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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2012年05月24日

第23回基本問題委員会での発言録 (2012.05.24)

エネルギー危機
新しいあり方へ
 

総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会では、今月末までに選択肢案をとりまとめ、エネルギー環境会議へ渡せるよう、週1回ペースが(これでも委員会としては異例の高頻度ですが、、、)今週は週2回というハイペースでの開催です。

今日もいまから出かけてきます!

前回、5月21日の第23回基本問題委員会での自分の発言を報告したいと思います。

資料はすべてこちらにアップされています。
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/23th.htm

会議の録画映像はこちらからご覧いただけます。
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/index.htm

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

<1回目>

ありがとうございます。質問ではなくて経済モデルに関する今回の議論への短いコメントになります。

こういったモデルを扱うと、どうしても論理的な思考、計算的な思考にギュッと議論がよっていると思います。

ただ、これからの国民的議論を含めて考えても、論理・計算だけでみなさん考えるわけだけはなくて、思いのようなものも当然大事だと思うので、その点からひとつコメントをさせてください。

事故リスクの費用で、キロワット時あたり0.5円、「それが1.8円になるのは不思議だとかありえない」といった発言もありました。コスト検証委員会の数字をこのようなかたちで使ってモデルを走らせるのは必要だと思いますが、そのうしろにある私たちの基本的な理念や考え方は、「キロワット時当たりがたいした金額でないのであれば、うすく広く負担すればいいのではないか」「一方原発をやめたらGDPが減ったり、経済への影響が大きいのではないか」というものではないでしょうか。

そのうしろに「二度と事故や悲劇を起こさない」という意思は、こういったモデル分析では当然ながらでてこないのだと思います。たとえば、今なお、自分の住んでいた場所に戻ることができない被害を受けた方々の痛みとか悲しみとか、核廃棄物を含めいろいろなツケをまわされる未来世代の不安とか恐怖とか、こういったものは当然ながら経済モデルの中では分析できないと思います。

コスト検証委員会だったらコスト検証がミッションですが、この委員会は「コスト計算委員会」ではなく、「基本問題委員会」です。事故があたかも起こらないかのように、安全面の確保の仕方すらまだ合意がない中で、事故はきっとないだろう、起こっても6兆円だったらキロワット時0.5円だとか、核廃棄物についても地下に埋めて置いておくしか処理方法がわかっていないのに、そういったツケけをそのまままわし、それは絶対コストには反映できないようなものだと思います。

モデラーの方々が非常に努力をしてくださってこういった結果を出してくださったこと、私たちが知っておくべきことをたくさん盛り込んでくださっていることに感謝しつつ、これは中継でみてくださっている方々、これから国民的議論をするすべての方々に、もう一度基本的なことをお伝えしたいと思います。

委員長も繰り返し言ってくださっていることですが、「経済モデルの分析結果はあくまでも一つの参考資料で、全体的に判断すべきことの一つの部分である」ということをもう一度確認したいと思います。以上です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

<2回目>

ありがとうございます。資料13を用意してきましたのでそれを見ていただければと思います。

「国民的議論に資する選択肢のまとめ方」ということで、このような資料をつくりました。

まわりの人たちとこの選択肢についていろいろな話を今、しています。まわりの人というのは、専門家ではなくて、ごく普通の市民の人たちです。そうするとたとえば、2030年に「15%」がいいとか「10%」とか「25%」がいいとか、そういう具体的な数字としてイメージしている人はほとんどいません。

もう一方、「できるだけ早く減らしていきたい」「ゼロにしたい」という思いの人は多いのですが、ゼロになるのは「2020年」だとか「30年」だとか「50年」だとか、具体的にイメージしている人もいません。

そういった意味でいうと、まとめ方として「○年に△%」というピンポイントではなくて、それはあとでついてくるかもわかりませんが、国民の議論に資するという意味でいうと、「ベクトルとしての選択肢」、つまりそれぞれの選択肢の背後にある基本理念や価値観を前面に出すべきではないかと思っています。

そういった点でこれまでの議論をまとめると、これはきっと皆さんそんなに意見が違わないと思いますが、「減らして、ゼロ」か、「減らすが、ある程度維持」か、「減らすけれど、ゆくゆくゼロにするか、維持にするか、それはいつなのかはあとで決めよう」と、おそらくその3つかなと思います。

選択肢Aはどのように描いてよいかわからなかったので、すみません、入っていません。

今日の資料の26、27ページ、先ほどから皆さんがおっしゃっているもので言うと、「減らして、ゼロ」というのは選択肢Bと新しいCに入っている1番だと思います。それは「2050年にゼロ」ということで、「2030年にゼロ」というBの選択肢とともに、「いつゼロに着地するかはともかく、減らしてゼロにするんだ」という価値観・理念であると思います。

私たちが最初にこの選択肢を出した時、「2030年の断面で出しなさい」という指示でした。

たとえば、私自身は「できるだけ早くゼロにしたい」という思いはありましたが、その時が2020年なのか、それともそれが2040年になるのか? ピンポイントで2030年にゼロにするためにあらゆる犠牲をはらうべきだというふうには思っていませんでした。ただ、「ピンポイントで、2030年断面の選択肢を出しなさい」と言われたので、ゼロを選ぶことしか自分の選択にはなかったということです。

ですから、「Bと新Cの1を一緒にして、タイミングはともかく減らしてゼロにしたい」というグループがひとつあると思います。

それから、これは新Dになると思いますが、「減らすけれど、ある程度維持しましょう」というものです。これは「いつ、どこまで減らすか」というのはいろいろ幅があって、それが15%なのか20%なのか25%なのか、そのタイミングまでいつもっていくのか、というのはいろいろあると思います。

最後のオプションは、前回いろいろな話がありましたが、「減らすという基本方針は変わらない」けれど、「ゆくゆくゼロまで減らす」のか、「ある程度維持する」のか、それを「いつにするのか」というのはあとで決めましょう、というものです。これが新Cの2番になるのかと思います。

不確実性があるというのはその通りですが、その場合、多くの一般の人たちが心配しているのは、「不確実性があるということが、問題判断の先送りの口実になってしまうのではないか」という不安だと思います。

そうではなくて、不確実だからこそ方向を定めて、状況の変化を見ながら政策を柔軟に変更していける、修正していける政策のPDCAのメカニズムをしっかり持った上で方向性を出していくということであれば、これも一つの選択肢としてありうるかなと思います。

国民的議論をするときに、この専門的な議論をもとにしたパーセントや細かい数字で出すのではなくて、それはあとでもちろんでてくるとは思いますが、ベクトルとしての基本的な理念・価値観ということを前面に出してはいかがか、というのが私の提案です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

1回目の発言は見事なまでスルーされました。。。経済影響分析も大事だけど、倫理や未来世代への責任などの議論もできる場がないと、、、と思います(いまの基本問題委員会ではそういう場はまったくありません)

さて、今日18:30から、第24回の基本問題委員会が開催されます。資料はこちらにアップされると思います。
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/index.htm

自分の資料は、18時過ぎに、イーズのサイトの新着にアップしますので、よろしければご覧ください。「経済影響分析のトリセツ」も入っております(^^;
http://www.es-inc.jp/

基本問題委員会の中継はこちらから観られます。(開始5分ぐらい前から観られるようになります)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv94108616?ref=top&zroute=index

余談ですが、開催通知に「18:30〜20:30」と書いてあっても、ここ数回は22時頃まで続いています。

前回は前の予定から続いてだったため、軽食を食べる時間も食べ物を買う時間もなく、水だけで3時間半、おなかがすいて死にそうでした〜。

今日はおやつをいっぱい持って行ってきます!(遠足じゃないって? ^^;)

 

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