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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2012年11月30日

「これからの柏崎とエネルギーを考えるシンポジウム」開催報告記 (2012.11.30)

エネルギー危機
 

先日ある対談の冒頭、「エダヒロさんがいまいちばん大事だと思って力を入れているのは何ですか?」と聞かれました。

そのときはじょうずに答えられなかったのですが、そのあと少し考えて、今度はこう答えたいと思っています。

「つながりを見出し、個別テーマだけではなくできるだけ全体的に問題や状況を理解すること。

唯一絶対の解がない問題に対し、考え方や立場を超えたつながりを対話で創り出すこと。その時点での最善解を柔軟に共創的に創り出し、実行していくお手伝いをすること」

現在はすでに「問題」や「テーマ」は明らかになっています。温暖化をはじめとする環境問題や、原発、エネルギー、経済、雇用、地域の活力、貧困等の社会問題、本当の幸せなどなど。

問題は個別テーマだけで完結することはなく、環境もエネルギーも原発も経済も雇用も地域も社会問題も幸せもすべてつながっています。

それぞれの分野の専門家や専門組織は、自分たちの担当分野の問題解決に力を注ぎつつ、「個別最適化をはかっても、全体最適につながらないのでは」という限界も感じることも多くなってきたように思います。

私は特に何かの専門分野を持っているわけではなく、(だからこそ)さまざまな分野やセクターをつなぐお手伝いをすることが自分の役割かな?と思っています。

さまざまな問題や分野の「つながり」を見出し、伝え、考え方や立場を超えた「つながり」を創り出していくことで、問題解決に資することができたら、と。(だからこそ、「対話力」の連続勉強会や、来月から始まる「普及と行動変容につながるマーケティングの力をつける」勉強会などを開催しています。)

そんな私にとって、うれしいサイトがアップされました。柏崎市のウェブサイトです。この夏~秋にご一緒させていただいたとても大事な活動の報告です。

「これからの柏崎とエネルギーを考えるシンポジウム」を開催しました
http://www.city.kashiwazaki.niigata.jp/detail/155853111.html

> 原子力発電や再稼動の是非を問うのではなく、柏崎市民の皆さんが、立場や考え
> 方の違いを超えて、エネルギーや産業や雇用、暮らしなども含め、これからの柏
> 崎に向けてオープンに話し合い、協働していくためのキッカケづくりを目指し、
> 「これからの柏崎とエネルギーを考えるシンポジウム」を開催しました。

> 日 時:平成24年9月28日(金)、29日(土)

【セッション1】柏崎のこれまで、そしてこれから
【セッション2】柏崎の未来をみんなで語ろう、考えよう~柏崎井戸端会議

原発誘致の活動からずっと原発推進派の中心を担ってこられた方々や、地元で原発反対運動を数十年にわたって展開されてきた方々が、一堂に会して、同じテーブルについて議論をしたのは今回が初めてだそうです。

ちょうど昨日の日経新聞にこのシンポジウムが取り上げられていました。


~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~

東京電力柏崎刈羽原発のある新潟県柏崎市。9月に開いた市発案のシンポジウムは推進派、反対派、中間派から選ばれた8人の実行委員が3カ月の議論を経て実現にこぎ着けた。認める理由、反対する理由、安全神話、国のエネルギー政策を支えてきた自負。「専門家の話を聞くのではなく、本当に自分たちの利益になる議論をしよう」と時には酒を酌み交わしながら本音をぶつけ合った。

委員を務めた新野良子さん(61)は「感情的な対立に終わらせず、議論を重ね、成熟させることで互いが歩みよれる」と手応えを口にする。今回の試みが都市部と過疎地の溝を埋めるきっかけになり、「点から線、面へと議論の裾野が広がっていけば」と力を込める。

~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~


ここにある「推進派、反対派、中間派の8人の実行委員が3ヵ月の議論を経て実現にこぎ着けた」プロセスを、事務局・ファシリテータとしてお手伝いさせていただいたのでした。

実行委員会を含めて、柏崎に6回ほど足を運んで、いろいろな立場・お考えの方々のお話を聞き、実行委員会のサポートをさせていただいたのは、厳しい局面もありましたが、本当に学びの大きな、やりがいのある仕事でした。

このサイトには、シンポジウムのすべての資料や発言要旨、動画が載っているので、ご興味のある方、ぜひご覧ください。
http://www.city.kashiwazaki.niigata.jp/detail/155853111.html


1日目【セッション1 柏崎のこれまで、そしてこれから】では、「これまでの柏崎市」について、市と、原発推進・反対の立場の方にそれぞれ、これまでについてお話をいただきました。

その後、「これからの柏崎」について、企業経営者やUターン市民、大学生などがそれぞれの思いや考えを語り、会場からの質問にもお答えする時間も含め、全体でパネルディスカッションを行いました。

2日目【セッション2 柏崎の未来をみんなで語ろう、考えよう】では、まず前座として、私が「しなやかに強い、幸せなまちをつくるために」というお題でトークをさせていただき、そのあと、会場に集まった市民が小グループで「柏崎井戸端会議」を行い、全体共有をしました。

井戸端会議をどのようなお題で、どのように進めたかも上記サイトにありますので、もし参考になりそうな方がいらしたらご覧ください。

たくさんの方が参加して下さって、どのグループも和気あいあいと、自分の思いを伝え、他の人の考えに耳を傾ける時間を過ごされました。(終わってから「とても楽しかった!」と何人もが言って下さったのがうれしかったです)

また、あるグループで、たまたま同じテーブルになったふたりが笑顔で話し込んでいるのを見た市の方が「! 推進派と反対派の代表みたいな方々ですよ! これまで話もしたことがなかったあのふたりが......」とびっくりされていたのが印象的でした。

上記サイトには、当日の参加者アンケートの概要も載っています。改善点の指摘もたくさんいただきましたが、以下のような感想を持って下さった市民が多かったのはとてもうれしく、次につながっていけば、と願っています。

・原発賛成派/反対派/中立派が一緒に議論することは初めてだと思うので、たいへんよかったと思う。

・こんなにも静かに議論できる場があることに少し驚いている。

・問題・課題意識の共有、新たな意見を知る、有意義な取り組みでありました。今後も継続していくことが重要。<同コメント他 1><非常によい、有意義、貴重、必要、重要他 17><継続を望む、継続が大事他 20>

・異なる立場の方からの意見が聞けるのが、わかりやすくよかったと思います。<いろいろな意見が聞けてよい、いろいろな立場で議論するのはよい他 6>

・さまざまな考え方、思いがあることは当然であって、このことをまず認めることが不可欠。よく聞くことで同じ出発点に立てる。1 つの輪の上で話せることが必要と思う。

・ よい機会だと思う。しかも、実行委員会体制として事前議論が交わされていたので、表面的だけではない対話となってよかったと思う。

・原発が柏崎に大きな課題を与えてくれている。これはチャンスかもしれない。

> 「つながりを見出し、個別テーマだけではなくできるだけ全体的に問題や状況を
> 理解すること。
>
> 唯一絶対の解がない問題に対し、考え方や立場を超えたつながりを対話で創り出
> すこと。その時点での最善解を柔軟に共創的に創り出し、実行していくお手伝い
> をすること」

これからも進めていきたいと思っています。

 

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