エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2010年05月11日

「出版翻訳への道」

 

現在、5月か6月に出版予定のアル・ゴア氏の本の翻訳の最終段階です。自分の原稿を読み返すたびに、直したいところが出てきて、うーん、うーん、とうなりつつ、机に向かっている今日この頃です。

翻訳道場や翻訳セミナーを開催すると、よく「どうやってビジネス翻訳から出版翻訳に移行できるのでしょうか?」という質問をいただきます。やはり多くの翻訳者(とその卵さんたち)にとって、自分の名前が訳者として残る出版翻訳は、大きな夢であり目標なのだなあと思います(私もそうでした!)。

出版翻訳を実現するためには、
1.出版社がある翻訳書を出すことを決める
2.その訳者として、自分を選んでくれる
というふたつのステップが必要ですよね。

出版社の編集者が「日本で訳書を出したい!」と思う原書を見つけるには、3つのパターンがあるそうです。1つは、年に何度か開催される海外の「ブックフェア」に出版社が出かけていって、翻訳出版したい本を見つける、というものです。

いちばん大きいブックフェアは10月にドイツのフランクフルトで開催されるもので、翻訳書を出している出版社はたいてい参加しています。ほかには、ロンドンで開催されるものや、児童書ならイタリアのボローニャで開かれるものが有名です。

2つめのパターンが実際にはいちばん多いのですが、翻訳エージェント(翻訳権を扱う代理店)からの提案によって原書と出会うパターンです。翻訳書の奥付のページを見ると、タトルモリ、日本ユニエージェンシーといった名前が載っていますが、これらがエージェントです。エージェントは、各国のエージェントと情報交換しているので、企画段階のものも含め、多くの情報が集まっています。エージェントはその情報をもとに、出版社に「お宅で出しませんか?」と打診するのですね。

そして、最後のパターンが「翻訳したい人からの持ち込み企画」。このパターンはそれほど多くはありませんが、私がこれまでに翻訳出版した中でもこの持ち込みパターンだったものも数冊ありますから、ゼロではありません。

ただし、この場合は「読んでもらえる」「会議にかけてもらえる」「やりたいと思ってもらえる」企画書の書き方が肝要です。ご興味のある方は、「あなたも翻訳家になれる!」(ダイヤモンド社)に詳しく書きましたので、ぜひ参考になさって下さい!
https://www.amazon.co.jp/dp/4478008841?tag=junkoedahiro-22

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翻訳力アップ自己トレ「メール講座Next Stage」では、正確に原文のメッセージを伝えながらも、「早く続きが読みたい!」と思ってもらえる訳文にどうやって練り上げていくか、そのプロセスが学べます。

講座の詳細はこちらからご覧いただけます。

また、6/26(土)にイーズ翻訳セミナー「あなたも翻訳家になれる! 〜翻訳を仕事にするための3つのステップ〜」が開催されます。

今回は、株式会社テンナイン・コミュニケーション社長、工藤紘実氏をお迎えして、翻訳会社の立場から、「仕事につながる翻訳力〜現場で求められる翻訳者の資質」について、お話をうかがいます。

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