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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2023年07月10日

アニマルウェルフェア先進国・ニュージーランドの状況

食と生活
 

前号で、「世界トップのアニマルウェルフェア先進国はどこだと思いますか?」と書きました。

アニマルウェルフェア先進国の1つは、ニュージーランドです!

・ニュージーランド全土で約8,000の農場が、アニマルウェルフェアを含むニュージーランド農場保証プログラム(NZFAP)の認証を受けており、これは同国の牛肉、羊肉、鹿肉、羊毛の生産量の95%以上をカバーしている

・ニュージーランドの赤身肉のカーボンフットプリントは、世界の平均値の半分以下と最も低い水準にある

"The Business of Doing Better"を掲げるウェブサイト「Triple Pundit」の新しい記事「ニュージーランドのアニマルウェルフェア制度に学ぶ: 農家主導のアプローチが業界のコミットメントを前進させる」を、編集部の許可を得て、日本語でご紹介します。

Learning from New Zealand's Animal Welfare System: How a Farmer-Led Approach Pushes Industry Commitments Forward
https://www.triplepundit.com/story/2023/new-zealand-animal-welfare-system/778156

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~

ニュージーランドのアニマルウェルフェア制度に学ぶ: 農家主導のアプローチが業界のコミットメントを前進させる

農場におけるアニマルウェルフェアに対する消費者の関心が高まっている。アニマルウェルフェアに関する文献によれば、家畜の飼育環境、栄養プログラム、ケアの相互作用など、アニマルウェルフェアのいくつかの原則は確立されているものの、その実践は世界の多くの地域で水準に達していない。

この問題に取り組むため、ニュージーランドの第一次産業省は農家や国内の食肉業界と直接協力し、2017年にニュージーランド農場保証プログラム(NZFAP)を立ち上げた。この国家プログラムは、アニマルウェルフェアと生産に関する検証されたベスト・プラクティスを遵守する赤身肉と羊毛の事業者の集合体である。

農家をオーナーとする業界団体Beef + Lamb New Zealandのバイオセキュリティとアニマルウェルフェアのシニアアドバイザーであるウィル・ハリデイ博士に、アニマルウェルフェアを優先することの重要性と、NZFAPが農家やその他のステークホルダーに与える影響について話を聞いた。

○アニマルウェルフェアを確保することは倫理的であり、またビジネスにとっても有益である

1999年に成立したニュージーランドの「アニマルウェルフェア法」には、動物がポジティブな感情もネガティブな感情も経験し理解できることを認める文言が含まれている。これに加えて、アニマルウェルフェアの基準を考慮し満たすことは、ビジネスにとっても有益である、とハリデイ氏は言う。

適切に世話をされた動物は、生産性が高くなる。「つまり、動物たちが良好な生活を送るだけでなく、農家の生産性も向上させることができるのです。家畜はより速く、より大きく成長し、私たちがプレミアム品と考えるものを生み出します」。

ニュージーランドの国家保証プログラムであるNZFAPとNZFAP Plusは、完全性、トレーサビリティ、バイオセキュリティ、原産地、環境の持続可能性、動物の健康とウェルフェアの分野における監査に基づく認証を提供している。

ハリデイ氏は、「これはつまり、ニュージーランドのすべての赤身肉の生産者が同じ基準、同じ高品質基準を満たしているという保証を顧客は得られるということです」と言う。「スーパーマーケットでニュージーランド産の肉を買えば、その肉の生産者が満たしている基準は一つであることと自信を持って言えます。環境とアニマルウェルフェアに配慮し、持続可能な方法で生産された肉であることが保証されるのです」。

Beef + Lamb New Zealandは、ニュージーランドの牛肉・羊肉農家を代表する組織だ。そのメンバーの一員である、ニュージーランド全土の家族経営農家が集まったFirst Light Farmsは、牧草で育てられた和牛や鹿肉を生産し、動物に対する配慮義務について定期的に情報共有している。

「アニマルウェルフェアは、一般の人々にとっても私たちの顧客にとっても重要です。優れたアニマルウェルフェアがなければ、農家はニュージーランドで営農する社会的資格を失うでしょう」と、First Light Farmsの持続可能性・技術・品質保証担当ジェネラル・マネージャー、ニコラ・モーガン氏は言う。「First Light Farmsの消費者は、私たちの家畜が良い扱いを受けていることを第三者機関が検証することを求めています」。

モーガン氏は、動物を大切に扱うことは、正しいことであると同時に、高品質の製品を保証するために不可欠であると強調した。「一般的に、アニマルウェルフェアは食肉の品質に影響を与えますが、私たちの牧草で育てられた和牛にとっては特に重要なことです。和牛には、良い霜降りを形成するために、適切な環境とウェルフェアが必要なのです」とモーガン氏は述べる。

○保証プログラムは信頼性を確立し、ステークホルダーにとって双方向の利益がインセンティブとなる

現在までのところ、ニュージーランドの羊・牛肉農家は世界で最も効率的な農家に数えられており、ニュージーランドの赤身肉のカーボンフットプリントは、世界の平均値の半分以下と最も低い水準にある。

ハリデイ氏の考えでは、ニュージーランドが他国と異なるのは、トップダウンの規制ではなく、まず農家主導のアプローチをとっていることだ。この 「草の根レベル」のアプローチでは、農家が持続可能で効率的な手法に取り組むためのインセンティブが提供される。これらがあってこそ、ニュージーランドの食肉産業における保証プログラムとインセンティブが、動物と農家にとってwin-winのものになっているのだ。

「農家は自らの取り組みに基づいて提供する製品に対し、プレミアムを得ることができます」とハリデイ氏は言う。「そのような取り組みを行う農家は、より良い生産性とアニマルウェルフェアを実現し、またプレミアムを享受しているのです」

○アニマルウェルフェア団体に参加することはどのように即時の行動につながりうるか

20年以上前にアニマルウェルフェア保護を確立したニュージーランドは、信頼に足る家畜管理を実践していることで知られている。国や地方自治体、そして農家もまた、自分たちの土地や水資源を守りたいと考えており、高い基準を求め続けている、とモーガン氏は言う。

「農家は、生産効率と将来にも価値を有する資産のために、健康な家畜と土壌が重要であることを認識しています」。「第三者機関による検証を受けることで、農家は消費者からプレミアムを得ることができます。私たちの農家は、自分たちが行っていることに関心を持っているからこそ農家なのです。自分たちの土地の質を守り、家畜を大事にしたいと思っているのです」。

モーガン氏によれば、First Light Farmsのようなグループへの参加は、顧客やパートナーに対して信頼感を植え付け、学ぶ機会を提供する。「NZFAPのメンバーになることで、農家はスタート地点に立つことができます」。

ニュージーランド全土で約8,000の農場がNZFAPの認証を受けており、これは同国の牛肉、羊肉、鹿肉、羊毛の生産量の95%以上をカバーしている。First Light Farmsを含む多くの農家は、Non-GMOプロジェクトやCertified Humane、ASPCA基準などの認証システムも利用し、環境とアニマルウェルフェアの実践をさらに検証している。

モーガン氏は、「私たちは、農家がその投資に対して金銭的に報われることを当然期待しています」と言う。「優れた製品があること、しかも、第三者の検証を受けていることは、小売事業者にも消費者にも安心感と信頼を提供するのです」。

(了)

 

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