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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2013年07月21日

アースポリシー研究所「広まる自転車シェアリング・プログラム、500を超える世界の都市で自転車が快走」

世界のわくわくNews
 

今日の首都圏は涼しくて気持ちのよいお天気です。こういう日には走りに行きたくなります(^^; 自転車も気持ちよさそうですね!

アースポリシー研究所から届いた、世界の自転車をめぐるわくわくする状況についてのプレスリリースを実践和訳チームのメンバーが訳してくれましたのでお届けします。世界で自転車シェアリングに使われている自転車は50万台ですって!

グラフなどはこちらからご覧下さい。
http://www.earth-policy.org/plan_b_updates/2013/update112

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~

広まる自転車シェアリング・プログラム、500を超える世界の都市で自転車が快走

ジャネット・ラーセン
http://www.earth-policy.org/plan_b_updates/2013/update112

ワシントンDCでは、政治家も、ロビイストも、旅行者も、誰もがホワイトハウスと国会議事堂を結ぶ専用の印がついたレーンを自転車で走行できる。これは、今や街を縦横無尽に走る全長約190キロメートルの自転車レーンの一部だ。

コペンハーゲンでは、自転車の走行スピードに合わせて色が青に変わる信号「green wave(緑の波)」に従って自転車で職場にたどり着ける。中国で「最も幸せな都市」杭州では、大部分の一般道路に物理的に区分けされた自転車専用道路があり、住民は公共交通機関から自転車道へ簡単に乗り入れることができる。

さらに、メキシコシティーでは毎週日曜日になると、約1万5,000人のサイクリストが、車が通行止めになった目抜き通りに集結する。何よりもすごいのは、こうした場所では自転車を持っていない人でさえ誰でもすぐ自転車に乗り換えられることだ。自転車シェアリングの時代にようこそ。

サイクリストは長い間、自動車のドライバーに「道路の共有」を懇願してきた。現在共有されているのは道路だけではない、自転車そのものも含まれる。先見の明のある都市は、移動のしやすさの向上、交通渋滞の緩和、大気汚染の減少、健康増進、地元企業の支援、若者の誘致を担う一手段として、地味な自転車に再び注目している。

都市化が進む世界では、強固な輸送ネットワークに組み込まれた自転車シェアリング・システム――短い距離の移動に公共の自転車を使う分散型ネットワーク――を歓迎する人がますます増えている。人々は自家用車を持つことを通過儀礼と捉えるより、むしろ煩わしいと考え始めているのだ。

今日では、49カ国で500を超える都市が、高度な自転車シェアリング・プログラムを実施しており、その台数は合わせて 50万台を超える。都市交通のアドバイザー、ピーター・ミジリーによると、「自転車の共有は、地球の歴史のなかで、どの交通機関よりも速いスピードで成長している」。

確かに1965年からというもの、状況は大きな進歩を遂げた。当時、アムステルダムでは、誰でも無料で使えるように、白く塗られた50台の自転車が街のあちらこちらに置かれていた。残念ながら、自転車の多くはすぐになくなったり、壊されたりした。

1990年代になると、デンマークの数都市では、専用の自転車ラックや返却時にお金が返ってくるデポジット制度を利用した、よりルールの厳しいシステムが導入され始めた。コペンハーゲンの有名な「Bycyklen(シティ・バイク)」プログラムは数多くの都市のモデルとなり、2012年末に終了するまでの17年間で1,000台以上の自転車が導入されている。2013年には時代に合ったシステムに移行される予定で、そうなれば36%とすでに高い自転車通勤の割合を50%まで増加させるというコペンハーゲンの目標達成に役立つだろう。

(グラフ)自転車シェアリング・プログラム導入国数 2000年1月~2013年4月

現在の自転車共有システムでは、初期のプログラムがうまくいかない原因となった盗難や破壊が大幅に減っている。これは、盗んでもほとんど価値のない特殊な部品を使った、特定が簡単な特製自転車の導入や、無線やGPSを利用した自転車の所在地の監視、自転車の貸し出しにおけるクレジットカードでの支払いやスマートカードの会員登録の義務付けといった方法で実現した。

ほとんどのシステムでは、日・週・月・年ごとの会費を払うと、目立つ自転車ラックや電子管理されたドッキングステーションに施錠された自転車に乗ることができる。短い時間(通常1時間を超えることはない)なら追加料金がかからず、返却はシステム内のどのステーションでもかまわない。プログラムで決められた時間よりも長く乗る場合は、利用できる自転車の台数をフル活用するために、一般的に追加料金が発生する。

オランダとデンマークでは自転車文化がかなり普及していたが、1998年に世界を第3世代の自転車シェアリングへと導いたのはフランスだった。広告代理店クリア・チャネル社がレンヌ市の自転車200台を使い、世界初のコンピューターを利用した公共のプログラムを始めたのだ。

2005年には3番目の大都市リヨンで、自転車1,500台とセルフサービスタイプの自動ドッキングステーション約100カ所を使ったプログラムVelo'V (ヴェロヴ)が始まり、フランスは自転車大国の仲間入りを果たしている。初年度で自転車利用者数が44%と明らかに増加したヴェロヴの成功は、大規模な自転車シェアリング黎明期のきら星、パリのVelib'(ヴェリブ)への道を開いた。

ヴェリブは2007年に自転車1万台、ステーション750カ所で始まり、その数はすぐに倍増した。2012年末には、年契約の会員数が22万4,000人以上とも言われ、利用回数も1億3,000万回を超えた。このプログラムは、広告代理店JCドコー社が街頭広告で10年契約を結び、資金提供している。

プログラム開始以来、通りを走るサイクリストの数は41%増加し、パリの街を走る自転車は3台に1台以上が共有自転車になった。ただし、交通に占める自転車の割合はわずか3%にすぎないため、成長の余地はまだ十分にあり、そこが狙い目だ。

自転車シェアリングは、パリの自動車の交通量と公害を減らす大規模な計画の一部である。例えば、週末にはめぼしい大通りから自動車を占め出す、制限速度を下げる、大量輸送の効率を上げるために道路の一部をバスの専用レーンに指定する、2014年までに自転車レーンを700キロまで伸ばす、といった対策はすべてパリのベルトラン・ドラノエ市長が支持したもので、市長は「この時代、もはや大都市に自動車の居場所はない」と話している。

一方、イタリアとスペインでは、雨後のたけのこのようにさまざまなプログラムが登場していた。ピーター・ミジリーのデータによると、2007年にイタリアには47件の自転車シェアリング・プログラムがあり、スペインは36件、フランスは18件だった。その多くは規模が小さく、自転車の台数も数千単位ではなく数十単位である。

しかし、際立つものもあった。スペインを代表するバルセロナのプログラムは2007年にサービスを開始した途端、大いに人気を博した。それまで自転車通勤の経験がなかった多くの人たちが自転車に乗ろうとしたのだ。その結果、2008年には、自転車台数が4倍の6,000台まで伸び、プログラムを周辺自治体まで拡大する計画を立てた。

セビリアでも、この大都市を車だけでなく人にも優しい場所にすばやく変える改革の一環として、2007年に自転車シェアリングが始まった。5年も経たないうちに、ほぼゼロだった自転車の利用が全移動手段の6%を占めるまでに躍進した。

2012年後半には、スペインは個別の自転車シェアリング・プログラム件数が132件と世界のトップを走る。イタリアは104件、フランスは37件である。2009年から2010年にかけては新たな好機の波が押し寄せ、ドイツが自転車先進国の仲間入りをしている。現在のプログラム数は43件で、この中には専用ステーションを必要とせず、携帯電話から自転車の位置の把握とアクセスが可能なプログラムもいくつかある(データ参照)。

その他の欧州各国ではプログラムの数こそ少ないものの、積極的に活動を展開しているプログラムもある。自転車550台を導入したダブリンのシステムは会員数が多いだけでなく、1台あたりの利用回数も非常に多い。

ロンドンでは、Barclays Cycle Hire(バークレイズ・サイクル・ハイヤー)のシステムが6,000台の自転車で2010年に始まり、現在では自転車台数が8,000台以上に増えている。ロンドンでは市長ボリス・ジョンソンが推進する「自転車革命」の一環として、新たに自転車専用道路と「スーパーハイウェイ」を導入中で、この10年で自転車での移動を倍増させようとしている。

オランダでは、別のタイプの自転車シェアリング・プログラムを国営鉄道会社が実施、約5,000台の自転車が駅や通勤に便利な場所で利用できるようになっており、その数は240カ所を超える。今まさに自転車シェアリング時代の到来を迎えようとしている東欧では、ワルシャワが2012年8月に1,000台の自転車でプログラムを開始し、最初の1カ月で利用回数が13万回にのぼった。現在では約2,500台の自転車が共用されている。

自転車シェアリングの熱は、東アジア、オーストラリア、南北アメリカにも伝播している。自転車シェアリングに詳しいラッセル・メディンは、ドバイでも2013年2月にプログラムが1つ始まったと伝えている(メディンは、ポール・デマイオと共に、世界の自転車シェアリング・プログラムの状況を地図化し、記録している)。

(グラフ)地域別にみた自転車シェアリング・プログラム数 2000年~2012年

長らく自動車王国だった南北アメリカでは、最初の大規模な第3世代の自転車シェアリング・プログラムは2009年にモントリオールで始まった。現在同市は5,120台の自転車と400カ所を超えるステーションを備え、自転車レーンや専用道路の強靱なネットワークの活用を進めている。

トロントでは1,000台で行っている自転車シェアリングのしくみを拡大する計画で、バンクーバーとカルガリーでも、カナダのほかの都市と同じように、数年のうちにプログラムが始まる予定である。

メキシコシティーが2010年に約1,000台の自転車で「Ecobici(エコ自転車)」プログラムを開始した際、会員数は瞬く間に年間3万人という定員に達し、熱心な希望者には空きが出るのを待ってもらうことになった。その後同プログラムは4倍の規模になり、中南米の十数カ所で行われている中で今も最大である。

中南米のプログラムのほとんどはブラジルで行われており、実際サンパウロでは、自転車シェアリングのベンチャービジネスも複数生まれている。アルゼンチンのブエノスアイレスでは、2010年に試験的なプログラムが始まり、現在では1,200台の共有自転車があるおかげで、より多くの自転車がクルマの往来に立ち向かい、世界一幅広い道路として知られる通りを横切ることさえできる。

チリのサンチアゴでは、ある地区で行われている180台の自転車と18カ所の有人ステーションのプログラムを、4年以内に自転車3,000台とステーション300カ所に拡大できるような、大規模な自動システムを今年中に展開し始める計画である。

米国各地で自転車シェアリング・プログラムが次々と生まれている。実際、大規模な都市で、自転車シェアリングを選択肢として検討さえしていないところを探すのは難しい。2013年4月現在、米国では現代的な公共プログラムが26カ所で実際に動いており、その数は向こう1~2年のうちに倍増しそうである。

2013年初頭における米国最大のプログラムはキャピタル・バイクシェアで、ワシントンDCおよび近郊の200カ所のステーションに1,800台以上の自転車を備えている。2番目は、ツインシティーズ(ミネアポリスおよびセントポール)にまたがる170カ所のステーションに1,550台を擁するナイス・ライド・ミネソタ。

ボストンを中心とする都市圏には1,100台の共有自転車がある。マイアミビーチでは、すでに使われている1,000台に加え、今年隣市のマイアミに拡大する際に500台を投入する予定である。

さらにデンバーでは、500台弱の自転車を2013年には700台に増やすことを目指している。デンバーは15を超える都市の公共プログラムで構成されるBサイクルグループに加盟しており、その会員になると、マディソン、フォートワース、フォートローダーデール、サンアントニオ、シャーロット、カンザスシティーなど、ほかの都市に旅行に出かけても自転車を利用できる。

2013年、これから新規参入する事業者のおかげで、米国における既存の自転車台数はわずかなものに見えるだろう。大いに期待されているニューヨークのシティバイクプログラムは、マンハッタンとブルックリンに自転車5,500台と293カ所のステーションを5月に展開し始める予定で、最終的な目標台数は1万台としている。

シカゴでは6月に開始して、2014年には自転車を4,000台、ステーションを400カ所に増やそうと計画している。南カリフォルニアは、ロサンゼルス(4,000台)、ロングビーチ(2,500台)、サンディエゴ(1,800台)で始まるプログラムで、大々的に自転車シェアリングに参入するだろう。

北カリフォルニアでは、サンフランシスコとベイエリアの鉄道路線南側の街における最大1,000台の試験的なプロジェクトが、最終的には1万台を見込んだプログラムの幕開けになると期待されている。

このような増え方も印象的だが、アジアでは、それとは比べものにならないようなめざましい進歩が見られる。カリフォルニア大学バークレー校のスーザン・シャヒーンと同僚によれば、アジアの自転車シェアリングは1999年にシンガポールで始まった。このプログラムは2007年まで続いたのだが、現在のシンガポールには、2つの自転車シェアリングがある。1つは従来型で、もう一方はカーシェアリングの会社が運営し、電動自転車を提供している。

韓国では2008年から2010年の間に6つのプログラムが始まり、そのうちの1つは現在4,600台を保有する昌原(チャンウォン)と3,000台の高陽(コヤン)である。

日本では以前から通勤時に駅まで自転車を使う習慣があり(その証拠に、首都圏には210万台の駐輪スペースがある)、2009年から2012年の間に9つの自転車シェアリングが始まった。

自転車の輸出で大きな収益を上げている台湾にも、自転車シェアリング・プログラムが2つある。しかし、自転車シェアリングの威力を世界に見せつけているのは「自転車大国」の中国である。

(グラフ)自転車シェアリング・プログラムにおける地域別自転車台数(2000~2012年)

2013年の始め、中国には79の自転車シェアリング・プログラムがあり、合計すると実に約35万8,000台もの自転車を有している。輸送調査委員会の第92回年次会合に向け、2012年の終わりに用意された同済大学のヤン・タン氏とその同僚の論文によると、事業拡大もしくは新規事業のおかげで、中国における共有自転車は、間もなく100万台近くにまで急増する可能性があるという。

世界一の自転車シェアリング・プログラムは、中国で6番目に大きな都市である武漢にあり、900万人の人口に対して9万台の共有自転車を擁している。武漢は最近、杭州から首位の座を奪った。

6万9,750台の自転車シェアリングのしくみを持つ杭州は、2008年に中国本土初のコンピューター化された自転車シェアリングを立ち上げ、自転車ステーションをバスや地下鉄のネットワークに統合した。その結果、1枚の乗車券ですべての交通手段が使えるようになり、バスに乗り換えたときに自転車の追加料金無料サービスを受けられるようになった。杭州のシステムは2020年までに17万5,000台規模にまで成長する可能性がある。

(グラフ)世界最大規模の自転車シェアリング・プログラム(2013年始め)
【横軸】自転車概数
【縦軸】
武漢
杭州
パリ
株洲
上海(閔行)
太原
青州
台州(椒江区)
ロンドン
仏山(禅城区)
除州
中山
バルセロナ
モントリオール
仏山(桂城)
広州
深セン市(塩田区)
珠海
崑山
リヨン
嘉興
張家港
常熟高陽
温嶺

自転車シェアリングを拡大し専用のインフラ整備を進めることで、中国に広まるクルマ社会に対抗できるかもしれない。急成長する都市では、ラッシュアワー時ともなると実質的に車道は駐車場になってしまう。

株洲では、2011年に2万台の自転車によるプログラムが始まると、(中国にしては少ない)わずか5%に下がっていた自転車による移動の割合が10%に跳ね上がったという。自転車による移動のうち、推定70%は共有自転車によるものだ。

杭州では、2000年に43%だった自転車の割合が2007年には34%に落ち込んでいたが、自転車シェアリングが導入された後、2009年には37%にまで回復している。

1980年代の北京では、全移動手段の半分以上が自転車によるものだったが、2007年までにこの割合は23%まで落ち込んだ。しかし、多くの自動車やトラックが北京の道路にあふれるようになると、自動車の平均速度は1994年の時速45キロメートルから2003年には13キロメートル以下に落ちた。北京市は、2012年に2,000台で自転車シェアリング・プログラムを始め、2015年までに自転車台数を5万台に一気に増やす計画だが、その効果を計るにはまだ早い。

自転車シェアリングを進める都市は、交通手段の選択肢として自転車を促進することで、誰もがいっそう移動しやすくなり、道路の安全にもつながることに気づいている。自転車シェアリングは、公共交通機関と自宅や職場を結ぶ手段を提供し、人々とバスや地下鉄網をつなぐのにピッタリだ。

自転車をいつでも使えるようにしておけば、試しに自転車に乗る人が増え、ひとたびその便利さ、スピード感、コストの安さに気づけば、人々は自転車レーンや専用道路、駐輪場など、自転車用のインフラをもっと改善するようにと主張し、さらにより多くの人が参加しやすくなるだろう。こうした「好循環」のおかげで、みなさんの街にも自転車シェアリングが登場する可能性がグンと高まるのだ。

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米国の自転車シェアリングに関するさらに詳しい調査は、引き続き次回のリリースをご覧いただきたい。

ジャネット・ラーセンは、アースポリシー研究所の研究担当部門長。データやそ
の他の情報についてはwww.earthpolicy.orgを参照のこと。

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メディア関連の問い合わせ:リア・ジャニス・カウフマン
(202) 496-9290 内線12
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アースポリシー研究所
1350 Connecticut Avenue, NW
Washington, DC 20036


(翻訳:保科京子、小島和子)

 

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