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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2023年07月21日

人工知能とロボット工学を用いて世界のサンゴ礁を救う

新しいあり方へ
生物多様性
 

いつも先進的な取り組みを紹介してくれるウェブサイト「Triple Pundit」にまたまた興味深い取り組みが載っていました。

「人工知能とロボット工学を用いて世界のサンゴ礁を救う」

編集部の許可を得て、日本語でご紹介します。

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~

Saving the World's Coral Reefs with Artificial Intelligence and Robotics
人工知能とロボット工学を用いて世界のサンゴ礁を救う

https://www.triplepundit.com/story/2023/save-coral-reefs-ai-robotics/777921

サンゴ礁は地球上で最も生物多様性に富んだ生態系と考えられています。毎年、サンゴ礁は世界中の社会に対して、3750億ドル分もの生態系サービスを提供してくれていますが、現在危機に瀕しています。

今年の時点ですでに、世界のサンゴ礁の半分が失われています。このままでは、たとえ地球温暖化が1.5度未満に抑えられたとしても、2050年までに最大で90%が失われてしまいます。世界中の政府や非政府組織がサンゴ礁の衰退を止めるために政策を作りやプログラムを実行している一方で、人工知能(AI)とロボット工学に目を向けている企業があります。

サンゴ生物学者のタリン・フォスター氏が創業したコーラル・メーカー社は、サンゴの欠片を種として入れたサンゴのスケルトンを予め作って、それを海中に展開しています。予め作られたサンゴのスケルトンを用いることで、サンゴが成熟した大きさに成長するまでにかかる年数を大幅に短縮できます。

コーラル・メーカー社は、スピーディに規模を拡大して、年間250エーカー(1.01175平方km)のサンゴ礁を修復できるようになることをめざしています。その実現に向けて、同社は設計ソフトウェア大手のオートデスク社のロボット工学とエンジニアリングの専門知識を活用しています。

オートデスク・リサーチの研究プログラムのシニアディレクターであるリック・ランデル氏は、「私たちは常にイノベーターや起業家と関わる新たな方法を模索しています。私たちの考え方を後押ししてくれますから」と述べています。「コーラル・メーカー社は最初、私たちのテクノロジーセンターで、各自が自分自身の技術的な仕事ができるようにするプログラムを通じて私たちの仲間になったんです。タリン・フォスター博士は、ロボット工学とAIに取り組む私たちの研究者に協力してくれました」

フォスター氏とオートデスク・リサーチのチームが最初に協力したプロジェクトは、サンゴの種を「スケルトン」と呼ばれるフレームに自動的に配置することでした。その後、フォスター氏は別のチームと協力して、リサイクルされた建築資材を利用してサンゴのスケルトンを設計・製造しました。サンゴの生息場所としてのスケルトンを水中に入れることで、サンゴはより早く成熟し、増殖することができます。

コーラル・メーカー社は現在、1日に1万個のサンゴのスケルトンを製造することができ、1個のスケルトンには6〜8個のサンゴの欠片が含まれています。スケルトンの製造設備は修復しようとしているサンゴ礁に置くことで、輸送と運搬に伴う排出量を削減しています。フォスター氏は、毎年数千万個のサンゴの欠片を修復現場に届けることを目指しています。

ランデル氏は、「地球にとってのリスクは、サンゴ礁が再び繁殖するペースよりも速いペースで死滅していくことです」と述べています。「コーラル・メーカー社は、長期的に見てより適した場所にサンゴ礁の種を植えつけています。海洋が温暖化するにつれて、より適した温度の場所に植えつけ場所を変えていくのです」

現在、数百万ヘクタールのサンゴ礁が劣化や白化、枯死のリスクにさらされているというのに、従来型の手作業でのサンゴ礁修復プロジェクトでは、1年間やっても1ヘクタールも修復できません。サンゴ礁を大規模に保護・修復するためには、スピーディな修復が必要です。だからこそ、コーラル・メーカー社は自動化やロボット工学、AIを活用しているのです。

「サンゴ礁の劣化のようなグローバルな大問題を扱うときに難しいのは、一人の人間に何ができるのかが必ずしも明確ではないということです」とランデル氏は言います。「地球を冷やす必要があることはわかっていますが、それは難しい。コーラル・メーカー社のような、本当にうまくいきそうなやり方で大きな難題に取り組んでいるグループと関わることは、私たちの研究者や従業員にとって刺激になります。その成功の一助になることができる。それは私たちにとってわくわくすることなのです」。

~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~

AIやロボット工学などをじょうずに活用して、人手では到底間に合わないような環境への取り組みを加速していくこと、注目!ですね。

日本でもそういう取り組みや研究が進んでいるのでしょうか? ご存じの事例などあったら、ぜひ教えてください~!

 

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