エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2007年08月29日

biofuel

 

 最近、あちこちでbiofuel(バイオ燃料)の話題を聞きますね。biofuelとはbio+fuel。fuelとは「燃料」で、bioはbiomass(バイオマス)です。

 biomassとは「ある特定の時点である空間に存在する生物の量」のことで、「生物体量」「生物量」と言います。植物などの生物体を指して、「生物資源」と訳すこともあります。

 転じて、化石資源ではない、現生生物体構成物質起源の産業資源をバイオマスと呼ぶようになりました。政府が力を入れている「バイオマス・ニッポ総合戦略」では、バイオマスを「生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」と定義しています。

 バイオマスは、石油や石炭などと同じ有機物からできており、固体(薪や木炭など)でも使えますし、液体(サトウキビの廃棄物を使ったエタノール燃料や廃食用油を使ったバイオディーゼルなど)や気体(下水汚泥や食品廃棄物などを原料とするメタンガスなど)に変えて、燃料として使うことができます。

 バイオ燃料がホットな話題であるのは、「燃焼時に出る CO2 は、生物の成長過程で光合成により大気中から吸収したものなので、大気中のCO2を増加させない」からです。京都議定書でも「バイオ燃料の使用はCO2排出分とみなさない」としています。化石資源由来のエネルギーをバイオマスで代替することで、CO2の排出を削減できるのです。

 加えて、昨今の原油価格の高騰と、ピーク・オイルの到来による高止まりやさらなる上昇の予測もあって、各国でバイオ燃料の開発・導入が活発に進められています。

 バイオ燃料先進国のスウェーデンや他の欧州諸国だけではなく、米国でも「新しいバイオ燃料工場の計画や竣工が発表されない日はない」といわれるほど、大きな動きです。日本でもようやく動きが出始めました。

 かつての日本は、里山からの薪炭などを使う「バイオ燃料社会」でした。石油時代の到来で忘れられていたバイオ燃料が、温暖化や原油高騰、廃棄物の有効利用による処理コスト低減などから、ふたたび脚光を浴びるようになってきたのですね。

 日本では現在、エタノール燃料を3%までガソリンに混ぜる「E3燃料」の製造や実証実験が進められていますが、米国などでは10%混合の「E10燃料」が使われています。

 日本政府は、2010年までに50万kl(原油換算)のバイオ輸送用燃料の導入目標を設定しており、うち9割を輸入によるとしています。

 バイオ燃料ならなんでもよい、というわけではありません。その原料栽培のために森林が伐採されたり、「食糧か燃料か」の綱引きで、貧困層へのしわ寄せも指摘されています。

 日本は、できるだけ廃棄物や間伐材などの有効利用と重ねて国産・地域産のバイオ燃料を利用し、現地で持続可能な形で生産されているのかに気をつけて輸入する必要があります。

 

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