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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2011年12月13日

エネルギー政策の議論の進め方について、ご意見をお待ちしています (2011.12.13)

エネルギー危機
新しいあり方へ
 

昨日、来夏に向けて「エネルギー基本計画」を見直すための総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会の今年最後の会合が開催されました。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv73716180

すべての回の議事要旨・配付資料はこちらにあります。
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/index.htm

委員からのプレゼンが一巡し、今後の進め方についての議論となりました。

以下は、私の発言です。

この発言を背景として、ぜひみなさんのお知恵を借りたいことがあります。よりよいエネルギー政策の議論に向けて、みなさんのお考えをぜひ教えていただけないでしょうか。
http://www.tfaforms.com/227829

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(1)ありがとうございます。最初に、先ほど国民的議論へのお返事を事務局の方からいただいて、ありがとうございます。

崎田委員もおっしゃっていたように、国民のエネルギーに関する意識は非常に高まっているし、基本問題の委員会に対する関心もとても高いということを実感しています。最初にも申し上げましたが、これまで日本の多くの人は、エネルギーに関しては、「任せて文句を言う」というスタンスで、電力会社なり政府に任せてきたのですが、3.11を経て、全員とはもちろん言えませんが、「引き受けて考える」というスタンスの人が非常に増えてきています。

私自身もあちこち参加していますが、いろいろな地域で、小さいグループだったり大きいグループだったり、いろいろと「エネルギーについて、自分たちで、対話で話し合っていこう」というグループが立ち上がって活動しています。そういった人たちも、この基本問題の委員会にとても注目していますので、議論の進め方という点でもお手本を示すことができればと願っています。

今日配っていただいた、2週間に一度、事務局の方にとりまとめていただいている国民からの意見にも何回も出てきていますが、「生活者の視点をどうやって理解し、共有していくか」「国民をどうやって巻き込んで支持を得ていくか」というあたりはとても大事だし、私がいろいろ市民と話していても、そこがまだ、この委員会のあり方としてわからない、「どういうふうにこれからやっていくのか?」という話をよく聞きます。

今回の議題の、「当面の議題」ということで、来年から議論するように枠組みをつくってくださっているのですが、先ほどお話に出た対立点だけではなくて、ここに入っていない点ももう一度議論できたらと思っています。

たとえば私がお話しした中で言うと、「エネルギーを何で選んでいくのか?」たとえば倫理であるとか、未来世代への責任であるとか、そういったことを重視する人もやはりいるわけで、このような形で整理されてしまうと、そもそもエネルギーをどういう軸で考えていくかという議論がないまま、個別のデータとかコストの検証とか、そういった議論に入ってしまいます。

この枠組みはもちろん大事で、使っていくと思いますが、もう一度、落としている視点がないか、この枠組み自体がこれでいいか、ということを議論させていただきたいと思っています。

「国民に対しては、来年の春にエネルギーミックスの選択肢を出して、そこで議論する」という話になっていると思うのですが、これまで温暖化の目標設定などについて、いろいろなシナリオを出して議論するというところにもかかわってきた経験から言うと、いきなり選択肢を出して、「じゃあ選んでください」と言っても、おそらくほとんどの国民は選びようがないというか、困ると思います。そこで「えいや」と雰囲気で選んでもらっても、きっと困るでしょう。

それよりも、「エネルギーをどういう軸で考えていくのか?」という議論を、やはりしていきたいし、そこにも国民も一緒に議論できるような形でやっていきたいと思っています。

私自身は、主に市民とやりとりする立場なので、この委員会で今、代表制がとても薄いと思われている若者のグループと女性のグループを、来年初めくらいに組織して、エネルギーについてみんなで意見交換をして、この委員会にもフィードバックしたいと思っています。

歴史に関心のある女性のことを「歴女」といいますが、そういう意味で言うと「エネ女(^^;)の集い」というのをやろうと思っています。

こちらでいろいろ準備を進めていますが、ぜひそういったところに、ほかの委員の方とか、できたら大臣とか事務局の方とか来ていただいて、女性は、もしくは若者には、十把一絡げには言えませんが、どんな声があるのか――ここで聞かれるのとはきっと、かなり違う声もたくさんあります――を聞く。春に選択肢を提示するときにはそういう人たちにもわかるように説明する、もしくはそういう人たちに選んでもらえるような提示の仕方をする必要があると思うので、そういったことをぜひやっていきたいと思っています。

最後に1つ、先ほど榊原委員のご発言について、ちょっと確認をしたかったのですが。「原発依存度をできるだけ下げる」というのは、大臣の最初のご挨拶にもあったと思いますし、それがこの委員会に最初から所与として与えられていると、私は理解しています。でもそうではないというご理解だったので、実際どこから考えたらいいか、そこを明確にしていただければと思います。

以上です。

(2)ありがとうございます。大きく2点です。

1つは、これから議論をしていく、当面の議題という形で整理をしていただいているのですが、先ほど述べたこととも重なりますが、倫理的な側面であるとか、未来世代への責任という観点を、議論の中には入れるべきだと思っています。

それが決定的な要因になるかどうかは別として、いろいろな意見を、決定される方にフィードするという意味から言うと、少なからぬ数の国民が、そういった観点からエネルギー政策を見守っている、もしくは関心を寄せているのは、間違いのない事実だと思っていますので、倫理面もしくは未来世代の責任という観点を入れていただきたい。

何度かこの場でもそのように発言していますが、毎回スルーされてしまうので、もしかしたら、今の委員のメンバーでは、そういった議論がなかなかしにくいのかもしれません。その場合は外から、そういったことの専門家ないしインプットをもらうような形でも結構ですので、ぜひそれを1つの枠組みに加えていただきたいということです。

もう1つは、先ほど言いましたが、エネルギーミックスの選択肢を出す前に、議論の枠組みそのものについても国民的な議論をするべきだと思っています。

まさに今、ニコ動をご覧の方はたくさんいらっしゃると思います。見ながら周りの人と話したり、グループで一緒に見て議論したりという、いわゆるソーシャルビューイングをあちこちでやっていられると思います。そういった意見も含め、一緒に議論しながら進めていくべきだと思っています。

今の当面の議題の整理の仕方は、グループごとに論点をまとめていただいていますが、そのグループ間の順番というのはわからなくて、みんな並列という形になっています。

これは前回も申し上げたことですが、たとえば、「できるだけ省エネと再エネとクリーン化石をやって、残った部分は原発でやりましょう」というのか、それとも、「原発はやはりこれくらいと先に決めて、残りの部分どうするか」という議論をするのかでは、だいぶやり方が違ってくると思っています。

再エネについては「最大限加速する」と書いてありますが、この夏の節電を見ても、最大限というのは、何か上限なり目標があってはじめて、それに向かって最大限やるものであって、何もない空間地帯で最大限と言ったときに、じゃあどこまで犠牲を払ってやるのかということが明らかにならない場合が多く、努力目標的な位置づけになってしまうことがあると思います。

そういった意味では、私自身は、原子力について最初どうするか--それは、すぐにやめる・やめないというよりも、どれくらいの時間軸でどれぐらい低減させていくかという議論をして、そのあと足りない部分をどうするかという議論の順番が腑に落ちます。この順番についても、枠組みについても、国民的議論をここからやっていくべきではないかと思っています。

すでに、あちこちで国民はそういう議論をしていますので、それをもう少し見える化して、つないで、この委員会にもフィードバックできるようにと思っています。これは個人がボランタリーに、有志と一緒にやっていくという活動でやっていきますが、その結果はぜひ皆さんにもフィードバックして、それも踏まえて検討を進めていければと思っています。

以上です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

最初の発言の最後にあるのは、資料1の新しい「エネルギー基本計画」策定に向けた論点整理(案)の最も重要な部分の1つである

> 昨年6月に策定したエネルギー基本計画においては、2030 年に電源構成の過半を> 原子力に依存するとしていた。震災・原発事故を踏まえ、こうしたエネルギー構成> のあり方は抜本的に見直す必要がある。その際、具体的手段や時間軸については様々> な意見があったが、> ① 需要家の行動様式や社会インフラの変革をも視野に入れ、省エネルギー・節> 電対策を抜本的に強化すること> ② 再生可能エネルギーの開発・利用を最大限加速化させること> ③ 天然ガスシフトを始め、環境負荷に最大限配慮しながら、化石燃料を有効活> 用すること(化石燃料のクリーン利用)> ④ 原子力発電への依存度をできる限り低減させること> を基本的方向として、今後議論を深めていくことについては概ね見解の一致を得た> と考えられる

という部分について、「原発依存度をできるだけ低減させる」ことは共通の見解ではないので文言を修正するように、という発言があったため、びっくり仰天してお尋ねしたものです。

枝野大臣は途中退席されましたが、その際のご挨拶で、「原発依存度をできるだけ低減させる」ことは内閣の方針であると明言され、「できるだけ低減」の結果が、ゼロになるのか、一定水準の維持になるのかも含め、ここでの議論となります、というお返事でした。

「原発依存度をできるだけ低減」は所与ですから、「できるだけ低減」のイメージを、その時間軸と最終的な姿を含め、すりあわせていく必要があると思っています。ゼロにすることと思っている委員もいるし、「前のエネルギー基本計画では大きく増やそうとしていたのだから、そこから“できるだけ低減”の結果、現状維持」と思っている委員もいらっしゃるようです。

次回、全員がそれぞれのイメージを1枚のグラフにして(時間軸を入れて、現状からどうなっていくべきと考えるか、時系列変化の線を引く)提出したらどうかな?と思います(事務局に提案してみます)。

さて、みなさんのお考えをうかがいたいことがいくつかあります。

エネルギーを考え、選ぶときの基準(軸)や、考える順番、国民的議論について、など、質問は7つだけですので、ぜひご協力下さい。
http://www.tfaforms.com/227829

寄せていただいたご意見やアイディアはとりまとめて、基本問題委員会にもフィードバックし、より有用な議論につなげていければと思っています。どうぞよろしくお願いいたします!

そして、基本問題委員会へのご意見、まだ33件しか集まっていないそうです。国民は関心がないのかな、任せてくれているのかな、と思われちゃうと困りますので、短くても部分的でもまったくかまいませんので、ぜひこちらへお寄せ下さい。
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/ikenbosyu.htm

 

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