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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2022年02月02日

ブルーカーボンネットワークの活動と内外の取り組み3つ(2022.02.02)

新しいあり方へ
 

藻場の再生・ブルーカーボンの取り組みを進め、広げるためのブルーカーボンネットワークの活動を支えてくれるサポーター会員のみなさまのロゴやお名前がアップされました! https://bluecarbon.jp/supporters/

賛助サポーター会員が約20社・団体・個人、個人サポーター会員が約100名、大変心強いサポートをいただきながら、活動をスタートできています。ありがとうございます!

ブルーカーボン・ネットワークでは主に以下の5つの事業を推進していきます。
https://bluecarbon.jp/network.html

(1) 国内外のブルーカーボンや藻場再生の取り組みに関する情報共有および支援
(2) 気候変動・海の生態系などに関する情報共有
(3) ブルーカーボン・クレジットやブルーファイナンスに関する情報共有
(4) ウェブサイトやセミナー等を通じた情報発信・情報共有・支援の場づくり
(5) 会員および活動に必要な支援金の募集

ブルーカーボンや藻場再生に取り組む地域や自治体はもちろん、これから注目が集まってくるブルーカーボン・クレジット等の動きを知っておきたい企業や団体、水中ドローンなどの製品や、ブルーカーボンクレジットの算定など、ブルーカーボン関連の技術を開発・販売している企業、そして、広く気候変動・海の生態系などに関心を寄せる市民や企業の方々と、活動を進めていきたいと思っています。

ブルーカーボンネットワークはNPO法人化の作業も進めています。ぜひご一緒に活動いただいたり、活動を見守りながら応援いただけたらうれしいです。

個人サポーター会員:年会費:1万円(税込)

<特典>
・ニュースレターをお届けします(年4回、内外の動き、各地の取り組みなどをメールでお届けします)
・こちらのWebサイトにお名前を掲載いたします(匿名でのご希望も承ります)
:ネットワークが主催する公開セミナー・シンポジウム・現地見学会等に特別価格で参加できます

賛助サポーター会員:年会費:1口10万円(税込)(何口でもお申込みいただけます)

<特典>
・ニュースレターをお届けします(年4回、内外の動き、各地の取り組みなどをメールでお届けします)
・こちらのWebサイトに社名ロゴまたはお名前を掲載いたします(匿名でのご希望も承ります)
※お申込みいただいた口数によって、社名ロゴの大きさが変わります
・「ブルーカーボン・ネットワーク・セミナー」に参加できます(年4回、最新動向やクレジット制度、政策について有識者や実践者を招いての勉強会を熱海市&オンラインで開催します)
・ビジネス用のメッセージングアプリ「Slack」で、メンバー同士による情報交換ができます

賛助サポーター会員向けのSlackでの情報交換の準備ができており、第1回のセミナーも決定しました! 

記念すべき第1回は、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)理事長 桑江 朝比呂様をお迎えし、JBEでの調査研究やクレジットを含むブルーエコノミー・ブルーカーボンクレジット事業の最新動向等を教えていただこうと思っています。ご関心のある企業・団体・個人の方は、ぜひサポーター会員のページをご覧下さい。
https://bluecarbon.jp/network.html

さて、藻場の再生・ブルーカーボンの内外の取り組みをみなさんに知っていただけるよう、
ピックアップ・取材しながら記事にしていく活動も順調に進んでいます。(今後は、ブルーカーボンに関わる世界の研究・調査についても取り上げていく予定です)


今年になってからアップされた3本の記事をご紹介します。写真などはぜひウェブをご覧下さい!

米国:1970年代からスタート、バージニア海洋科学研究所によるアマモ再生の取り組み
https://bluecarbon.jp/initiatives/000961.html

鹿児島県:種子島の高校生による藻場再生プロジェクト
https://bluecarbon.jp/initiatives/000966.html

神奈川県横浜市金沢区:コンブは地球を救うっ!!
https://bluecarbon.jp/initiatives/001131.html


~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~

米国:1970年代からスタート、バージニア海洋科学研究所によるアマモ再生の取り組み

1970年代という早い段階から藻場の再生に取り組んでいる事例があります。1978年から始まったバージニア海洋科学研究所によるアマモの再生プロジェクトです。

1970年代半ばからチェサピーク湾(西側にはワシントンD.C.やノーフォーク、東側はデルマーバ半島がある)でアマモが減少したことが、この取り組みを開始するきっかけとなりました。

残念ながら、チェサピーク湾でのアマモの再生はこれまでのところ成功していません。しかし、デルマーバ半島の東側のサウス湾、スパイダークラブ湾、ホッグアイランド湾では、1999年にはアマモはほぼゼロだったのが、現在では6000エーカー(約24,000平方km)を超える規模のアマモの藻場が広がっており、世界的な海草再生の成功事例になっています。

また、これまでの取り組みから、成功の鍵を握っているのは水質であること、米国の中部大西洋岸の大規模養殖では、成体のアマモの移植よりも、種子を用いるほうが効果的であることがわかっています。今後の課題は、それぞれの現場で、波や潮の流れなど、どのような物理的な条件が、生育に影響するのかについての理解を深めることとしています。

バージニア海洋科学研究所「Seagrass Restoration」(ウェブサイト)
https://www.vims.edu/research/units/programs/sav1/restoration/index.php


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鹿児島県:種子島の高校生による藻場再生プロジェクト

「種子島の海と山をつなぐ会(2021年3月設立)」による藻場再生プロジェクトは、鹿児島県立種子島中央高校の授業(総合的な探求の時間)の一環としてスタートした活動です。現在では、鹿児島県立種子島高校、鹿児島県立錦江湾高校の生徒にも活動の輪が広がっています。

中心メンバーである高校生全員が共同代表を務めるこのプロジェクトでは、具体的な藻場再生の取り組みをいよいよこれからスタートするとのこと。これまで、調査やクラウドファンディングなどの準備を行ってきました。


実はこの活動では、はじめから藻場の再生を目指していたわけではありません。種子島は全国第二位のウミガメの個体数を誇ることから、当初はウミガメの保護に関する活動を考えていました。そのような中、2020年に種子島で開催されたブルーエコノミーのシンポジウム「ブルーエコノミーと漁撈文化」に参加し、藻場の重要性を知りました。

藻場はウミガメやその他の海の生物の大切な餌場であると同時に、漁師さんにとっては漁場でもあります。藻場の減少によって、ウミガメと漁業者の間で競合が生じていることも知り、藻場の再生にも力を入れることになりました。 こうして設立された「種子島の海と山をつなぐ会」では、「ウミガメの生息域の保全を面的に広げて考えること」が大切な理念となっています。

これまで、地元の農家さんや漁師さんに以前あった藻場について聞き取りを行ったほか、専門家による水質分析などを行ってきました。その結果、湊川に照準を当てて、減少している藻場の再生を目指すことになりました。

「種子島の海と山をつなぐ会」の取り組みの大きな特徴は、河川の再生と森の再生とをセットで考えているところです。現在、針葉樹に覆われている森に、広葉樹を中心とする多様な種類の木を植えることで、豊富なミネラル類を含む土壌を醸成できる森へと再生させます。同時に、森からの土壌を運ぶ河川の浄化を行い、河口域の藻場再生を実現し、多くの底生生物が生息可能な環境を整備していきます。このプロジェクトでは、新たに海草の種を植えるのではなく、植樹と河川浄化を行うことで、藻場が育つ環境を整え、もともとあった藻場を再生させることを目指しています。

このプロジェクトを実行するために2021年11月に行ったクラウドファンディングでは、220万円の目標額に対して、約330万円もの金額が集まりました。今後は、クラウドファンディングで得た資金を用いて、水質浄化と藻の付着を目的とした特殊セラミックを網カゴにつめ、河口域や農業排水路と河川の合流点に沈めるほか、専門家による水質調査や網カゴ周辺の生物調査などを行う予定とのこと。高校生による藻場再生のプロジェクト、若い力を応援しています!

参考資料:種子島の海を豊かに!藻場を再生し、ウミガメと漁業者との共生の実現へ(クラウドファンディングは終了しています)
https://readyfor.jp/projects/tanegashima-moba

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神奈川県横浜市金沢区:コンブは地球を救うっ!!


一般社団法人里海イニシアティブは、横浜市金沢区を拠点として、「コンブは地球を救うっ!!」を合言葉に、昆布を使ったブルーカーボンの取り組みを進めています。
理事の富本龍徳さんにお話を伺いました。

○横展開を期待して昆布を選択

取り組みを始めたきっかけは、磯焼けが日本全国で発生している状況を見たことでした。磯焼けとは、海藻が生い茂って藻場となっていた場所で、海藻が著しく衰退・消失してしまう現象です。海底が砂漠のようになっている状況を何とかしなければ、という思いで2014年に里海イニシアティブ設立準備委員会を発足させました。

昆布を使うことにした決め手は、国内の比較的広い範囲で栽培が可能なことでした。南北に長い日本列島は、気候もさまざまなので、植物によっては栽培できる場所が狭く限定されてしまいます。他地域にも同じような取り組みが広がってほしい、という願いを実現させるためには、昆布が最適と考えたのです。

○昆布養殖の立ち上げ

2016年11月に里海イニシアティブが設立され、取り組みが本格的にスタートしました。取り組みを多くの人に知ってもらうためにも、育てた昆布を収穫して利活用することを考えたのですが、そのためには漁業権が必要になります。地元の漁師さん達の協力も不可欠です。

新たな取り組みについて理解を得ることは、簡単ではありません。それでも時間をかけて丁寧に対話を積み重ね、信頼関係を築いていきました。その甲斐あって、昆布の養殖を始めることができたのです。

昆布の種付けは、毎年11月中旬に行います。長いロープに定間隔で種を付け、養殖場の水中に沈めます。翌年に収穫するまでの間は、生育状況のモニタリングが欠かせません。船に乗って養殖場まで行き、種付けしたロープを船の上に引き上げ、昆布の長さや重さを測ります。

○認知向上の取り組み

里海イニシアティブでは、より多くの人に取り組みを知ってもらうために、市民が参加しやすい仕掛けづくりをしています。『環境問題』と漢字4文字で書いてしまうと、とっつきにくい印象を持つ人も少なくありません。イベント形式で昆布の収穫を体験してもらうなど、柔らかいコンテンツにして参加を呼びかけ、関心を持ってもらえるよう工夫しています。

昆布は身近な食材です。昆布を使ったさまざまな食品を提供することにも、取り組んでいます。地元でブランド認定を受けたり、企業とのコラボ商品が生まれたりと、多くの人に知ってもらえるようになってきました。

○今後の展望

「2020年3月からの1年半だけでも、20を超えるメディアからの取材を受けました。企業から声を掛けてもらう機会が増えているなど、ブルーカーボンの取り組みへの関心が高まっていることを感じています」と、富本さんは話してくれました。

「一方で、取り組みが他地域に広がっていない現状を何とかしたい、との思いは常に持っています。実績を重ね、横展開につなげていくためにも、昆布の利活用の範囲を広げるなど、工夫を凝らして前に進んでいきます。」

昆布をつかった取り組みはまだまだ発展途上、これからどのように広がっていくのか、今後が楽しみです。

参考: 一般社団法人里海イニシアティブ
https://www.satoumi-i.com/


~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~


並行して熱海の海域での藻場調査手法の開発・調査も進めています。こちらについても、また進捗をお知らせしたいと思います。有償ですが実地での見学や意見交換の機会もありますので、お問い合わせください。

 

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