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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2023年05月30日

世界の気温が1.5℃を超える日

温暖化
 

つい10日ほど前、「世界の気温は今後5年の間に、一時的とはいえ、パリ協定で定めた1.5℃を超えそう!」というニュースが飛び込んできました。

・2023年から2027年の間に、世界の地表付近の年平均気温が、少なくとも1年間は産業革命以前のレベルを1.5℃を超える可能性は66%

・ 今後5年間のうち少なくとも1年間、および5年間平均としても、史上初の高温になる確率は98%

世界気象機関(WMO)の報道文より、キーポイントをお伝えします。(原文は英語)
https://public.wmo.int/en/media/press-release/global-temperatures-set-reach-new-records-next-five-years

~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~

ジュネーブ、2023年5月17日(WMO) - 世界気象機関(WMO)が発表した最新情報によると、温暖化とエルニーニョ現象によって、今後5年間で世界の気温が記録的なレベルに急上昇する可能性があります。

2023年から2027年の間に、世界の地表付近の年平均気温が、少なくとも1年間は産業革命以前のレベルを1.5℃以上上回る可能性が66%あります。 今後5年間のうち少なくとも1年間、および5年間全体としても、史上初の高温になる確率は98%です。

「今回の報告書は、長年にわたる長期的な温暖化に対してパリ協定で定められた1.5℃を恒久的に超えることを意味するものではありません。しかし、一時的に1.5℃を超えることが増えてくることに対して、私たちは警鐘を鳴らしています」とWMO事務総長のペッテリ・タアラス教授は述べています。

「今後数ヶ月の間に発生すると予想されているエルニーニョが、人間が引き起こしている気候変動と組み合わさって、地球の気温を未知の領域に押し上げるでしょう」。「これは、健康、食糧安全保障、水管理、環境に対して、広範囲な影響を及ぼすことになるでしょう。私たちは態勢を整えておかねばなりません」とタアラス教授は述べました。

WMOこのような予測の主管機関である英国気象庁が作成した「Global Annual to Decadal Climate Update」によれば、5年間の平均気温が1.5℃を超える確率は32%です。一時的に1.5℃を超える可能性は、2015年時点ではほぼゼロだったのですが、それ以降、着実に高まっています。 2017年から2021年の5年間では、超える確率は10%でした。

「世界の平均気温は上昇を続け、私たちが慣れ親しんだ気候からますます遠ざかっていくと予測されています」と、報告書のリーダーを務めた気象庁の専門科学者、レオン・ハーマンソン博士は述べています。

<主なポイント>

・2022年の世界の平均気温は、1850~1900年の平均を約1.15℃上回った。

・過去3年間の大半は、ラニーニャ現象による冷却の影響で、長期的な温暖化傾向が一時的に抑制されたものの、ラニーニャ現象は2023年3月に終わり、今後数ヶ月はエルニーニョが発生すると予測されている。

・通常、エルニーニョは発生した翌年に地球の気温を上昇させるため、2024年に気温上昇が見込まれる。

・2023~2027年の各年の世界の年平均近地表面温度は、1850~1900年の平均より1.1℃から1.8℃高くなると予測される(1850~1900年の平均気温が基準値として用いられているのは、人間や産業活動による温室効果ガスが排出される前のものであるため)。

・今後5年間のうち少なくとも1年は、これまでになく強烈なエルニーニョが発生した2016年の記録的気温を上回る可能性が98%ある

・2023年~2027年の5年平均気温が過去5年よりも高くなる確率も98%

~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~

この新しい報告書は、どのように気象・気候サービスを強化して、気候変動への適応を支援することができるかを議論する世界気象会議(5月22日から6月2日)に先駆けて発表されました。

まさに現在進行中のこの会議では、増大する異常気象から人々を守るための「すべての人のための初期警報」イニシアティブや、緩和策へのフィードバックのための「温室効果ガスのモニタリングのためのインフラ」などが主要な議題として議論されているそうです。

科学者や研究者だけではなく、私たち一人ひとりも、規模を問わずあらゆる事業者も、「気温がこれまでにない高さになっていく」時代に、どのように身を守ればよいか、事業や社員を守ればよいか、を真剣に考え、態勢を整える必要があります。

そして、今回の予測では1.5℃ラインを超えてもまた1.5℃ラインを下回るであろうと考えられていますが、このように、高温化が一時的である間に、常に1.5℃ラインを超えるようになってしまう状況に陥らないための対策を強化しなくては! 

CO2をはじめとする温室効果ガスの排出を一刻も早く削減し、実質ゼロにすること。あわせて、いったん大気に出てしまったCO2(大気寿命がありません)を回収し、固定化する取り組みを加速しなくてはなりません。

私自身も、自治体や地域、企業などの脱炭素化のお手伝いや、熱海で展開しているブルーカーボン、炭化事業をもっともっと加速しなくては。

 

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