ホーム > 環境メールニュース > アースポリシー研究所より「世界の人口」

エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2012年11月11日

アースポリシー研究所より「世界の人口」

 

少し前のものになりますが、レスター・ブラウン氏のアースポリシー研究所から、世界の人口動向についてリリースが出され、実践和訳チームが訳してくれましたので、お届けします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

世界の人口、70億人に到達ブリジッド・フィッツジェラルド・リーディング

www.earth-policy.org/indicators/C40/population_2011

世界の人口は2011年10月末に70億人に達すると見られている。増加ペースは1968年に2%以上という高い数字を出してからは鈍化傾向にある。それでもなお、今年の増加率は1.1%であり、2011年の1年間で7,800万人もの人が世界の人口に加わることになる。

世界の人口が10億人に達したのは19世紀初めのことで、20億人になるには100年以上かかっている。それ以降、10億人増加するのにかかる時間はさらに短くなった。33年で30億人になると、40億は14年、50億は13年、60億・70億人になるにはそれぞれ12年を費やしている。1940年以前生まれで、今も生きている人は、人口が3倍になるのを目の当たりにしてきたのだ。最もよく引用されている国連の予測によれば、世界の人口は2025年に80億人に達し、今世紀末までには100億人になるという。

【グラフ】世界人口(1950年〜2010年の動向および2100年までの予測)
【グラフ縦軸】単位:10億人
【グラフ下】出典:国連人口部

先進諸国の多くでは人口が安定している一方、近い将来、人口の増加が見込まれるのはほとんどが途上国だと見られている。2050年までに増加が見込まれる23億人のうち、10億人以上はサハラ以南に住む人だろう。インド亜大陸には約6億3,000万人が加わる見込みだ。

【表】世界人口の推移

    到達年      予測年
10億人 1804年
20億人 1927年
30億人 1960年   70億人 2011年
40億人 1974年  80億人 2025年
50億人 1987年   90億人 2043年
60億人 1999年  100億人 2083年
出典:国連人口部のデータよりアースポリシー研究所が作成


人口増加率の差は、主に出生率の違いによる。世界の出生率は、1950年代には女性一人当たりほぼ5人だったが、現在では2.5人まで下がっている。世界の人々の40%以上が、出生率が人口補充出生率以下の国で暮らしているのだ。しかしながら、出生率は国によって大きな開きがある。女性一人当たりの子どもの数がニジェールでは平均7人以上である一方、米国では平均ほぼ2人、日本では1.5人にも満たない。

急成長を続ける貧しい国の女性の多くは、出産の回数や時期を決めるために必要なものや自由があれば、子どもの数を減らしていたことを示唆する証拠もある。途上国の女性のうち推定2億1,500万人が家族計画に必要な資金を入手できない状態にある。世界全体でみると、妊娠の約40%が意図しない妊娠だ。

フューチャーズ・グループの調査および人口問題の専門家ロバート・エンゲルマンの計算によると、すべての女性が望んだときだけ妊娠できるようになれば、世界の出生率は人口補充出生率に近い数字、もしくはそれ以下になり、人口増加率は大幅に低下するという。

自主的な家族計画のプログラムは、出生率を下げるのに効果を発揮してきた。例えばメキシコでは、国家レベルの家族計画プログラムが米国の支援を受けて1970年代中ごろに始まり、国連の援助で避妊薬(具)の使用率が女性全体の1/4未満から2/3へと上昇した。出生率は女性一人当たり約7人から2.2人に減少している。

調査によると、どのような社会においても、教育の高い女性ほど子どもの数が少なく、健康な子どもを授かる傾向がある。例えばマリでは、学校教育を受けていない女性には平均7人の子どもがいるが、少なくとも中等教育まで受けている女性の場合は子どもの数が4人以下である。とはいえ、世界には教育を受けられない女性たちが未だに大勢いる。

1994年、エジプトのカイロで開催された国際人口開発会議に179カ国が出席し、各国代表はリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)および家族計画を基本的人権として認めた。参加国は2015年までにリプロダクティブ・ヘルスおよび家族計画のサービスを誰でも自発的に活用できるという目標に賛同し、2000年まで年間170億ドル(約1兆3,300億円)、2015年までは年間220億ドル(約1兆7,200億円)の拠出を約束した。

しかしながら、これまでに集った金額は目標額にはほど遠く、現在の年間支出額よりもさらに年間200億ドル(約1兆5,600億円)近くが、いまだに不足している。これだけの資金が集まれば、年間5,300万件の望まれない妊娠が避けられるだろう。乳幼児や妊娠中の女性の健康状態が改善し、関連する医療コストも減少するだろう。

リプロダクティブ・ヘルスケアが利用できるようになると、個人や家族、社会全体に幅広く利益がもたらされる。女性が妊娠の時期を選べるなら、若い頃に子育てで教育が中断される可能性が少なくなるだろう。女性の教育と家族計画は、子どもや妊娠中の女性の健康に対するリスクを軽減し、女性が経済力を得るチャンスを高める。家族の人数が少なければ、各家族が貧困から抜け出しやすくなる可能性もある。

出生率が急速に低下し、労働年齢の成人に対して扶養される若者の数が減ると、国家はいわゆる「人口学的ボーナス」をもらえる。つまり、政府は一人あたりの公共サービス支出額を増やし、家庭が子ども一人により多くのお金をかけることも可能になり、経済発展のために投資できる資金も増える。この「ボーナス」があれば、国の経済に弾みをつけられる――例えば、韓国や台湾などアジアの数カ国が1970年代・1980年代に急激な経済成長を遂げたのも、このおかげだ。

一方、先進国には高齢化を危惧しはじめた国もある。例えば、日本は65歳以上の人口の割合がこの20年間で2倍近くも増加している。先進国全体でみると、65歳以上の人口が占める割合は現在から2050年までに16%から26%に増加すると予測される。それとは対照的に、多くの途上国では、若年層の人口が引き続き問題となっている。途上国全体では、20歳未満が人口のほぼ40%を占める。若者の人口が多く、雇用が十分に見込まれない国は暴力が横行する傾向が強い。

世界の人口が増えると、一人ひとりが手に入れられる土地と水が減る。貧しい人たちは、天然資源に直接依存している度合いが高く、供給が減少すると資源の争奪戦に加わりにくくなる。最も大きな負担が強いられるのはそうした人たちなのだ。一方、人口が急激に増加すれば、貧しい人々が住む地域の環境に負荷が加わる。

人口の成長が著しいイエメンでは、人口が過去40年間で4倍に増加した一方で、帯水層から水を過剰に汲み上げたため、国内の穀物収穫量が1/3減少するという事態を招いた。パキスタンでは、大幅かつ急激に増加する人口に対応するため、広い範囲にわたり森林の伐採や土壌の浸食が見られるようになった。この2年で歴史的な洪水が複数発生しているが、その破壊力が増大したのも原因は同じだ。パキスタンでは、大規模かつ急激な人口増加によって、広範囲にわたる森林伐採や土壌浸食が起き、その結果、過去2年間に発生した歴史的な洪水は一層破壊的なものとなった。

国連の人口予想は、水不足や気候変動など、私たちが作りだした環境問題が人類の成長能力を制限する可能性を考慮していない。文明を維持できるかどうかは、人口の数だけではなく、人類が地上の資源を消費し、廃棄物を生み出すスピードにもよる。地球全体でみると、14億人もの人が極貧生活を送っているにもかかわらず、我々は地球が人類を支えられる能力の限界をすでに著しく超えている。

世界の人口は、21世紀半ばまでにさらに20億人増加する可能性がある。その多くは、飢餓や貧困、環境の悪化ですでに大きな打撃を受けている地域で生活するだろう。「世界の人口を支える」とは、貧困の撲滅、地球と調和した経済への移行、そして、一人ひとりに対する健康・教育・出産の自由を保障することである。人類が自ら人口を安定させなければ、現在進みつつある地球の自然破壊が私たち人間を追い込み、私たちは人間らしからぬ成長の終焉を覚悟せざるを得なくなるだろう。

# # #

データやその他の情報についてはwww.earthpolicy.orgを参照のこと。
情報の友人、家族、同僚への転送を歓迎します!

メディア関連の問い合わせ:
リア・ジャニス・カウフマン
電話:(202) 496-9290 内線 12
電子メール:rjk [at]earthpolicy.org

研究関連の問い合わせ:
ブリジッド・リーディング
電話:(202) 496-9290 内線 16
電子メール:jmroney[at]earthpolicy.org

アースポリシー研究所
1350 Connecticut Avenue NW, Suite 403
Washington, DC 20036

(翻訳:保科京子/チェッカー:小林紀子)

 

このページの先頭へ

このページの先頭へ