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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2012年11月21日

アースポリシー研究所より「2011年の世界経済 予想を上回る成長減速」 (2012.11.21)

 

少し前のものになりますが、レスター・ブラウン氏のアースポリシー研究所からのプレスリリースを訳してもらいましたので、お届けします。グラフ等はアースポリシー研究所のウェブサイトからご覧ください。

「利子だけでなく、元本に手をつけながら暮らしているとどうなるか?」--最後のほうにありますが、エコロジカル・フットプリントの数字と共に、世界経済の成長が地球に対してどのような影響を与えるかを知っておきたいと思います。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

2011年の世界経済 予想を上回る成長減速
ブリジッド・フィッツジェラルド・レディング
http://www.earth-policy.org/indicators/C53/economy_2012

http://www.earth-policy.org/publications/C39

エコ・エコノミー指標とは、アースポリシー研究所(EPI)が持続可能な経済構築の進捗状況を測るために追跡している12のトレンド指標である。現在の世界でのビジネスの進め方を踏まえると、経済成長は増え続ける環境負荷を測るための尺度となる。

世界経済の成長率は2010年の5.2%から2011年には3.8%に低下した。経済学者は成長減速を予測していたが、日本の地震と津波、産油国での混乱、欧州の債務危機、そして米国の景気回復の低迷が影響したため、減速はそれをさらに上回った。

豊かな経済国が2008〜09年の金融危機から必死で立ち直ろうとする中、貧しい国は食料価格の高騰や若年者失業の増加に直面している。同時に、所得の不平等の拡大や環境破壊は、経済の健全性に関する従来の考え方に疑問を投げかけている。

2011年に全世界で生産された財とサービスの総額は77.2兆ドル(約6,253兆円)で、これは20年前の2倍に相当する。世界経済は2008年に減速し2009年に縮小したが、それまでの10年間は毎年平均4%成長していた。先進国の成長率は不況前の10年間は大体年約3%であったが、2011年はわずか1.6%にとどまった。一方、途上国は、不況前の10年間は年平均約6%であったのに対し、昨年は6.2%に上昇した。

【グラフ】世界総生産 1950年〜2011年

【グラフ縦軸】兆ドル(2010年 PPP)

【グラフ下】出典:TCB IMFを基にEPIが編集

2011年はアジアの途上国が世界の経済生産の25%を占めた。この年、世界第2位の中国経済は9.2%成長し11.1兆ドル(約899兆円)の財とサービスを生み出したが、景気後退前に当たる2007年の14%と比較するとかなりの減速であった。インドは、2011年に国内総生産(GDP)が7.4%伸び4.4兆ドル(約356兆円)となり、日本をしのぐ世界第3位の経済大国にのし上がった。(データ参照
http://www.earth-policy.org)

2011年、日本の震災によりアジア途上国経済の成長はいくぶんか弱められ、自動車やエレクトロニクスなどの産業部門における世界のサプライチェーンは混乱に陥った。日本経済も打撃を受け、この年のGDPは0.9%減少し4.3兆ドル(約348兆円)に落ち込んだ。

多くの先進国は今もなお大不況を脱すべく苦闘を続けている。そのうちの数か国、特に米国、英国、ロシアの2011年の経済生産は、金融危機が起こらなかった場合と比べ10%ほど低かったと国際通貨基金(IMF)は推定している。また同年、先進国の景気低迷により途上国への富の流入が減少した。

欧州連合(EU)加盟国間の複雑に入り組んだ借り入れは、債務危機の発端となり、2011年の世界の金融市場は一層不安定な状況となった。ギリシャをはじめとするいくつかの国では返済不可能な負債が蓄積した。債権国、特に2011年のGDPが3兆ドル(約243兆円)で世界第5位の経済大国であるドイツは、その救済に消極的な態度を取ってきた。欧州の経済的混乱は2012年に入っても続き、1月と2月、格付け機関はフランス、イタリア、スペインなど10カ国を格下げした。

2011年、GDPが14.8兆ドル(約1,199兆円)であった米国は世界一の経済大国の地位にとどまったが、景気刺激策のための政府支出が個人需要を十分に喚起できなかったため、景気は予想以上に低迷した。米国などいくつかの豊かな国では2011年の失業率が不況前よりも依然として高く、家計所得への期待が極めて薄かった。

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が8月に米国債の格付けを引き下げると、米国の財政状況に対する懸念が増大し、政策立案者がこうした問題にどう取り組んでいくかが不透明でもあったため、世界の金融市場は緊迫した。世界一の経済大国の成長低迷が世界経済全体の足を引っ張った。

一方、途上国は大不況の打撃をそれほど大きく受けなかったものの、2011年には近年世界的に増加する若年者の失業や食料価格の高騰から生じる問題に直面した。悪天候、低水準の穀物備蓄量、原油の高値が食費の高騰を助長し、特に所得の大半を食費に充てている貧困世帯の負担が増大した。http://www.earth-policy.org/indicators/C54/grain_2012 

食料価格の高騰は世界的な食料不足や貧困の原因になりうる。世界銀行は、2010年後半の食料価格の高騰によって新たに4,400万人が極度の貧困に陥ったと推定している。こうした要因が中東や北アフリカを舞台に吹き荒れた革命を引き起こした可能性がある。

この混乱が原油価格の高騰を招き、先進国経済の消費を停滞させた。4月に原油価格は1バレル120ドル(約9,720円)に跳ね上がったが、8月には100ドル(約8,100円)前後に下がった。

カタールでは原油と天然ガスが国家収入の半分以上を占め、一人当たりの平均所得は約10万3,000ドル(約834万3,000円)と世界最高である。米国と中国の一人当たりの平均所得(一人当たりGDPで計算)は、それぞれ4万8,000ドル(約388万8,000円)と8,000ドル(約64万8,000円)となっている。破たんしつつあるコンゴ民主共和国は、政府の不正や激しい内戦に苦しめられ、平均所得が一人当たり350ドル(約2万8,350円)以下と世界最低である。
http://www.earth-policy.org/book_bytes/2011/wotech7_ss1

このように今や国民平均所得が世界一の国と一番低い国とでは、ほぼ300倍の開きがあるということになる。

2011年12月、経済協力開発機構(OECD)はここ数十年の間に多くの先進国で貧富の格差が拡大したと報告した。例えば1984年から2008年の間(データが入手できる最新の年)、米国では最富裕層世帯10%の所得は、最貧困世帯10%のそれと比べほぼ4倍のペースで伸びた。中国でも急成長をよそに、近年さらに不平等が拡大している。注目すべきはブラジルで、過去10年間にわたり富裕層と貧困層両者の所得を引き上げながら、不平等と貧困を同時に緩和してきた。

所得分配の不平等が大きい場合、社会的流動性は制限され、経済成長が貧困軽減に貢献する度合は低くなる。また、所得の不平等が大きいと、政治的安定が脅かされ、経済全体が危険にさらされる。IMFの季刊誌“Finance & Development”に掲載された2011年の記事によると、経済成長を維持するためには、貿易の開放、民主的な国家統治、外国投資、競争力ある為替レート、対外債務は大切であるが、それ以上に重要なのが所得の平等化だという。
http://www.imf.org/external/pubs/ft/fandd/2011/09/berg.htm

私たちの今の経済システムには、政府や家庭を破綻させないための持続的な成長が必要なものの、その経済を支える自然のシステムは果てしない消費に耐えることができない。

GDPは経済の産出量を計算するが、環境の限界、持続可能な収穫高、今日の環境被害がいかに将来の繁栄を損なうかは反映していない。またGDPは、貧困を緩和して社会を強化するような経済成長と、環境を汚染したり、健康被害を引き起こしたり、大企業や富裕層の懐を過度に潤したりするような経済成長とを区別することもできない。

微妙な違いを盛り込んで幸福を測定する指標がいくつかある。例えば、2011年にノルウェーは、国連開発計画(UNDP)の人間開発指数――平均余命、就学年数、平均所得が組み込まれる――で首位を占めた。187カ国のうち、米国は4位、中国は101位であった。米国は環境への負の影響を差し引く指標では不利になる。

米国のNPOグローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)は、資源の消費量と地球の資源補充能力とを比較して、人間のエコロジカル・フットプリントを算出する。地球の自然のシステムが基金のようなものとすると、その年間再生能力は発生した利子に例えられる。つまり、それが元本を使い果たすことなく毎年使える量ということだ。

GFNによると、人間のエコロジカル・フットプリントは2007年には地球の年間の「利息」を50%上回った。米国と中国で自然が供給できる持続可能な資源のほぼ半分を消費しているのだ

成長を前提とした現在の経済システムでは、豊かさが向上したり人口が増加することは、消費が増え、環境が破壊され、廃棄物が発生することを意味する。このような西洋的発展モデルは破綻しつつある。
http://www.earth-policy.org/data_highlights/2011/highlights18 

つまり、もし地球上のすべての人が平均的なアメリカ人並みの暮らしをするようになれば、私たちを養うための地球が4.5個以上必要になるとGFNは指摘する。経済の健全性に関するより包括的なビジョンや、それを評価するためのより良い方法なくしては、私たちは経済的な衰退と崩壊への道を知らず知らずのうちに辿ることになってしまうのである。

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データおよびさらに詳しい情報は www.earth-policy.orgをご参照ください。

この情報はご自由に友人、家族、同僚の方々に転送してください!

メディア関連の問い合わせ:
リア・ジャニス・カウフマン
電話:(202) 496-9290 内線12
電子メール: rjk@earthpolicy.org

リサーチ関連の問い合わせ:
ブリジッド・フィッツジェラルド・レディング
電話:(202) 496-9290 内線16
電子メール: breading@earthpolicy.org

アースポリシー研究所
1350 Connecticut Avenue NW, Suite 403,
Washington, DC 20036


(翻訳:篠田あさき チェッカー:小林紀子)

 

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