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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2018年09月02日

「正」という漢字の意味とは?~東洋と西洋の知の融合研究所のウェブがオープンしました (2018.09.02)

新しいあり方へ
 

私も関わっている「東洋と西洋の知の融合研究所」のウェブサイトが立ち上がりました。

https://inst-east-and-west.org/ (日本語)
https://inst-east-and-west.org/en/ (英語)


「東洋と西洋の知の融合研究所」とは何か、ご紹介したいと思います。
https://inst-east-and-west.org/about/


●設立趣旨

人類史の要請に従って、
東洋と西洋の知見を出し合い、
真摯で謙虚に徹した姿勢により、
秩序の形成、恒久的な平和、人間性に基づく繁栄、
環境と万物と人間のより良い関係とその維持の在り方を探求する。


●目的
西洋近代思想の行き詰まりによる昏迷を一掃する為、新しい人類の指針としての「東洋と西洋の知の融合」思想を確立すること。

地球全体を見据えた国家・社会と人間の在り方を探求する為、東洋からの発想・知恵を西洋に問い、西洋の発想・知恵を誘発し、討論し、高め深めて指針を提案すること。

第四次産業革命を中心とした技術主導型転換を人間にとってより良いものにするため、必須となる精神、あるべき社会ヴィジョンを明確にし提案すること。


メンバーは以下の方々です。
https://inst-east-and-west.org/about/

<理事長>
今井 博文(富士製薬工業株式会社 代表取締役会長)

<副理事長>
〓見 克司(新日本建設株式会社 代表取締役社長 社長執行役員)

<所長・主席研究員>
田口 佳史(東洋思想研究家、株式会社イメージプラン 代表取締役社長)

<主席研究員> ※五十音順
枝廣 淳子(大学院大学至善館教授・幸せ経済社会研究所所長・環境ジャーナリスト)
合津 榮敏(鹿島建設株式会社)
瀬口 清之(一般財団法人 キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹)
高津 尚志(IMD 北東アジア代表)

<研究顧問>
野田 智義(大学院大学至善館 理事長)
野田 稔(明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科 教授)

以下のような構成で、日本・東洋からの発信を始めたところです。よろしければ、ご一読いただけたらうれしいです。また、ご関心を持っていただけそうな海外の方々にもぜひご紹介ください。
https://inst-east-and-west.org/en/ (英語)


●田口佳史のコラム
東洋と西洋の知の融合をめざして

●研究員の思考ノート
「不穏化する一方の世界で、高まる日本への期待-グローバルな課題解決策を議論するプラットフォームを日本に設立せよ-」
瀬口 清之

●動向や取り組み
「徳目」に基づくユニークな評価制度
富士製薬工業株式会社の取り組み

●東洋思想に学ぶ
儒教のエッセンス・孔子 /「礼」と「仁」


このメンバーで東洋思想の勉強をしながら、さまざまな議論をしています。なぜ企業や官庁の不祥事が止まらないのか? 「コンプライアンス」は解決策なのか? 本当に大事なのは何なのか? 私たちが今考えるべきこととは?

田口先生の「東洋と西洋の知の融合をめざして」から、一部をご紹介させてください。
https://inst-east-and-west.org/taguchi/2018/002471.html


~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~

日本語の「正しい」という漢字は、「一」に「止」と書きます。

ある一線で「これを超えてはならない」と止まることです。社会が「超えてはならない一線」を共有してこそ、安心して生きられます。しかし、これがなく各自がそれぞれに「自分勝手な一線」を判断基準にしようとすると、果ては「人を殺して何が悪い」という人が出てくるなど、混乱し、社会も企業などの組織も十分に機能ができなくなってきます。

現在の日本はまさにこういった無規範社会になりつつあります。

人間として大切なことを教えなくなってしまったからです。その大きな原因は、明治維新後、列強に痛めつけられた中国の悲惨な状況を見て、産業革命を早く実現しなくてはと技術導入を必死に進めたことにあります。そのために教育も、技術・知識を重視するものとなり、その後もずっと人格や教養を重視する教育に戻っていないのです。

技術知識教育で一流の技術者を育てることはできますが、一流の人間は育てられません。本当の意味で立派な人間になるための教育を取り戻す必要があります。経済の不況はいくらでも取り戻せますが、精神の退廃は回復するのに何十年もかかります。すぐにやらなくてはなりません。

●東洋と西洋の知の融合をめざして

江戸時代後期に活躍した日本を代表する思想家の一人、佐久間象山は「東洋道徳、西洋芸術」と、東洋・西洋それぞれの強みを指摘しています。

「真理は自分の内にある」と考える東洋では、「人間とは何か」といった原理原則を求め、自分の内にある真理へと向かっていきます。最も根本にあり、時代や社会が変わっても揺らぐことのない原理原則を追求し、大事にするのが東洋の強みですが、一方で応用性に欠けるきらいがあります。

西洋では「真理は外にある」として、外にある真理に向かって突き進みます。刀折れ倒れたならば、そこから次の人が引き継いで進んでいくことができます。普遍化に秀でており、具体的に物事を動かしていく技術(art)に長けているのが西洋の強みといえるでしょう。

両者の強みを持ち合い、新たな枠組みを共創していかなくてはなりません。

日本も戦後、"西洋化"する中で、「短期的な、目に見えるもの・測れるもの」のみを重視し、その背後にあるさまざまなつながりや長い時間軸を考えないようになってきました。

東洋思想の特徴でもある「曖昧・割り切れないこと」を認められなくなり、何に対しても唯一の絶対解があるかのような融通のない考え方になってきました。

私たち日本人は、私たちが失いつつある日本と東洋の文化的基盤を取り戻しつつ、東洋と西洋の知の融合を通じて、世界の新しい枠組みを共創していかなくてはなりません。それが21世紀の日本に生きる私たちの役割だと信じています。

~~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~

3.11のあと、田口先生のもとで中国古典の勉強を続けています。いま私は、『孟子』を読んでいるのですが、持続可能性に対する考え方なども出てきて、とても面白いです。

先日は、企業向けに「中国古典からひもとくSDGs」という講演もさせていただきました。中国古典をひもといていると、SDGsの17目標のすべて(そしてその根本となっているもの)を見つけることができるのです! SDGsの見方も広がり、深まり、とても面白いです。どこかのタイミングでまた共有できればと思います。

 

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