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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2013年10月11日

サティシュ・クマール氏「GMか、それともGMのない世界か?遺伝子組み換えは反進化である」 (2013.10.11)

食と生活
 

数年前、『つながりを取りもどす時代へ』という翻訳書を出しました。

> 40年以上にわたり世界中で読まれてきたイギリスの雑誌『リサージェンス』の選
> 集――サティシュ・クマール、アル・ゴア、ワンガリ・マータイ、スティング、
> ハーマン・デイリー、ヴァンダナ・シヴァ、ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ、トマ
> ス・ムーアなど、世界をリードする人物たちが、20の視点を投げかけます。現在
> のさまざまな問題の構造に、自分がどう関わっているのか、そしてその構造を変
> えていくために自分には何ができるのかを考えていくうえで、本書は最高のガイ
> ド役となってくれるでしょう。
> http://www.es-inc.jp/books/2009/bks_id002861.html

3.11を経て、この本が伝えるメッセージはますます大事になってきているなあと思います。刊行時に買って下さった方、ぜひ読み返してみて下さいな。まだお読みになっていない方、ぜひ読んでみていただけたらと思います。
https://www.amazon.co.jp/dp/4272330624?tag=junkoedahiro-22

このイギリスの雑誌『リサージェンス』をいつか日本でも出したいね、とナマケモノ倶楽部の辻信一さんとお話ししたことがありますが、英語でもぜひ読んでほしい、とナマケモノ倶楽部で年間購読の申し込みができるようになっています。
http://www.slowmovement.jp/satish/resurgence.htm


そして、辻さんが、「世界最高(とぼくが信じている)エコロジー誌『リサージェ
ンス』の最新刊の冒頭、おなじみの編集主幹サティシュ・クマールによる序言
「welcome」を訳してみました」と送って下さったメッセージ、ぜひ多くの方に
読んでもらいたいと転載をお願いしたところ、快諾をいただきましたので、お届けします。


~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~


GMか、それともGMのない世界か?遺伝子組み換えは反進化である

サティシュ・クマール

最近のスピーチでイギリスの環境大臣オーウェン・パターソン氏は、農民たちに遺伝子組み換え(GM)種子を使った農業を推奨しました。我らが環境大臣は、モンサント社とともに、世界中が遺伝子組み換え食品を育てることこそが現代的であり、進歩や科学の名に値するというのです。

彼らの立場を支えてきたのは、GM作物を育てることでしか激増する人口を養うことはできないという議論です。しかしこれは、本当のことではありません。実際には、世界に食料の不足などありはしないのです。

政府による統計を見ただけでも、それがわかります。世界の食料の約40%は、人の口に入ることなく、無駄に捨てられているのです。しかも残りの60%がすべて人の口に入っているわけでもありません。バイオ燃料となって、車やトラックやトラクターを走らせる穀物の割合が増え続けています。同様に、膨大な量の穀物が家畜の飼料として使われています。

ですから、遺伝子組み換えを推進する側の議論を受け入れる前に、私たちは無駄に捨てられている4割の食料について、どうするつもりかと政府に問いただすべきなのです。そして、貴重な穀物を車や動物たちの口に入れる前に、人々の口に入れることをまず心に決めるべきではないでしょうか。

また私は、GM作物に依存することによって引き起こされる生物多様性の減少についても憂慮しています。すでに生態系はハイブリッド(F1)種子の影響によって、深刻な打撃を受けています。例えば、かつては何百何千という品種があったリンゴが、ゴールデンデリシャスといった少数の品種の単一栽培による大量生産の大流行の影で消えていきました。"ゴールデンデリシャス"、つまり"金色で美味な"といった形容詞にふさわしい数々の地リンゴたちが、です。同じことが他の果物、野菜、花、ハーブ、穀物、豆類にも起こりました。

ハイブリッド種子ですでにこうなのですから、もし我々がGM種子を受け入れてしまったらどうなるでしょう? 私は、このことに深い恐れを覚えます。それは、今よりはるかに数少ない不健康な作物が、機械やロボットなどによって単一栽培され、大量生産される未来です。現に、こうした農業の姿が科学的農業の名のもとにまかり通っているのです。

こうした"洗練"され、機械化された食料生産によって、すでに私たちは多くの知識と野生の味わいというものを失ってきたのです。最近のニューヨーク・タイムズ紙によれば、タンポポはF1のホウレンソウの7倍もの栄養価があるということです。しかし、どれだけの人がまだ、こうした野生の食べ物を楽しむ術を知っているでしょうか。

売られている果物や野菜のほとんどは、ビニールハウスの中で化学肥料によって育てられ、プラスチックで包装されています。GM作物へと進む人類の選択が、この状況をさらに悪化させると私は心配しているのです。

今でも、世界中の何百万という農民や園芸家たちが、自給的な暮らしを楽しんでいます。それは、彼らが毎年種を自家採種することによって可能になっているのです。こうした自立的な食料生産者たちが、モンサントをはじめとしたたった4つか5つかの多国籍企業が販売する種に頼らなければならなくなり、自分の暮らしを大会社に左右されることになればどうでしょう。それは農民たちの自由と自立の終焉を意味するでしょう。それは単に農民の問題ではありません。農民の自立を犠牲として、未来を都会の立派な研究室に座って、株主たちの巨大な儲けのために働いている技術エリートたちの手に委ねることは、世界を不幸に陥れる道なのです。

多様性と分散こそが、進化の重要な要素です。GM食品は逆に、均一性と独占・集中への道です。ですから私にとって、いわゆる科学的食品革命とは、進化ではなく、むしろ反進化なのです。

私たちは農民に対して、神聖な仕事に携わるものとしての敬意を払うべきです。DIRT(土)はDIRTY(不潔)なものではありません。土とともに働くこと自体が尊敬に値するのです。その農民たちに、銀行家たちが稼いでいるお金の百分の一しか支払われていないでいいわけがありません。むしろ逆であるべきです。

農とは、それがなければ人間が生きていけない食べものをつくる仕事です。それが、一体何でそんなに低く評価され、一方、コンピューター画面で数字をいじくりまわすことが、なんでそんなに高く評価されるのでしょう。

農民たちは何千年という経験に基づいて、多くの知恵を蓄えてきました。彼らは大自然とともに働き、そこから多くを学んできたのです。

というわけで、パターソンさん、どうか農民たちを放っておいてあげてください。世界中に食料を供給するのは偉大なる自然であり、土であり、農民たちです。モンサントでも、遺伝子組み換え技術でも、技術エリートたちでもありません。

~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~

ナマケモノ倶楽部と辻さんは、海外の環境思想家との強いつながりをもっていらして、サティシュさんだけではなく、いろいろな方のメッセージを日本に届ける活動もやっていらっしゃいます。

以前、そのつながりのおかげで、タイのエコロジー思想家、スラック・シワラックさんにインタビューをさせていただくことができました。
http://ishes.org/interview/itv03_01.html

10月22日に、スラックさんを迎えて、「スラックさんに聞く、しあわせの開発学~今こそ、マインドフルな生き方を」が開催されます。
http://www.sloth.gr.jp/events/sulak2013/

今回は東京のみのトークですが、ぜひ、ビジネスマンの方々にも、これからのビッグピクチャーを見据えたい方にもお越しいただければと思います、とのことです。ご関心のある方、ぜひどうぞ~!

 

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