ホーム > 環境メールニュース > 岩波ブックレット『「定常経済」は可能だ!』が出版されました! (2014.11....

エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2014年11月07日

岩波ブックレット『「定常経済」は可能だ!』が出版されました! (2014.11.06)

新しいあり方へ
 

春に勉強会を開催してインタビューに臨んだハーマン・デイリーさんの「定常経済」の考え方をわかりやすく解説したブックレットが本日、岩波書店から出版されました!

「定常経済」は可能だ! (岩波ブックレット) 562円
ハーマン・デイリー (著), 枝廣 淳子 (聞き手)

(amazonの紹介文)
いま私たちは、持続可能な「経済のあるべき姿」の再考を迫られている。なぜ現在の「成長経済」ではダメなのか、「定常経済」とは何か、どのように移行していけばよいのか――。2014年の「ブループラネット賞」受賞者である環境経済学の大家が、日本の環境ジャーナリストの問いに平易に答える、第一級の「定常経済」入門。

ブックレットですから、薄くてすぐに読めます。上記の紹介文にもあるように、なぜ現在の「成長経済」ではダメなのか、「定常経済」とはどういうものなのか、とてもわかりやすく解説して下さっています。

「はじめに」をご紹介しますね。

~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~

はじめに

―――ハーマン・デイリーさん、こんにちは! 

温暖化の進行や生物多様性の危機、世界に広がる水や食料の不足、繰り返し起こる経済のバブル(次のリーマン・ショックがいつ起きてもおかしくない状況ですよね)、貧困や格差の増大、モノは余っていても心は満たされないという人が増えているなどの状況に加えて、世界に先駆けて人口減少・超高齢社会に突入した日本は、本当にみんなを幸せにしてくれる持続可能な「経済のあるべき姿」に向けて再考を迫られています。

あちこちでいろいろな分野の人が考え直しをしようとしている今、デイリーさんが40年以上前から提唱されてきた「定常経済」(steady state economy)という考え方は、大きなヒントときっかけを与えてくれます。なぜ現在の成長経済ではだめなのか、「定常経済」とは何か、どのように移行していけばよいのかなど、いろいろ教えてくださいね。

(デイリーさん)
ええ、喜んで! 日本の「失われた20年」という言葉を聞くたびに、「成長志向型の経済がうまくいかなかったというその経験を活かしてもらえればよいなあ」と思います。「どうやったら成長の限界に適応したらよいか」を考える、つまり、「限界を破れないこと」は「成長経済の失敗」ではなく、「定常経済の成功」なのだと考えられないか、と思うのです。

日本は島国ですから、「限界」はよりわかりやすいでしょう。人口増加は世界的な問題ですが、日本はすでに人口増加の制限に成功しています。日本人は伝統的に、「もっと、もっと」と量的な拡大をするよりも、良い製品を開発すること、つまり、質的な発展を大事にする人々ですよね。そして、他の西洋諸国の多くに比べて、所得の平等な分配を大事にしようと社会全体が考えている国です。

あらゆる国が、限界に直面しており、こういった方向に向かっていかなくてはなりませんが、「成長の限界にうまく適応する」ことについて、日本は、自発的に、または状況に強いられて、という面もあるでしょうけれど、世界の先頭に立っているように思えます。

限界に直面したときの痛みの多くは、「成長しかない」と努力し、限界と闘うことから生じるのではないかと思っています。「じょうずに調整して限界に合わせよう」「経済成長のデメリットがメリットより大きくなってしまうタイミングを知ろう」とすれば、痛みは少なくてすむでしょう。

―――次の10年が、「失われた30年」ではなく、「持続可能な経済にシフトする10年」になるように、そのための大きなヒントと枠組みを提供してくれる「定常経済」についてお聞きできることを心から楽しみにしています。デイリーさん、よろしくお願いします!

~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~

この面で、日本が世界の先頭に立っている! 自国の経済を上手にシフトしながら、世界のリード役を務められるよう、何が必要なのか、どうしたらよいのか、ぜひ一緒に考えていただけたらと思います。自治体や地域、企業の方々も、「そういう時代になっていくとしたら、自分たちの役割は?」と考えていただけると思います。

目次はこちらです。

~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~


「定常経済」は可能だ!
ハーマン・デイリー  [聞き手]枝廣淳子

目次
はじめに
I なぜ「定常経済」が必要なのか
1 「経済成長」に頼って問題解決ができない時代
2 本当に温暖化問題を解決するには
3 「空いている世界」から「いっぱいの世界」へ
4 「不経済成長」から「定常経済」へ

II 「定常経済」とは何か
1 「定常経済」の着想と戦い
2 「定常経済とは何か
3 なぜ経済学は「成長」にしがみつくのか
4 経済学における「定常経済」の系譜
5 技術だけでは解決できない
6 「定常経済」と雇用
7 「経済成長」と「定常経済」に関する誤解・反論・心配への回答

IIIどうやって「定常経済」へシフトするのか
1 「うまくいかない成長経済」から「定常経済」へ
2 持続可能な経済への移行には、考え方の移行が必要
3 「定常経済」へシフトするために必要な「10の政策」


~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~


「定常経済について理解したい!伝えたい!」という数年越しの願いが実現して、こんなにうれしいことはありません。

来週来日されるデイリーさんに、このブックレットをお渡しできること、とても楽しみです~!


「定常経済」は可能だ! (岩波ブックレット) 562円
ハーマン・デイリー (著), 枝廣 淳子 (聞き手)

 

このページの先頭へ

このページの先頭へ