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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2023年01月10日

原発回帰への政策転換、あなたはどう考えますか?

エネルギー危機
新しいあり方へ
 

福島原発事故を大きなきっかけとして、原発依存度をゼロに向けてかぎりなく低減していくはずだった日本の原発政策が大きく変えられようとしています。

政府の現在の考えと、環境NGOなどからの抗議の声明を伝え、1月22日まで行われているパブリックコメントへの入口をご紹介します。

昨年秋に私がヒヤリングに呼ばれたエネルギー庁の基本政策分科会では、「次世代革新炉の開発・建設についての最近の世論調査では、NHKは賛成が48%、反対が32%、毎日は賛成が36%、反対が44%、日経は53%の賛成、反対が38%」と、世論調査でも原発賛成派が半分を超えていて、原発へ舵を切るのは国民の希望でもある、というような発言があり、政府や委員会の委員の方々にはそのような見方が広がっているのだなあと思いました。

パブリックコメントでぜひご自身の意見や思いを伝えていただけたら、と思います。1人のパブコメで状況が変わることはないでしょうけど、私たち国民がどのように考えているかは伝えないかぎり伝わりませんので!

(ちなみにこの日の委員会の議事録はこちらにあります。https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2022/051/051_010.pdf


こちらが政府の考え(パブリックコメントの対象)です。原発のところを紹介します。

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~

GX実現に向けた基本方針 ~今後10年を見据えたロードマップ~
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000245694


原子力は、出力が安定的であり自律性が高いという特徴を有しており、安定供給とカーボンニュートラル実現の両立に向け、脱炭素のベースロード電源としての重要な役割を担う。このため、2030年度電源構成に占める原子力比率20~22%の確実な達成に向けて、安全最優先で再稼働を進める。

将来にわたって持続的に原子力を活用するため、安全性の確保を大前提に、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設に取り組む。

廃止決定した炉の次世代革新炉への建て替えを対象として、六ヶ所再処理工場の竣工等のバックエンド問題の進展も踏まえつつ具体化を進めていく。

既存の原子力発電所を可能な限り活用するため、原子力規制委員会による厳格な安全審査が行われることを前提に、運転期間に関する新たな仕組みを整備する。現行制度と同様に、運転期間は40年、延長を認める期間は20年との制限を設けた上で、一定の停止期間に限り、追加的な延長を認めることとする。

六ヶ所再処理工場の竣工目標実現などの核燃料サイクル推進、廃炉の着実かつ効率的な実現に向けた知見の共有や資金確保等の仕組みの整備を進めるとともに、最終処分の実現に向けた国主導での国民理解の促進や自治体等への主体的な働きかけを抜本強化するため、文献調査受け入れ自治体等に対する国を挙げての支援体制の構築、実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO自治体との協議の場の設置)の体制強化、国と関係、関心地域への国からの段階的な申入れ等の具体化を進める。

~~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~

パブリックコメントへの入口はこちらです。
「GX実現に向けた基本方針に対する意見の募集について」(1月22日まで)
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595222084&Mode=0

「意見募集要領(提出先を含む)」を確認して、「意見募集要領(提出先を含む)を確認しました。」というチェックボックスにチェックを入れた上で、「意見入力へ」のボタンをクリックすると、「パブリック・コメント:意見入力フォーム」から提出できます。

ここに「意見公募要領」と「GX実現に向けた基本方針」のPDFもあります。

政府の委員会などに出ていた経験から、パブコメの件数や賛否の割合、意見の内容は政府でも委員会でも見過ごすことはできず、きちんと取り上げますので、小さな声でもぜひ伝えましょう!


以下では環境NGOなどの声明をお伝えします。

【WWF声明】原子力の積極利用の方向性へ国民的議論なく大きく転換することに断固反対する
https://www.wwf.or.jp/activities/statement/5210.html

2022年8月24日の第2回GX実行会議での首相指示を受けて、経済産業省・資源エネルギー庁の審議会である総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会(以下、「原子力小委」)は検討を進め、同年11月28日に原案を示した後、同年12月8日に原子力政策の方向性と行動指針案(以下、「本方向性案」)として公表した。そこでは、原発再稼働への総力結集、既設炉の最大限活用、次世代革新炉の開発・建設などに取り組むとする。2022年12月開催予定のGX実行会議を経て、岸田首相は本方向性案を今後10年間のロードマップの一環とすることが見込まれる。

WWFジャパンは、そのあまりにも拙速な議論の進行に、断固として反対する。2011年の東日本大震災における福島第一原子力発電所事故以来、政府は原発の新増設や建て替えを想定していないとしてきた。本方向性案は、これを大きく転換して原子力の積極活用を図るものであるにもかかわらず、国民的な議論を経ることなく作成された。こうした進め方は2022年参議院選挙以降2~3年は国政選挙が無いことに乗じたものとの誹りを免れない。

また、本方向性案が革新軽水炉等の次世代革新炉の開発・建設を志向する点に、特に強い疑問を併せて提示する。放射性廃棄物の最終処分の目途は依然立たず、超長期の管理や安全性への懸念もつきまとう。加えて、革新炉は商用運転開始まで長期間を要し、2030年半減が必要なパリ協定下のタイムラインに全く整合しない。更に、再生可能エネルギーの実装・向上に必要な原資を次世代革新炉の研究開発投資が奪いかねない。

原子力による災害のリスクはゼロにできず、万が一の際には国民の生命・身体・財産、並びに自然環境に甚大な被害が生じるおそれがある。そのため国民全員が原発利用には利害を有する。原子力利用に関する議論に広く国民が参加できる機会を保障し、その熟議に基づいて原子力利用の方向性が決定されるべきである。原子力小委での議事・資料の公開や、パブリックコメントは実施されているが、これらは行政の必要最低限の責務に過ぎない。憲法で適正手続を受ける権利が保障され、行政運営に透明性を求める行政手続法1条の趣旨を考慮すれば、実質において国民の意見が反映されるプロセスを確保すべきである。

例えば、原子力利用を国民が議論する公開の場を、経済産業省や資源エネルギー庁のみならず環境省・原子力規制委員会の対等な関与の上、日本各地で定期的に開催することが考えられる。その際には参加者の無作為抽出、開催方法の工夫による参加者の多様な属性への配慮、運営者の高い中立性の確保などが必要である。加えて、策定プロセスとその条件を、原子力基本法などの法律で明確に定めることが重要である。

WWFジャパンの試算では、原子力を段階的に廃止し2030年に向けて再生可能エネルギーを電力需要の50%まで高めることにより、2050年にはすべてのエネルギー需要を再生可能エネルギーで賄うことが可能だと示している。国はこういった様々な研究成果を真摯に参考にしながら、国民的議論を経たうえで、原子力に関する方針を定めるべきである。少なくとも全く国民参加の議論の場がないままで、原子力推進への方向転換を突然決定することは許されるものではない。

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オルタナ「それでも政府が原発を推進すべきでない3つの理由」
https://www.alterna.co.jp/64016/

政府はGX(グリーントランスフォーメーション) 実行会議で、基本方針案を取りまとめ、1月22日までパブリックコメントを募集している。原発の新規建設や60年以上の運転延長などを盛り込んだ同方針案は、これまでの原子力政策から大きく方向転換し、原発に回帰する内容だ。そもそもなぜ原発を推進すべきでないのだろうか。

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気候ネットワーク【プレスリリース】
GX実行会議の原発石炭回帰の方針に断固反対
気候変動対策に逆行、国費の浪費、経済衰退への道を進むべきではない
https://www.kikonet.org/info/press-release/2022-12-23/GX

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FoE Japanは21日、声明「原子力と化石燃料推進のGX方針に抗議」を発信しました。
▼声明本文はこちら
https://foejapan.org/issue/20221221/10737/

FoE Japan「パブコメセミナー―― #原発推進GXをパブコメで止めよう」
・1月13日(金)18:00-19:00
・1月14日(土)14:00-15:00
・1月14日(土)16:00-17:00
毎回定員60名。登録は以下のページからお願いいたします。
https://foejapan.org/issue/20221226/10867/#seminar

 

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