今月の幸せ研オンライン読書会では、「多様性を力に変えるための対話の作法研究家」(^^;として、多様性の解像度を上げたいと、『多様性とどう向き合うか-違和感から考える』を取り上げます。
https://www.ishes.org/news/2026/inws_id003712.html
読書会のご案内は末尾につけますが、関連して、The Business of Doing Better"を掲げるウェブサイト「Triple Pundit」から、編集部の了解を得て、興味深い1本を日本語にしてお届けします。
Disability Inclusion is the Untapped Market Hiding in Plain Sight
「障害インクルージョンは、目の前にありながら見過ごされている未開拓市場である」
https://triplepundit.com/2025/disability-economy-accessibility-corporate-responsibility/
~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~
障害インクルージョンは、目の前にありながら見過ごされている未開拓市場である
世界で最も急成長している経済的勢力のひとつが、いまだ多くの企業のレーダーに映っていない。それが「障害経済」である。
「障害をもった消費者が関わるのは医療サービスであり、経済的影響力を有していない」という誤解は、時代遅れであり、しかも高くつくものだ。
私はデフブラインド(聴覚視覚障害者)である。今は、Safman Consulting を立ち上げ、政策立案者や企業がアクセシビリティやインターセクショナル・デザインを統合できるよう支援しているが、その前は、パラリーガルとして働き、その後、法律事務所や金融機関でローン文書作成や金融犯罪コンプライアンスを専門としてきた。私の歩みは特殊な例ではない。
現在、200万人を超える視覚障害および弱視の成人が就業している。さらに、数百万人の聴覚障害者や難聴者が働いている。フルタイムで働く障害者の中央値年収は48,937ドルである。米国の障害者は推計4,900億ドルの可処分所得を有し、世界全体では障害者の購買力は約8兆ドルと見積もられている。
「障害のあるアメリカ人」は一枚岩の集団ではなく、多様なニッチ消費者コミュニティの集合体である。満たされていないニーズを持ち、それに応えるブランドに強い忠誠心を示す人々なのだ。
2023年の「アメリカ地域社会調査」、および2025年の「障害統計コンペンディウム」のデータはその規模を示している。聴覚関連の障害を持つ人は1,210万人以上、視覚関連は830万人、就労年齢の盲人・弱視者は427万人である。さらに、移動障害、精神障害、認知障害、慢性疾患を持つ人々が数百万人いる。
世界全体で見ると、障害経済は23兆ドル規模の市場機会を創り出しており、人工知能のアクセシビリティ、消費者向けテクノロジー、フィンテック、医療、旅行、スマートホーム自動化、インクルーシブなモビリティなどに広がっている。高齢化、AI主導の設計ツール、支援技術の大幅な進歩が、いま「アクセシビリティ経済」と呼ばれる動きを加速させている。これは慈善活動ではなく、企業戦略の中核である。
○消費者は、向き合うブランドを選ぶ
クリエイティブ・エージェンシー Misfit Media が500以上のブランドキャンペーンを分析したところ、状況の変化は明らかだった。
84%の消費者が、障害が表現されているブランドをより信頼すると回答し、73%が、よりインクルーシブな競合ブランドに、価格が高くても乗り換えると答えた。障害インクルーシブなキャンペーンは、投資対効果が65%高く、エンゲージメントも18%高い。さらに、追加費用なしで80%多くのメディア露出を生み出している。
AIによるディープフェイクや誤情報が信頼を侵食する時代において、真正性そのものが経済的価値を持つ。障害のある人々を真正に表現することは、最も強力でありながら、十分に活用されていないブランド信頼シグナルのひとつとなっている。
○アクセシビリティはもはや付加機能ではなく、基準である
業界を問わず、アクセスできないウェブサイト、モバイルアプリ、文書、イベント、字幕のない動画は、明確なメッセージを送る。「あなたのことは考えていなかった」というメッセージを。消費者はそれに気づいているが、規制当局はさらに早く気づいている。
法的環境は厳格化している。カリフォルニア、コロラド、イリノイ、メリーランド、ニューヨークなどの州は、デジタル・アクセシビリティ要件を拡大している。カリフォルニアは、アクセスできないウェブサイトを消費者保護違反として扱う。コロラドは州機関およびそのベンダーにアクセシビリティを義務づけた。ニューヨークでは、私が策定に関わった法律が制定され、請負業者やベンダーに WCAG 2.1 レベルAAへの準拠を求めている。
これらの変化は現実のビジネスリスクを生む。司法長官による執行、民事罰、私人訴訟、公的契約機会の喪失といったリスクである。デジタル・アクセシビリティは、IT部門に限定された課題ではなく、企業全体のコンピテンシー(能力)となっている。
○Z世代はすでに職場の基準を変えている
Z世代および若いミレニアル世代にとって、アクセシビリティは「配慮」ではない。「標準インフラ」なのだ。バリアフリーの雇用には、明確で文書化された合理的配慮プロセスと、アクセシブルな採用ページ、応募フォーム、オンボーディング、社内文書、動画、業務ツール、HRシステムが必要であり、合理的配慮を24時間以内に開始できなければならない。
これらが欠けている企業では、候補者は静かに離脱し、従業員も早期に退職してしまう。企業はこれを「人材不足」だと言うが、多くの場合は「アクセシビリティ不足」である。これは、高くつくものだが、回避することができる。
○投資家はマテリアリティに注目しており、障害はマテリアリティの1つである
ESG枠組みが財務的に重要な指標へと移行するなか、「障害インクルージョン」は企業価値の測定可能な推進要因として浮上している。それは顧客獲得・維持、ブランド信頼と評判、規制・訴訟リスク、労働生産性と定着率、イノベーション能力と市場拡大に影響を及ぼす。
端的に言えば、障害を無視することは戦略的に不利なことであり、その結果は、収益、利益率、オペレーショナルリスクに反映される。
○2026年に経営者が優先すべきこと
障害インクルージョンを次のESG時代の中核にするため、リーダーは5つの行動に集中すべきである。
1. 製品・サービスに初期段階からアクセシビリティを組み込む。後付けは高コストで一貫性がない。
2. 障害関連指標をESGおよび財務報告に統合する。
3. DisabilityTechおよびインクルーシブAIに投資する。
4. 労働環境のアクセシビリティを近代化する。
5. 米国各州およびEUの要件に早期対応する。
WCAG 2.2基準への準拠コストは現在ではかなり低くなっており、後になって不適合のつけを払うよりずっとリスクが少ない。
○転換点
数千万人の障害のあるアメリカ人が構造的に排除されたままでは、米国は持続可能性、労働力、イノベーションの目標を達成できない。23兆ドル規模の障害経済が世界市場を再編するなか、2026年にアクセシビリティを主導する組織は、長年見過ごされてきた消費者のロイヤリティを獲得し、未来の労働力を築くだろう。
障害インクルージョンは"次の"フロンティアではない。
フロンティアなのだ。最初に動いた企業が、それを手にする。
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(2月20日開催)「幸せと経済と社会について考えるオンライン読書会」 『多様性とどう向き合うか』を読む
日 時:2026年2月20日(金)18:30~20:30(開場18:15)
会 場:オンライン(Zoom使用予定)
(申し込みされた方にURLをご案内いたします)
課題書:『多様性とどう向き合うか』(著:岩渕功一)
参加費:1回 2,200円(税込)
お申し込み:こちらからどうぞ(外部サイトへ移動します)
https://peatix.com/event/4806560/view
2月は、岩渕功一氏の、『多様性とどう向き合うか-違和感から考える』を、課題書に取り上げます。
いま、「多様性」が大事だと言われていますが、私たちは多様性との付き合い方、多様性を力にする対話の作法をしっかりと持っていないので、多様性が力ではなく混乱をもたらしているのではないかと、私は思っています。
そのため、多様性を力にするための対話の力を身に着けたいと思っています。1月課題書の『対立を超える日々の実践』(著:アダム・カヘン)の本もそうですが、対話に関する書籍をこれまで続けて読んできました。
今回の課題書を手がかりに、そもそも多様性とは何なのか、どう向き合ったらよいか、というところから考えていきます。
これまで「DEIが大事」と言ってきたのに、アメリカなどでは「反DEI」の動きも出てきています。
みなさんは、「多様性」とどのように向き合っていますか、または、どう向き合っていきたいと思っていますか。ぜひ、一緒に「多様性」についてじっくりと対話をしながら、考えてみませんか。
ご参加をお待ちしております。
https://peatix.com/event/4806560/view