ホーム > 環境メールニュース > 8月22日人間は地球の自然予算を使い果たし、借金生活へ (2012.08.26)

エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2012年08月26日

8月22日人間は地球の自然予算を使い果たし、借金生活へ (2012.08.26)

水・資源のこと
 

今年の旭硝子財団のブループラネット賞の受賞者のひとり、マティス・ワケナゲル博士が代表を務めるグローバル・フットプリント・ネットワークから、数日前に入ったニュースです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

今年は8月22日が「地球の自然予算を使い果たした日」:8ヶ月で今年の予算は底をつく

米国のグローバル・フットプリント・ネットワーク(Global Footprint Network:GFN)は8月22日、この日が今年の「地球の自然予算を使い果たした日(Earth Overshoot Day)」であると発表しました。

これは、人類がその年の「自然予算」を使い果たし、残高がマイナスに転じる日を示すものです。計算によると、私たちはわずか8ヶ月で、その年に地球が持続的に供給できる、再生可能な自然資源と二酸化炭素吸収量を使い果たし、借金生活に入ったことになります。

「地球の自然予算を使い果たした日」というコンセプトは、「自然が再生できる量」と「人間の活動を支えるために必要な量」との格差についての理解を助けるものです。銀行取引の明細が出費と収入を記録するのと同様のやり方で、グローバル・フットプリント・ネットワークは自然資源と生態系サービス(生態系の公益的機能)に対する私たちの需要と、自然からの供給を追跡しているとのことです。

人類の歴史のほとんどの期間、私たちは地球の予算に十分に収まるペースで、都市の建設や、食料の供給、モノの製造のために、そして人間の活動により排出された二酸化炭素を吸収するために、自然の恩恵を利用してきました。

しかし1970年代のある時点で、私たちはある重要な境界を超えたといいます。人間が求める需要は、地球が再生可能な生産量を上回りはじめ、私たちは生態学的に行き過ぎの状態に入ったのです。

今日では人類が使用している生態学的資源や公益的機能は、地球1.5個分を少し上回るくらいの価値に相当するそうです。もし現在の傾向がそのまま続いた場合は、2050年よりもかなり前に、地球2個分の資源が必要になるとのことです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

地球の大きさは決まっていますから、1年間にある量の森林資源や海洋資源、吸収できる二酸化炭素量などを提供してくれる、と考えられます。

毎年地球が生み出してくれる供給・吸収量の範囲内で、地球上の生物(人間を含む)が暮らしていれば問題はありません。いってみれば、元本に手をつけずに、毎年そこから生み出される利子だけで暮らしているようなものだからです。これならずっと続けることができます。これを「持続可能」と呼びます。

ところが拡大を続けてきた人間活動は、利子だけでは足りなくなり、毎年利子を使い果たしたあとは元本に手をつける(過去の遺産を食いつぶす、未来から前借りをする)ようになりました。毎年「今年の分はこれだけですよ」と地球が差し出してくれるものを使い果たしてしまい、赤字転落するタイミングが速まっています。

今年はその「赤字転落日」が8月22日だったとのこと。今日の世界はすでに赤字暮らし、未来世代から奪いつつ暮らしているのです。

マティスたちがこういったニュースを送り始めてくれた数年前には、たしか10月ごろに「赤字転落!」と言っていました。去年はたしか9月でした。今年は8月にしてすでに、、、です。

元本に手をつけ、未来から前借りをして暮らす期間が長くなってきているのです。これは到底持続可能ではありません。

「持続可能とはどういうことです?」と聞かれることがあります。わかりやすいのは、「地球という元本に手をつけずに、地球が毎年生み出してくれる利子だけで暮らしていくこと」という説明です。

ちなみに、「地球の自然予算を使い果たした日」、英語では「Earth OvershootDay」です。overshoot とは「行き過ぎ」ですね。

マティスたちは、地球が毎年何をどのくらい生み出してくれているのか、人間はそれをどのくらいのスピードで使い果たしているのかを計算して、わかりやすく伝えてくれています。「エコロジカル・フットプリント」です。

エコロジカル・フットプリントや日本のデータにご興味のある方は、たとえば以下などに情報があります。

http://www.ecofoot.jp/what/index.html
http://www.wwf.or.jp/activities/lib/lpr/WWF_LPR_2012j.pdf
http://www.footprintnetwork.org/images/trends/2012/pdf/2012_japan.pdf

 

このページの先頭へ

このページの先頭へ