ホーム > 環境メールニュース > アースポリシー研究所より「教育は出生率の低下と豊かさの向上をもたらす」 (201...

エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2011年12月22日

アースポリシー研究所より「教育は出生率の低下と豊かさの向上をもたらす」 (2011.12.22)

食と生活
 

レスター・ブラウン氏のアースポリシー研究所からのリリース文を実践和訳チームが訳してくれましたので、お届けします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

教育は出生率の低下と豊かさの向上をもたらす

www.earth-policy.org/data_highlights/2011/highlights13

ブリジッド・フィッツジェラルド・リーディング

毎年世界の人口が8,000万人近く増え続けるなかで、大幅な人口増加が私たちの地球がまかなえる限界点にぶつかろうとしており、世界の経済と政治の安定を脅かしている。地球の天然資源の範囲内にとどまるためには、世界人口は安定しなければならないだろう。

国連が最近修正した「中位」推計値では、2045年までに世界人口は90億人を超え、「高位」推計値、つまり出生率が高いと仮定した推計値では、同年までに100億人を上回ることになる。しかし、飢餓や貧困の拡大とそれらに伴って起きる紛争や病気によって、いやおうなく増加が抑えられて90億人までいかない可能性もある。また、「低位」推計値では、私たちが自発的に家族の人数を速やかに減らすなら、2045年頃に80億人をわずかに越えたところでピークに達する可能性も示唆されている。

【グラフ】
【タイトル】世界人口(1950ー2010年、2050年までの推計値)
【縦軸】10億人
【出典】UNPop(国連人口部)
アースポリシー研究所-- www.earth-policy.org

出生率は、後発開発途上国で最も高くなる傾向にある。死亡率は急速に低下しているのに出生率が低下しないと、国は貧困を減らすことが困難になる。貧困が却って子どもの数を増やし、家族と国家が悪循環に陥るからだ。反対に、人口増加率を速やかに下げた国は、「人口学的なボーナス」を手にすることができる。それは、稼ぎがある大人の数に比べて稼ぎのない子どもの数が少なくなることによる経済的・社会的恩恵である。

長期的な人口の安定のためには、出生率を人口置換水準【訳注:人口が増加も減少もしない均衡した状態となる出生率】のレベルにすること、つまり死亡率が低い地域においては出生率を女性一人当たりほぼ2人に抑えることが目標になる。先進国グループは、このレベルを下回る水準で推移している。開発途上国の中には、出生率の低下に進展のあった国もあるが、後発開発途上国グループの出生率は、女性一人当たり子ども4人以上という状態が続いている。

【グラフ】
【グラフタイトル】先進国、開発途上国、後発開発途上国の合計出生率(1950ー
2010年)
【縦軸】女性一人当たりの子どもの数
【凡例】Least Developed:後発開発途上国 Less Developed:開発途上国
Industrial:先進国
【出典】UNPop(国連人口部)
アースポリシー研究所-- www.earth-policy.org


人口増加率低下と貧困削減に最も効果的な方法の一つは、少年少女への適切な教育の提供である。たとえ初等教育レベルであっても、学校に通う子どもたちの数が多い国のほうが出生率は驚くほど低くなる傾向がある。

国別初等学校入学者数と合計出生率(抜粋、最新年)

順位 国名 初等学校入学者数(%) 合計出生率(女性一人当たりの子どもの数)

1 日本 100.0 1.3
2 スペイン 99.8 1.5
3 イラン 99.7 1.8
4 グルジア共和国 99.6 1.6
5 英国 99.6 1.9

181 赤道ギニア共和国 53.5 5.3
182 ギニアビサウ共和国 52.1 5.7
183 ジブチ共和国 40.1 3.9
184 スーダン 39.2 4.2
185 エリトリア 35.7 4.6

注:順位はデータが入手可能な185カ国の初等学校入学者数のリストに基く。詳細なデータについては以下を参照
http://www.earth-policy.org/datacenter/xls/highlights13_3.xls

ユネスコの資料をもとにアースポリシー研究所で作成

女性の教育は特に重要である。調査によると常に、教育によって社会的な力を得た女性は、子どもの数が少なく、また、出産の時期が遅い傾向にある。母親になった場合でも、自身の健康をより良好に保ち、子どもを健康に育てる傾向が見られ、子どもたちの就学期間も長い。教育を受けた女性は多くの収入を得て家計を支え、その地域の経済成長によりよく貢献する。まさに女子を教育することは、国全体を変革することにほかならない。

低収入の国において学校給食プログラムは、すべての子どもたちの就学率の向上に役立つが、特に女子に対する効果が非常に大きい。女の子は家で家族のために働くことを期待されることが多いので、学校に通わせる女の子が一人増えるごとに、学費の面からだけでなく、労働力の面からも家族にとっては負担となるだろう。学校での無償給食の提供、特に家庭に持ち帰ることができる配給がある場合は、そのような負担を埋め合わせるのに役立つ。その結果、女の子が学校に通う可能性も、毎年進級を続ける可能性も、どちらも高まることになる。

中等教育まで進学する女子の場合はとりわけ子どもの数が少なくなる傾向があるので、このことは大きな意味をもつ。

1999年と比べると3,700万人減ったが、2008年に就学年齢でありながら学校に通っていない児童は世界中で6,900万人いた。 2005年には、発展途上国のおよそ2/3の国で、初等学校の入学児童の男女比が同等に達した。しかしいまだに、未就学の子どもの大部分は女子であり、幼くして結婚し子どもを持つために、世界最貧層の少女たちの多くは中等教育を修了できないでいる。

世界中の子どもすべてに教育の機会が与えられるようにすることが人口増加を抑制する上で絶大な効果をもたらすことは明らかだ。ひいては、より一層の安定と繁栄、環境の持続可能性をもたらすことになる。

# # #

詳しい資料と情報についてはwww.earth-policy.orgを参照のこと。この情報の友人や家族、同僚への転送を歓迎します!

メディア関連の問い合わせ:
リア・ジャニス・カウフマン
電話:(202) 496-9290 内線12
電子メール:rjk@earthpolicy.org

研究関連の問い合わせ:
ブリジッド・リーディング
電話:(202) 496-9290 内線16
電子メール:breading@earthpolicy.org

アースポリシー研究所
1350 Connecticut Avenue NW, Suite 403
Washington, DC 20036

(翻訳:小坂由佳、山口淳子)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

レスター・ブラウン氏の最新刊 World on the Edge、校正を進めているところです。刊行は2月はじめの予定。どうぞお楽しみに〜!

 

このページの先頭へ

このページの先頭へ