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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2019年04月03日

「パリ協定長期成長戦略懇談会」提言までの5回の会合の振り返りと主な論点 (2019.04.03)

新しいあり方へ
温暖化
 

昨日、私も委員を務める「パリ協定長期成長戦略懇談会」の第5回が開催され、提言を安倍首相に手渡しし、その役割を終えました。

首相官邸のウェブサイトでの会合のレポート
https://bit.ly/2UsOamq

提言とそのポイントの資料はこちらにあります。

パリ協定長期成長戦略懇談会提言(PDF/658KB)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/parikyoutei/siryou1.pdf

パリ協定長期成長戦略懇談会提言のポイント(PDF/692KB)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/parikyoutei/dai5/siryou2.pdf

委員として参加してきた立場から、その過程と、今回の提言の意味合いを考えてみたいと思います。長くなりそうなので、まずは<プロセス編>です。そのあと、<提言の内容編>を送りたいと思います。

今回の長期戦略懇談会の設置目的は、このように述べられています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/parikyoutei/

・パリ協定に基づく長期戦略策定に向け、これまでの常識にとらわれない新たなビジョン策定のため、有識者会議を設置する

・平成31年のG20議長国として、環境と経済成長との好循環を実現し、世界のエネルギー転換・脱炭素化を牽引する決意の下、成長戦略として、パリ協定に基づく、温室効果ガスの低排出型の経済・社会の発展のための長期戦略を策定する

・当該長期戦略に関する基本的考え方について議論を行うため、パリ協定長期成長戦略懇談会(パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会)を開催する

つまり、「G20議長国として、パリ協定に基づく長期戦略を策定するにあたり、その基本的な考え方を議論し、新たなビジョンを策定する」ことが、この長期戦略懇談会が設置された目的です。

座長は、JICA理事長の北岡伸一氏が務められ、そのほかに9人の委員がいます。

(五十音順、敬称略、肩書きは委員会開始時のもの)

内山田 竹志 トヨタ自動車株式会社代表取締役会長
枝廣 淳子   大学院大学至善館教授、有限会社イーズ代表取締役
進藤 孝生   新日鐵住金株式会社代表取締役社長
隅 修三    東京海上ホールディングス株式会社取締役会長
高村ゆかり   東京大学国際高等研究所サステイナビリティ学連携研究機構教授
中西 宏明   一般社団法人日本経済団体連合会会長
水野 弘道   国連責任投資原則協会理事、年金積立金管理運用独立行政法人理事兼CIO
森 雅志    富山市長
安井 至    東京大学名誉教授、元国際連合大学副学長、一般財団法人持続性推進機構理事長

2018年8月3日に第1回が開催され、昨日の第5回まで、5回の会合が開かれました。各回の議事次第、資料、議事要旨(昨日のはまだですが)はすべて、こちらからご覧いただけます。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/parikyoutei/

議事要旨から、自分の発言を追ってみたいと思います。長期戦略懇談会の論点のいくつかが出てきます。

●第1回(8月3日)
 ※私の資料はこちらにあります。 
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/parikyoutei/dai1/siryou3-1.pdf

【枝廣委員】
○資料3-1に沿って説明。主な発言は下記のとおり。

・長期戦略の必須要素として、総理のご発言から3点、大事な部分だと思っている。

この3点目の「野心的な目標」に関しては、「2050年に80%削減」という目標の基準年をきっちり出して、本当にどれぐらいの規模を野心的にやっていこうとしているか出す必要がある。その先は「実質排出量ゼロ」に向けての大きなビジョンが出せればと思っている。

・私たちが、この長期戦略を考えるうえで「長期」とはどういう未来かということを3点、大事だと思う点を挙げている。

・1つ目は、エネルギー情勢懇談会でも繰り返し確認したことだが、今後の未来は不安定で不確実である。そうしたときに、決め打ちで手を打っていくということは難しいので、レジリエンスを高めた形で経済の成長もしくは社会の進捗を図っていく必要がある。

・レジリエンスを高めるためには、短期的な効率・利益の最大化ではなくて、長期を見るということ、集中型ではなくて、小さい規模でもたくさんの産業や新しい企業を興していくことを考えることが重要と思っている。

・2点目は、言うまでもなく、日本は人口減少・高齢化が進むので、特に地域の力を高める成長戦略が大事だと思っている。もちろん、最先端の大企業がもっと先に行くことも大事だが、一方で、「人口の8%の地方の人々が48%の国土を守っている」現状から、この人たちがここに住み続けることができる、そういった地域の活性化につながる成長戦略を考えたいと思っている。

・3点目は、人々の「幸せ」の定義は変わりつつあるということだ。これまでの、お給料が増えればいい、GDPが増えればいいという価値観ではなく、持続可能性、人間性、社会性を大事にする生き方を求める人が増えている。これに沿った形の成長戦略、つまり何を成長させるべきなのかということも議論できればと思っている。

・一つの例として、私もお手伝いをしている、北海道の下川町の話を一言させていただきたいと思う。

・SDGs未来都市にも選ばれている所だが、「見える化」ということで、地域の経済を見える化する努力をされている。それによって、地域の経済のどこに穴があいているか、大きくはエネルギーだということで、豊富に持っている森林バイオマスを使って熱の自給を今進めている。

・それによって、既に化石燃料費の削減ということで2億円以上、域内にお金をとどめることができている。加えて、熱や森林資源を使って小さいけれどもさまざまな産業が起こっている。それによって、どんどんと人々が移住をして、今、社会増という、一つの成功事例になっている。

・地域の経済状況も、人々の豊かさの実感も向上するような、そういった成長戦略をつくることができればと思っている。

●第2回(9月4日)

外部有識者からのヒアリング(テーマ:「イノベーション」)
天野浩氏(名古屋大学教授)
五神真氏(東京大学総長)

 ※私の資料はこちらにあります。 
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/parikyoutei/dai2/siryou3-2.pdf

【枝廣委員】
○ 資料3-2に沿って説明。主な発言は下記のとおり。

・ 3 種類のイノベーションを考える必要があるということを、イノベーションの回で申し上げたいと思う。ややもすると日本はイノベーションというと「技術革新」だと、技術に非常に焦点を合わせた形で言われることが多い。もちろん、この先端化イノベーションをさらに進めることは重要であるが、その他の二つのイノベーションも同時に考える必要があると思っている。

一つは既にある技術をどのように実際に展開していくか。これは今日ご欠席だが、富山市長の森委員も前回おっしゃっていた「汎用化のためのイノベーション」である。

それからもう一つ、SDGs の言葉を使うと、「誰ひとり取り残さないイノベーション」。この三つを先端イノベーションで進めながら汎用化しつつ、そして最後、誰ひとり取り残さない形で進めていくという、そのイノベーションの三層構造を意識して、イノベーションの議論ができればと思っている。

・ 先端化のイノベーションは、これはもう皆さんもおっしゃっているとおり、高い目標があってこそ進む。これは 3 省の今のご説明でも、ほかの委員のご説明でも脱炭素という思い切った究極の目標を出そうということは、もう共有されているのではないかと思う。これをどのぐらい本気でやっていくか。

ちなみに 5 月に取材に行ったスウェーデンでは、世界が 2050 年にやるのだったら、我が国は 2045 年までにやるということで、実際に化石燃料ゼロになると宣言して進めている。

鉄鋼メーカーでも今はまだ難しいと言われている水素還元で化石燃料ゼロの鉄鋼を 2045 年までにつくると進めている。これも高い目標が国全体で共有されているからこそだと思う。

・ 先ほど五神委員からも言及があったが、私も参加していたエネルギー情勢懇談会において、パリ協定なのでエネルギーのイノベーションが絶対に必要ということで、複線シナリオと科学的レビューメカニズムということを提言に入れ、エネルギー基本計画にも反映されている。これをしっかりと進めていくことが先端化イノベーションのためには大事だと思っている。

・ 二つ目のイノベーションだが、汎用化、これは実際パリ協定の目標実現に向けて最も効果が高いのではないかと思う。既にたくさんの技術が日本にはあるがなかなか用いられていない。再エネにしても海外で展開する日本企業が多い。これは内山田委員も繰り返しおっしゃっていることだが、コスト削減を進めること。

それから、イノベーションを実際に展開しやすいように制度を変えていくこと、もしくは社会的合意形成を進めるための技術開発、この辺りもイノベーションとして考えていく必要がある。

・「誰ひとり取り残さない」については、地方創生をお手伝いしているが、今日本では人口減少に伴って各地で不安感が広がっている。このままではどうなっていくのだろうと。

そのときに先に進むイノベーションだけではなくて、実際にある技術をいろいろな仕組みや制度のイノベーションと組み合わせることで、例えばこれはアメリカ、英国の例を載せているが、低所得者の人たちがプラスになるような、そういったイノベーションもある。日本でもこういったものをぜひ進めていただきたいと思っている。

・ 脱炭素というからには、やはり政府からしっかりやっていただきたい。これはスウェーデン政府の例だが、各行政機関が自分たちの目標達成に向けてのレポートをきちんと出して、政府全体で進めている。そして社会イノベーションを進めてほしい。今やりにくくしている要因がまだ多々あると思うが、これを一つずつきちんとなくしていくことも重要かと思う。

ーーーーーゲストスピーカーの話をお聞きしたのちの議論ーーーーーー

【枝廣委員】
○ 主な発言は下記のとおり。

・ 政府の立場を教えていただきたい。例えば自動車新世代のような、新時代のような、先へ進むイノベーションを政府として支援するということをずっとやっていらっしゃると思う。

その一方で、既にある技術をいかに汎用化するか、例えばイノベーション、もしくはコスト削減でもそうだし、制度的な壁を取り払うなど、何が既にある技術の普及を阻んでいるかということをしっかり出して、それを一つずつ解決していく取り組みは?

例えば再エネにしても再エネ技術はあるが、水利権とかいろいろな問題があって、実は、まだエネルギー開発ができないというところがたくさんある。

さらに技術を進めるというのも大事であるが、既にある技術を普及する、展開していくために、例えば環境省なり経産省なりでどういった形で考えているのか、もしくは担当を置いてやっているのか、教えていただければと思う。

【世耕経済産業大臣】
○ 主な発言は下記のとおり。

・ それは、いろいろな部署で様々な形で取り組んでいると思う。特に再生可能エネルギーに関しては、技術的にはほとんど問題ないけれども、制度的な問題あるいは事業者間の問題というものもある。

こういった問題は、例えば再生可能エネルギーについても主力電源という方向を明確にしているので、そういったバリアは一つ一つしっかりと各部署で越えていくという形をとっていきたいと思っている。

・ また、横に広げるという意味では、国際展開、これも非常に重要だと思っている。日本の、環境に対する非常にすばらしい技術を海外展開していくということに関しては、これはもう省を挙げて、各企業の取組をしっかり後押しをしていきたいと思っている。

【枝廣委員】
○ 主な発言は下記のとおり。

・今日のゲストのお二人にぜひ教えていただきたい。次世代の若者の「イノベーションをつくり出していこう」という気概、もしくはそういった力をつけていくことが大事だというお話、本当にそのとおりだと思うのだが、そのためには今何が欠けているのか、何があればいいのか。

【東京大学五神総長】
○ 主な発言は下記のとおり。

・ 3.11 の影響が大きいのではないかと思うことがある。中学生くらいのときに東日本大震災を経験したことにより、学生の間で社会課題に対する解決意欲が非常に高まっていて、例えば地方に出ていって、地方の課題を東大の研究成果を用いて解決につなげるプログラムに意欲的な学生が集まる。

・ そういった社会課題解決をビジネスに展開することは若くてもできるので、例えばベンチャー育成のような仕組みをきちんとつくっていくことが重要。ベンチャー経営においては CFO をきちんとアサインできるということも重要なので、経営面を含めた総合システムとして、ベンチャーを支援していくということが必要である。これはリスク投資文化をエンカレッジするという意味で、日本の経済活性化にもつながる。

その機運は相当高まってきたと感じていて、私はベンチャー育成などを通して日本にリスク投資文化を醸成することが非常に重要で効果が上がるだろうと思っている。

【名古屋大学天野教授】
○ 主な発言は下記のとおり。

・ 我々、教育の現場にいて感じるのは、大学・大学院と遅くなると手遅れである。だから学部生、あるいは高校生のうちから、こういった環境に対する取組という教育をしていく、それをシームレスにつなげるということが大事だと思っている。

それから我々物づくりに関して言うと、今まではどちらかというと研究志向型の学生がほとんどだった。ビジネスあるいはプロダクト開発と、そういった人間が不足していたので、最先端の技術をビジネスに一気にできる、そういった人材の教育がこれから重要になってくるだろうと思っている。

●第3回(11月19日)

外部有識者からのヒアリング等
テーマ:
「グリーンファイナンス」
・イブ・ペリエ氏(アムンディアセットマネジメントCEO)
「グリーンビジネス・海外展開」
・ディディエ・オロー氏(ENGIE上級副社長)
「地域」
・太田昇氏(岡山県真庭市長)

 ※私の資料はこちらにあります。 
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/parikyoutei/dai3/siryou2-5.pdf

この回は出張と重なっていたため、参加できず、資料提出だけでした。

●第4回(12月21日)

3回の外部有識者からのヒヤリングを受け、委員間での議論

 ※私の資料はこちらにあります。 
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/parikyoutei/dai4/siryou2-2.pdf

【枝廣委員】
○ 資料2-2に沿って説明。主な発言は下記のとおり。

・資料2-2をご覧いただきたい。G20で議長国としてしっかり機能できるものにこの提言書をするために、今回入れるべきだと思っている7点、そして提言の作り方についてお話をさせていただきたいと思う。

・まず、これは繰り返し皆さんからも出ているが、しっかりと長期目標を出していくこと。そのときにまず、前提として2度というよりも「1.5度目標」に取り組むという姿勢が国際的にも必要だと思う。

・また長期目標を出すだけではなくて、それが今後もぶれないという保証をしっかり出すこと。例えばスウェーデンは、政党が代わってもこの目標を変えないということを決めており、長期的な投資ができるという状況になっている。

・二つ目は海外貢献分についてで、「日本の海外での貢献を数えるべきだ」というお話はそのとおりだと思うが、逆に「日本で海外が貢献しているところも差し引くのか」という議論が今出てきている。国内でしっかり実現するということを出していただきたいと思う。

・3点目は石炭で、この間のCOP24でも、日本の石炭はかなり批判されていいた。長期的にゼロに向かっていくという姿勢は必須だと思う。

・その次は、行動変容のためである。意識や価値観を変えるのも大切だが、すぐに行動が変わるわけではないので、値札を変える、カーボンに価格をつけるということは、必ず必要と思われる。

・その次は、繰り返しお話ししていることだが、地域も長期的に成長できる戦略にしていただきたい。ここは、特にエネルギーに関しては大事なところかと思う。

・その次、経済成長にしても、究極の目標は幸せだと思う。人々が幸せで安心して暮らせること、今回の長期戦略がそこにつながっているということを出す必要があると思っている。

・ところが、12ページのグラフを見ていただくとわかるように、日本の人々にとっての温暖化対策は今、幸せにつながるというよりも、負担でありマイナスであるというイメージになっている。これは他国と比べてかなり違う様相になっている。

なので、これに取り組むことが自分たちの幸せになるという、そこの位置づけや価値観もしっかり伝えていかないといけない。負担感ばかりが積み上がっていくと、なかなか取り組みも進まないと思っている。

・13ページに書いてあるのは、今回決めて「おしまい」ではないわけなので、どのように進捗管理・軌道修正していくか。このメカニズムをきちんと入れ込む必要があると思っている。例えばイギリスの気候変動委員会のように、客観的に進捗を見ながら科学的レビューができるような形が必要と思う。

・15ページに書いているのは、今回の提言の作り方についてで、事務局に任せて作っていただくというよりも、私たちの委員としての気持ちと思いを乗せた提言を作りたいと思っている。10年前になるが、洞爺湖サミットに向けて福田内閣時代に地球温暖化問題に関する懇談会提言を作った。この時は、委員の中から有志ということで、私と末吉竹二郎さんが、国民に呼びかける文言のたたき台を作らせていただいた。こういった形で、委員皆で作れればと思っている。後は、日本の企業、自治体の声ということで、いろいろな声を寄せていただいているので、こういった人々の気持ちに応える提言を作っていきたいと思っている。

●第5回(4月2日)

開会
パリ協定長期成長戦略懇談会提言について
委員からの発言
関係大臣からの発言
内閣総理大臣挨拶閉会

この回は資料提出はなく、提言の最終案について、意見を述べ、安倍首相に手渡しし(そこからメディアが入りました)、総理が挨拶されるという流れでした。総理の挨拶はこちらにあります。
https://bit.ly/2UsOamq

委員の発言は追って議事要旨がアップされると思いますが、自分の発言について紹介したいと思います。(1人2分!とのお達しでした)

【枝廣委員】

ありがとうございます。今回、総理から私たちにいただいた宿題は、「世界中から資金が集まり、日本経済の成長につながる野心的なビジョンと政策を」ということでした。私たち、最善を尽くしてこの提言に力を尽くすことができたと思っています。

内容は、今ほかの委員からもお話があったように、非常に野心的なものが並んでおりますが、1点だけ、通訳として世界と交渉することが多かった立場から。やはり世界に伝えるためには、表紙というか見出しが大事で、そこで「面白くない」と思われてしまうと、終わってしまいます。

野心的なビジョンは提言の8ページにありますが、先ほど座長からもご紹介いただきましたように、「今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会を実現する」となっています。

日本人的なまじめさで、まずそれを言ってから、「そのために2050年に80%削減」と言っています。ただ、そうすると、そちらに重きがあるように聞こえてしまいます。「2050年80%削減」は、これまでも言ってきていらっしゃることですので、新鮮味がありません。多分欧米だったら順序を入れ替えて、「2050年までに80%削減をやります。そしてその先、今世紀後半のできるだけ早い時期に脱炭素社会を実現します」と言うのではないかと思うのです。

「脱炭素社会」というのは、3ページの注6に書いてありますが、「カーボンニュートラル」ということで、「実質ゼロ」ということです。

「実質ゼロを今世紀後半のできるだけ早い時期に」と言っている先進国はほかにはないと思います。ここは非常に先に進んでいるところです。

「実質ゼロ」ということは、地球が吸収してくれるマイナス量と私たちが出す排出量の合計、和がゼロになるということです。0(れい)になるということで、令和の時代の始まりにふさわしいビジョンではないかと思っています。(※安倍総理も他の出席者も笑ってくれました-)

そして、今後の日本にとって大切な地域の視点もしっかり入っていますので、ぜひここも戦略・政策をつくっていただいて進めていただきたい。胸を張って世界をリードしていただきたいと思います。

座長、そして事務局の皆さん、本当にありがとうございました。

以上、5回の議論の内容から、いくつかの論点が明らかになったかと思います。

・野心的な長期ビジョンをどこに定めるのか
・パリ協定の2度目標より厳しい1.5度目標をどう位置づけるのか
・日本の排出量削減と海外の排出量削減への貢献をどう考えるのか
石炭火力をどう位置づけるのか(国内、海外への輸出)
・カーボンプライシングをどう位置づけるのか

そのほか、私が強調したのは

・地域にとっての成長戦略でもあること
・人々の暮らし、豊かさ、幸せの視点の重要性
・汎用化のイノベーションの重要性

などでした。

さて、では、そうした論点をめぐって議論を展開した結果、最終的に提言はどのような形でとりまとめられたのでしょうか。

       <  つ  づ  く  >

 

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