、科学技術庁という役所まで作り、原子力研究所などいろいろ作りました。それに匹敵するような規模で“自然エネルギー推進省庁”のようなものを作って進めていけば、10年どころかもっと早い時期に目標を達成できると思います。省庁横断的に進める仕組みについては急いで検討します」。
 翌朝の新聞などは「再生可能エネルギー推進庁設置へ」と掲載されたやりとりです。

 エネルギーは私たちの一人ひとりや企業に大きな影響を与えるものです。日本の今後のエネルギーの方向性や政策は、政府や省庁がクローズドで作るのではなく、今回のように国民に開かれたオープンな場で議論していくべきでしょう。
 そのプロセスを民から作っていくべく準備を進めているところです。

 

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