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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2014年06月08日

全米の大学から食品ロスをなくせ!~それは大学生の気づきから始まった (2014.06.08)

食と生活
 

前号でお届けしたハーマン・デイリーさんの「経済成長って何ですか?」インタビューに対して、いただいたフィードバックを2つ、ご快諾を得て、ご紹介します。

~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~

ハーマン・デイリーさんのお話、とっても難しいのでは・・と思っていましたが、とってもシンプルで分かりやすく、特に、

> 1つは経済、つまり人やモノを含む経済そのものが物理的に大きくなるという意
> 味です。「経済」の成長ですね。
>
> もう1つは、コストよりも便益のほうが大きい(=経済的な)成長という意味で
> す。実質的にプラスになる成長、実質的に役に立つ成長ということですね。
>
> この2つはまったく違う意味です。

という点に、目からウロコの思いです。
分かってみれば、とても当たり前のことですが(^_^;)
この視点をあててみることで、
今まで悩ましく感じていたことが、スッキリ考えられそうな気がします。

今後のインタビュー、それから幸せ経済社会研究所の勉強会も
楽しみにしています~(^^)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ハーマン・デイリーさんのインタビュー拝見しました。経済成長と、経済的な成長、よく考えれば整理出来ることなのに、なかなか気がつかない視点でした。

「9個必要な時に10個発注するひとつの無駄が資本主義であり、経済成長を促す」と聞いたことがあります。

実際の商取引ではこんなことがよくあります。9個必要なのに10個発注されると、受注者は12個つくって11個納品する。3個分の無駄が下請けの、又下請けにも同じように適用されると、ハーマン・デイリーさんのおっしゃる「経済」は成長しますが、「経済的」にはコストが増していることになります。

これまでの世界が空いているこの世界を埋めてゆく作業だったとも言えます。

なお、変な話ですが、「もうモノはいらない」と思いつつも、空いてしまった気持ちの隙間を埋めるようになにか買わずにはいられない、病んだ状態があることも感じています。物質的にはfullなのに気持ちがemptyという新しい課題に、自身が直面しています。

~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~

実際の商取引でのお話、そして、「物質的にはfullなのに気持ちがemptyという新しい課題」、考えさせられます。。。みなさんはどう思われるでしょうか。

さて、幸せ経済社会研究所のウェブサイトより、「注目の取り組み事例」のひとつをご紹介します。

~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~

全米の大学から食品ロスをなくせ! ~それは大学生の気づきから始まった~

米国で、大学から食品ロス(まだ食べられるのに捨てられてしまっている食品)をなくそうと動き始めた3人のメリーランド大学の学生たちの活動が、全米の大学に広がる運動へ発展しているとして注目を集めています。

大学の食堂やスポーツイベントで出る食べ物の余りが大量に捨てられている──この全米の大学に共通する問題に気づいたのは、ベン・サイモンらメリーランド大学カレッジパーク校に通う3人の学生でした。この気づきから始まり、彼らは、ワシントンDCの8人に1人が飢餓で苦しんでいること、大学の食堂等から出た食品の余りは埋め立てられ、それが地球温暖化の一因になっていることにも気づいたのでした。

そこで彼らは2011年に「メリーランドのフード・リカバリー・ネットワーク(Food Recovery Network (FRN) at Maryland)」という学生団体を立ち上げ、ボランティアの学生が毎日交替で、大学内で余った食品を回収し、その日のうちにワシントンDC地区のシェルターに寄付する活動を始めました。開始当初から回収量は1日150~200ポンド(約68~約91キログラム)に上り、1年も経たないうちに寄付した量は3万食分になりました。

このような食品ロスの回収・寄付活動しながら、ベンたちはさらに、「他の大学で余った食品は回収されているのだろうか」という疑問を持ち始めました。調べてみると、同様の活動は全米の大学であまり行われていないこと、余った食品を回収できること自体を知らない人が無数にいることがわかったのでした。

そこで彼らは、自分たちがしている活動を全米規模に拡大することを決意します。2012年1月、ベンたちのメリーランド大学カレッジパーク校、FRN第2支部を立ち上げたブラウン大学(ロードアイランド州)、すでに同様の活動をしていたカリフォルニア大学バークレー校とポモナ大学(カリフォルニア州)の4つの大学キャンパスから7人の学生が集まり、全米組織としてのFRNを結成し、いかに全国の大学に食品ロス回収活動を拡大していくかを話し合い始めました。彼らが中心となり、他州・他校の関心を持つ学生たちに参加を呼びかける運動をスタートさせ、参加する学生ボランティアのための活動手引きも作成しました。

FRNは順調に支部を増やしながら、活動資金を確保しようと、社会貢献活動団体を対象とした賞金コンテストに応募します。その一つが、学生の慈善活動を応援するために学生たちが主催する「Do Good Challenge(慈善活動に挑戦)」というメリーランド大学のコンテストです。これは、8週間のコンテスト期間に社会に良い影響を与える活動をした学生団体として選ばれると賞金がもらえるというもので、FRNは2012年の第1回コンテストに応募し、同年4月に最優秀賞の賞金5,000ドルを見事獲得します。同年7月にはアショカ銀行主催の青少年コンテストでも全国優勝し、賞金1万5,000ドルを手に入れます。このように活動資金を得たFRNは同年秋、正式に非営利団体となりました。

ボランティアの非営利団体だったFRNは2013年、大きな転機を迎えます。フードサービス業界大手のソデクソ社が持つ財団から多額の助成金を獲得し、それを元手に有償の専任スタッフを正規雇用したことで、食品ロス回収活動の「ボランティア団体」から「プロ団体」となったのです。この頃には、東はマサチューセッツ州から西はカリフォルニア州まで、全米25の大学キャンパスに支部を持っていました。専任スタッフは、全米各地の大学での支部立ち上げ支援やパートナーの確保・拡充、地域イベントや全米大会等の開催等を担っています。

FRNの活動はボランティア団体の頃からメディアに注目され、ワシントンポスト紙等マスコミに多く取り上げられています。FRNの活動に触発されて動き始めた行政や企業も出てきました。メリーランド州モンゴメリー郡では、郡内で発生する余剰食品の全量回収を目標に掲げたワークグループが立ち上げられ、フードサービス業界では、ソデクソ社やボナペティ社等の大手だけでなく、独立系企業もFRNと提携・支援関係を結ぶようになりました。

2014年3月現在、FRNの食品ロス回収プログラムは全米23州とワシントンDCの59の大学で展開されており、回収した量は累計で27万5,000ポンド(約125トン)を超えました。FRNの支部数は、2013-2014学年度が終わるまでには少なくとも80校となり、今後も増えていくことが期待されています。

日)http://ishes.org/cases/2014/cas_id001230.html
英)http://ishes.org/en/cases/2014/cas_id001233.html

 

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