エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2008年07月01日

food mileage

 

food mileage(フードマイレージ)ってご存じですか?

「food」は「食べ物」ですよね。「mileage」は、航空機の搭乗距離に応じたポイントをためるプログラムで使われているように、「輸送距離」という意味です。

つまり、「フードマイレージ」とは、「食べ物の輸送距離」のこと。食べ物が生産地から食卓に到着するまで、どのくらい「遠路はるばる」やって来たのかを比較するための考え方です。

フードマイレージは、食べ物の重量と、生産地から消費地までの輸送距離を掛け算して表すもので、「トンキロ」という単位を使います。
環境NGO(非営利組織)の大地を守る会による「フードマイレージ・キャンペーン」というウェブサイト(http://www.food-mileage.com/)では、フードマイレージをCO2換算して、「ポコ」(CO2の泡がポコっと出ちゃうイメージ)という、独自の単位で紹介しています。

ウェブサイトの「サンプルリスト」では、70品目のフードマイレージを検索できます。あぶらあげ1枚、とうもろこし1本などの「国産の場合」と「輸入の場合」のフードマイレージを、日本地図と世界地図を使って一目瞭然に示していて、数字でその差が実感できます。

「日本」という国全体のフードマイレージを考えてみましょう。で考えることができます。例えば、2000年に日本が輸入した食料の総重量は5300万t。 これに輸送距離を掛けたフードマイレージは5000億トンキロになるそうです。

ちなみに、韓国は1500億トンキロ、 米国は1400億トンキロだそうですから、日本はその3倍以上もあるのですね。「地産地消」「身土不二」からはほど遠い日本の食卓が、この数字から見えてくるようです。

また、フードマイレージは、地域ごとに考えることもできます。地産地消を進めれば、その地域のフードマイレージを減らせます。

家庭単位でもフードマイレージを考えることができます。地元でできた旬の食べ物を選んで買っていれば、輸送や農場でのエネルギー使用量を削減し、食品の安全性や食料の安定確保の改善につながります。何を買い、何を食べるかを決めることは、私たち1人ひとりが日々行っている最大の政治活動といえるのです。

現在、食品価格のうち、輸送コストの占める割合は意外と大きく(米国の食料生産システムでは、全体の14%が輸送エネルギー)、今後、世界の石油生産量が減っていくにつれ、長距離輸送に頼る食料の価格は上昇していくでしょう。

食料はどの国にとっても譲れないところですから、エネルギー危機を発端に、食料危機、そして国際競争や対立のエスカレートに及ぶような危険なスパイラルも考えられます。

フードマイレージを減らす「買い方、食べ方」にシフトしていくことは、食料や世界の安全保障のための大事な、そして誰にでもできる取り組みなのです。

 

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