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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2022年06月14日

プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025 みらいダイアログ」での発言内容など

大切なこと
新しいあり方へ
 

WWFジャパンが、「企業の2025年コミットメントにより、プラスチック諸問題の早期解決を図るプラットフォーム」として、「プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025」を立ち上げて活動を始めています。
https://www.wwf.or.jp/campaign/pcc2025/

6月1日に、「プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025 みらいダイアログ」が開催され、私も登壇者として参加させていただきました。プログラムや登壇者はこちらにあります。
https://www.wwf.or.jp/event/organize/5013.html

企業の担当者とのパネルディスカッションでは、2つの問いにそれぞれ自社の取り組みや考えを述べました。私のお話しした内容を共有したいと思います。


~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~


【問い1】サーキュラー・エコノミーが実現した未来とはどのようなものだと思いますか?

(枝廣)大事だと思っていることが2つあります。

1つは、今の私たちの経済は、何らかの形で地球から原材料とかエネルギーを取り出している。経済から見ると地球は供給源になっていますね。そして私たちの経済活動でいらなくなった廃棄物――CO2を含め――を地球に戻している。その観点からいうと、経済から見ると地球は吸収源でもあります。供給源と吸収源としての地球が、どんどん大きくなっていく経済に対応できなくなっている。それが温暖化であり、海洋プラの問題であり、いろいろな環境問題だと思っています。

なので、究極のサーキュラーエコノミーの転換がなされた経済というのは、「地球から何一つ取り出さない、地球に何一つ戻さない。地球を供給源・吸収源として使わない。供給するものも吸収してもらうものも、すべて経済の中で回していく」。それが本当のサーキュラーエコノミーだろうと思っています。それが一点目です。

もう一つは、では、すべて経済で回るようになって地球から取り出したり地球に戻したりしないで、地球に迷惑をかけないのであれば、いくらでも無駄なものをつくって良いのかというと、そうではないと思っています。

私たちの日本語には「もったいない」という言葉がありますね。私は一時「もったいない研究家」を名乗って、「もったいない」についていろいろ調べたことがあります。「もったいない」というのは「勿体が無い」と書きます。何がないことなのか。「勿体」という言葉を引くと、そのものの「価値」とか「本質」とか「本体」とか、そういう意味があるんですね。それがファッション衣料であろうと、プラスチックのストローであろうと、生み出されたからには、その価値を最大限に活かしてほしいと思っていると思います。

「どんなものでも、その価値を最大限に活かし切る」――そういうことができる社会。温暖化にもつながらない、ごみにもつながらない、だからいらないものをいっぱいつくるんだ、ではなくて、地球との「取り出し、吐き出す」という関係を断った上でも、本当に必要なもの、大事に使ってもらえるものをつくって、その価値を最大限に活かす。それが本当の意味での持続可能なサーキュラーエコノミーではないかな、私たちが見たい未来なのではないかな。そんなふうに思っています。


【問い2】どうすれば、その理想的なサーキュラーエコノミーが実現できるのでしょうか

(枝廣)2つのポイントを申し上げたいと思います。

1つは「見える化」です。先ほど述べたような完ぺきなサーキュラーエコノミーがあるとしたら、今の自社のデザインもしくは事業のあり方が、それのどこまで達成できているのか、どこは強くて、どこはまだできていないのか。

先ほどコカ・コーラの方がデータを示してくださったように、自社の現状をちゃんと見える化をしてデータで押さえておくことが必要だと思います。それをやらないと、転換しようにも何をどこまで持っていっていいかわからないと思います。

もう一つ大事なことは、1社だけではできないということです。いろいろな企業と協業していく必要もありますが、それをもう少し広げて、生活者がその商品や製品を使っていくわけですから、生活者との連携や共創をどのようにデザインしてつくっていくか。

海外の企業と比べると、日本の企業は自社の中でやるのは得意ですが、より広く、セクターを超えてとか、広いステークホルダーと一緒にやっていくというのは、これまであまり経験もなくて、どうしても二の足を踏みがちだと思います。

ただ、本当にサーキュラーエコノミーへの転換を図っていくとしたら、消費者・生活者の意識も変えていかないといけないし、行動も変えてもらわないといけない。それはおそらくそれぞれの地域で、リアルの場で、小さな試みをやっていくのだと思います。

つい最近、ある地域の唐揚げ屋さんが、唐揚げの持ち帰り用の容器をリユースの容器に変えたという記事がありました。最初に買うときは200円多く払うらしいです。その容器を持っていくと200円返してくれる、もしくはそれにまた入れてくれる。そうやって集めて洗って、プラスチックの容器の使い捨てをしない。それは、そこに住んでいる人たち、その唐揚げ屋さんが好きな人たちが買い支えて、はじめて回る仕組みだと思います。

企業が良かれと思って完ぺきにデザインしたとしても、生活者・消費者がそれを受け取るかどうかは別の問題なので、設計の段階から巻き込んでいくことも大事です。

そのときに、さっきチラとコカ・コーラの方が、「法的なことがあってまだお店では売ることができていません」と、ラベルレスの話をされていましたが、そういった法的な枠組や政策にも働きかけをしていかないといけない。

そのときに企業だけが働きかけをするのではなくて、生活者・消費者と一緒になって、「サーキュラーエコノミーをつくるためには、ここを変えていかないといけないですよね」という話をみんなでできるような、そういう枠組みや場面をつくっていく。そのようなセクターを超えて、自社を超えての共創のプロセス、もしくはその作法を身につけていくというのも、企業にとってもとても大事なことだと思っています。


~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~

サーキュラーエコノミーやプラスチック問題に関連する動きをいくつかご紹介しましょう。

◆「リコーグループ サーキュラーエコノミーレポート2021」を発行
~経済産業省・環境省のガイダンスに沿った日本企業初の報告書~
https://jp.ricoh.com/info/2022/0303_1

「循環型社会実現に向けた取り組み (リスクと機会)」として、以下を挙げるなど、他社の参考にもなりそうです。

<リスク>
リスク 1 資源の枯渇に伴う資源価格の高騰・変動幅の拡大
リスク 2 製品使用後の不法投棄による機密情報の漏洩と環境汚染
リスク 3 サーキュラーエコノミー潮流への対応遅れ
<機会>
機会 1 製品再生・部品再生事業
機会 2 新規事業の創出


◆WWFジャパン「地域と一緒に!漁網のみらいプロジェクト」がスタートし、宮城県気仙沼市との共同プロジェクトも始まりました。使用済み漁網の回収・リサイクルを通じて漁業者による漁具の管理を促すプロジェクトです。

全世界で使用されている漁網の5.7%、籠や壺などの仕掛けの8.6%、釣り糸の29%が海洋に流出していると推測されているとのこと。「ゴーストギア」問題やその対策については、こちらをどうぞ。
https://www.wwf.or.jp/campaign/gyomo-mirai/


◆2022年2月、米カリフォルニア海洋保護評議会(The California Ocean Protection Council)は、マイクロプラスチック汚染の削減に向けて、米国初となる取り組みマイクロプラスチック戦略「Statewide Microplastic Strategy」を承認しました。
マイクロプラスチック戦略の冊子(英語PDF)
https://www.opc.ca.gov/webmaster/ftp/pdf/agenda_items/20220223/Item_6_Exhibit_A_Statewide_Microplastics_Strategy.pdf


――――――――――


座学も大事ですが、やっぱり体験して、はじめてわかること・感じるものがあります!

◆夏休み!SDGs自由研究プログラム 第1弾 「海洋プラスチックってなんだろう?」

熱海・未来創造部では、「夏休み!SDGs自由研究プログラム」の第1弾として「海洋プラスチックってなんだろう?」の受付を開始しました。子どもたちの自由研究として、または、大人の自由研究として、ぜひどうぞ。詳細はこちらにあります。
https://mirai-sozo.work/topics/011882.html

開催日時:夏休み中の火曜日(7/26, 8/2, 8/16, 8/23)10~12時
定員:各回16名
料金:お1人様 3,300円
※小学3年生以下のお子様は保護者の方もお申込みの上、ご同席ください。
※大人の方のみでもご参加いただけます。

◆夏休みプログラム以外にも、さまざまな熱海での体験プログラムをお楽しみいただけます。スタディーツアーや研修、グループでの勉強会など、お問い合わせください。
https://mirai-sozo.work/program/index.html 

そのほかのお知らせを送ります。年2回だけの開催、定評をいただいている「自分合宿」の受付も始まりました! お役に立つものがあればうれしいです。
 

◎6月16日(木)18:30~20:30 幸せ経済社会研究所読書会
『これからの「社会の変え方」を、探しにいこう。』を読む 

◎7月13日(水)開催:オンライン
チェンジ・エージェント社 変革リーダーズセミナー「東洋思想からの学び:リーダーとしての自分を磨く(「孫子」編)」

◎8月27日(土)開催【熱海会場もしくはオンライン受講】
「自分合宿 2022夏~ビジョンを描き、レジリエンスを高める"自分マネジメント"の実践にむけて~」

◎9月3日翻訳道場@熱海&オンライン
~エダヒロが直接指導します~ 

◎メール講座「英語を話すための30本ノック」アップデート版

「英語を話したいのに話せない」「英語を話さなくてはならないのに、なかなかうまく話すことができない」--環境や社会に関連した出題メールを1本ずつ英語に変えつつ、英語発信力を高めるトレーニングです。
2022年3月に講座の一部をアップデートして、新しい出題を加えました。初めて受講する方はもちろん、過去に受講した方も復習を兼ねて、ぜひこの講座で「英語を話す筋肉」を鍛えてみませんか。

◎メール講座 やりたいことを着実に進める力を身につける「自分マネジメント 1カ月ナビゲーター」

やろうと思っていてもなかなか進んでいないことはありませんか?
「やらなくては」と頭のどこかで気になりつつ、忙しい毎日の中で優先順位が低くなりがちなことがありませんか?
この講座は、やりたいことを着実に進めていく力をつけるメール講座です。
毎週1回、メールで届くエールとすぐに役立つヒントをもとに、ご自分で取り組むことを設定し、自分マネジメントの中核である「課題設定」「計画づくり」「振り返り」のスキルを身につけます。

 

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